31話 森林探索
1日空いてしまいましたが、なんとか書き上げることが出来ました!お待たせしてすいません!
そしてPV8000突破ありがとうございます!
これからもマイペースに頑張りたいと思います!応援のほどを、よろしくお願いします!
「ただいまー」
「あっ! アスカおかえりなさい!」
静かに待っていたリサーナの元へ戻ってきた。
ただいまと一言言うと、こちらへ駆け寄ってくる姿はまるで忠実な犬のようで愛くるしい。
「何も無かった?」
「はい! アスカが向かった方向からすごい音がしたり、木が倒れたりしていましたけどこちらは何も無かったですよ」
全てを察したように微笑んで語る姿はなかなかどうして心に刺さる。
「う、うん。ちゃんと、説明するから」
そう言って、先ほどの戦闘の事を話した。
変な鱗をした二人組の男。案内してもらおうと頼んだら戦闘になったこと、二人を戦闘不能まで殴った事......
それらを聞いたリサーナは、
「アスカって結構短期ですよね。すぐ怒っちゃいますね。でも、きっとその方達の特徴からして、竜鱗族だと思いますよ」
「竜鱗族?」
また知性ある魔物だったのかな?
「竜鱗族はとても戦闘能力が高く、森の戦士と言われています。多種多様な武器を使いこなし、万物を防ぐ鱗を持ち、獣人を凌ぐほどの身体能力を持っていると聞いたことがあります。それにしてもアスカは本当に強いですね......」
「へぇ、強い人達だったんだ。うん、結構強かったと思うよ」
特に真面目そうな方はもう少し鍛えれば、アルマよりも強くなるだろう。なんだかんだ言ってもあの人強いもんね。
「竜鱗族がいるって言うことは、ここはメルガス大森林の奥深くかもしれないです」
「メルガス大森林? メルガスに近いって事?」
「はい、メルガスが支配している森ですが、完全に支配出来ている範囲はほんの少しです。深部はほとんど手を付ける事が出来なかったのですが、時々竜鱗族が街へ交流しに来るそうで、特に敵意や問題などが無いため、深部は放置と言うことになったそうです」
なるほどね。やっぱりリサーナは博識だねぇ。
納得したように頷いていると、リサーナが上目遣いになって褒めて欲しいオーラを出してきたので頭を撫でる。
「えへへー」
リサーナが段々と小動物に見えてきた......
「ん? でもちょっと待ってね。メルガス大森林って事は、ウィルガルムへ向かっていたけどメルガス側に戻されたってこと?」
撫でるのをやめないで聞いてみる。やめようとするとリサーナが涙目になるので、リサーナが満足するまで撫で撫では終わらない。
「えぇ、そうなりますね」
「えぇ、って......ウィルガルムに行きたかったんじゃないの?」
どこにも行くあてのなかった私の代わりに、リサーナに行きたい場所、目的地を決めてもらったのだ。
それが、神聖帝都ウィルガルム。
「今すぐ行きたいって訳じゃ無いですよ? アスカと一緒にのんびり行けたらいいなってだけですし」
そんな満面の笑みで言われると恥ずかしいのだが。
「でも、まぁ、それなら少しくらいの寄り道はしてもいいかな」
「そうですね! 私、竜鱗族さん達の住んでるところを見てみたいです! あとゆっくり眠れる場所も......」
「それもそうだね。ずっとこんな所にいるのもなんだし、進まないとね。でも敵対されたりしないといいんだけど」
文字通り手も足も出ないまでに完全勝利したのだ。
むしろ敵対されない方がおかしい。どうにかリサーナだけでも安全地帯へ連れて行ってあげたいんだけどね。
「適当に歩いたらまた迷うだけだし、今度はちゃんとマッピングして進もうか」
「そこら辺は、アスカに任せちゃいます。私は付いていくだけですから!」
私達は再び歩を進める。
今度はしっかりとマッピングをしながら進んでいく。私は成長する子。もう迷わないよ!
リサーナは、
「おんぶされてばっかりは嫌です! あ、いや、おんぶが嫌なんじゃなくてですね寧ろおんぶはいくらでもされたいと言いますか。じゃなくて、私だって歩けるんです! このままでは堕落してしまいそうなのです!」
と言って私の後ろにピッタリとくっ付いて来ている。
危ないところを指摘して歩くのがめんどくさい。
いや、めんどくさいと言うより、危ないところが多すぎる。
と言うことで、
「魔法使っちゃおう」
「いいですね! パーっとやっちゃってください!」
おお、リサーナもノリが良くなってきたね。
そんじゃ、早速。
「風刃」
私がそう唱えると、周囲の背の高い草や、足の引っかかりそうな木の根などを通りやすいように切り裂いていく。
自然破壊? これぐらいなら誰も怒らないですよ。深部は放置って言われてるじゃないですかーやだー。
木は避けるようにして道を作ったので幾らか曲がっているが、獣道のようだが、通るぶんには危険は無くなった。
「すごいですねー! やっぱりアスカの魔法って結構埒外の魔法が多いですよね」
「え? そうなの?」
なんと。これは目立ってしまうやつか。この世界の魔法の平均とかは知っておきたいな。
「そうですよ。風刃は風魔法の初歩的な魔法ですが、リーチ、届く範囲が短いため使い勝手が悪いって言われている魔法ですよ? 私は魔法なんて使えませんが......」
「へぇ、それって遠距離魔法として働かなくない?」
風刃は遠距離魔法なのに射程が短かったら使い道無くなるだろう。
「風刃は普通、中距離で使う魔法ですよ? でも火魔法とかの方が使い勝手いいので風魔法は外れとも言われているみたいですがね」
「中距離......!? 風魔法が外れ......!? 空飛とか声域拡散とかあったら戦略の幅が広がると思うんだけどね」
「もしかして空飛も使えるんですか!? 私、空飛んでみたいんですよねー。それに、空飛なんて使える人は宮廷魔術師くらいの高難度魔法ですよ。声域拡散なんて王都でも専門の魔術師が1人、使えるくらいですよ?」
なんと、そんなこともあるのか! これは一刻も早くこの世界の魔法の常識を知るべきか......
ん? 空飛......? もしかして?
「あれ? 空飛を使えばこの森を抜けれたりするんじゃない?」
「それは無理ですよ。メルガス大森林は樹人族さんの張る結界によって入ることも出ることも困難ですからね。樹人族さん達に認められた者が出入り自由になりますね。それか、私達みたいに無理矢理入れられたり、遭難してたらいつの間にか入っていた! みたいな事もあるそうですよ」
樹人族か......確かあの竜鱗族も言ってたような気がするな。
そんな事を話しながら風刃で拓いた道を進んでいく。
しばらく進んでいると、
「アスカ、なんだか空気が変わった気がします」
「何かあるのかな? 少し気をつけて進もう」
いつの間にか周囲の草木が、私達の落ちてきた場所付近とは変わっていた。
落ちてきた場所付近は、鬱蒼と茂っていて、木々が日差しをも遮っていたが、こちらは青々と元気に満ちて草木が生えている。ところどころに朱い日差しが見える。もう夕暮れか。
と、そんな時、水のせせらぎが聞こえてきた。
「アスカ! 水が近くにありそうですよ!」
どうやらリサーナにも聞こえたみたいだ。今夜は安心して寝れそうかな?
しかし、せせらぎに混じって、とても小さな声が聞こえる。泣いている......?
「リサーナ、誰かいるよ」
「泣いて、いますかね......」
誰であろうと警戒はしておく。リサーナが近くにいるからね。
少し歩くと、私達の隣を川が流れていた。
しかし、まだ泣き声は聞こえている。
「上流、もしくは水源付近に誰かいそうだよ」
「そうみたいですね......」
本当はここでもう一晩過ごすことはできそうだが、リサーナは泣き声が気になるのだろう。先ほどから上流の方をチラチラと伺っている。心做しか、元気が無いように見える。
「行ってみようか」
「はい!」
その一言で元の元気を取り戻してしまうのがリサーナのいい所だね。やっぱりリサーナが元気無いと、私も嫌だからね。
「やっぱりアスカは大好きです!」
「う、うん......」
そう言って再度腕に抱きついてくる。
うん、こういう所はどうにかして欲しいけどね。
私達は上流目指して歩みを進める。
少し登ると、川は勢いを増していく。そして、川の上流には、三本の流れの合流地点があった。
「リサーナはまだ声、聞こえる?」
「いえ、先ほどから川の流れる音が強く、ほとんど聞こえてないです」
「そっか、私が聞こえた方に行けばいいかな」
そう言って身体強化を耳に施す。
すると、
「う、うぅ......レヴィだってわかってるもん......ヘイルのばかぁ......」
うん、多分あの二人と一緒にいた人かもしれない。
その声は左側の川の先から聞こえる。
「左だね」
「左は緩やかな流れのようですね。何があるんでしょうね?」
リサーナの言う通り、左の川は、他の二本の川に対してはかなり緩やかな流れになっている。
左の川をさらに上流へ進むと、少しずつ水の透明度が上がっている気がする。綺麗な群青色になってきたのだ。
「綺麗......」
「この先に、小さな泉があるね。多分そこが源泉なんだと思う」
身をかがめないと入ることの出来なさそうな入口を指差す。そこから少し中の様子が見え、この川と同じ色の泉が見えるのだ。
そして、その中から啜り泣く声も聞こえている。
「静かに入りましょうか」
「そうだね、そうしようか。私が先に行くよ」
私はスッと入って行き、リサーナを待つ。泣いている人は泉の反対側にいるので、こちらに気付く様子は無い。
リサーナが入口の穴の中をゆっくりと進んでいく。
しかし、後少しで入れそうな時、リサーナがやらかした。
ゴンッ!
「あいたぁ〜!」
盛大に頭を小さな穴の中でぶつけたのだ。洞穴のような泉のある空間では、その音と、声がよく響くのだ。
もちろん、気付かれないなんて言う幸運は無く、
「誰!」
見つかった。リサーナが穴の中で頭を抑えて半泣きになっている。引っ張り、立ち上がらせる。
「あ、怪しい者じゃ無いですよ......痛いです......」
「アンタ達は! ヘイルとクリルが見張ってるはずじゃ!? どうしてここに来たの!」
二人とも目に涙を溜めながら話しているので見ていて可愛いのだ。リサーナに軽く回復魔法をかけつつ答える。
「もう夜も遅いから、ここに泊めて貰えないかな?」
そう聞いてみると、どうやら考え事をしていて聞こえてなさそうだった。
「ヘイルとクリル、もしかして見失ったりしたのか......? でも竜鱗族は森の中じゃ負け無しだし......じゃあどうして? 不意打ちでも食らったのか? 森の中だし二人いてそんなヘマを踏む分けないだろうし? じゃあどうして? 聞いてみればわかりそうだけど素直に話してくれるかしら......」
「あのー?」
少し声をかけてみると、ハッと我に戻り、背を向けて涙を拭いた後、こちらをキッと睨む。
リサーナは頭が本当に痛かったのか、私の背中に顔を擦り付けている。何をしているんだこの子は。
「お前らは何者だ。返答次第では......わかるな?」
竜鱗族って物騒な種族だよね。すぐに殺しにくるし。
まぁ、嘘つく必要は無いから素直に答えるけど。
「私達はちょっと迷子になっちゃった二人。何者かと答えるけど、私は魔女。一般的などこにでもいるような魔女。こっちは元お姫様で、今は一般人かな」
「わ、私は今でもアスカのお姫様ですよ!」
後ろから反論が飛んできた。頭をぶつけて本当に壊れてしまったのか? 心配になってくる。
「魔女にお姫様......? 何を言っているんだ......?」
え? そのまんまじゃん? 伝わってない?
と、そんな事を思った直後、
「ええぃ! ヘイルとクリルをどうしたかも答えろ! さもないと私が許さん!」
なんか新しくケチ付けてきたし......
それに許さんって許してもらいに来た訳じゃ無いのになぁ......
その時、二人の腹の虫が悲鳴を上げた。
ぐうぅ〜。
きゅるるる〜。
「「っ!」」
リサーナと竜鱗族の女性だ。
「だ、断じて違うぞ!? これは、その、あのだな......」
と言って狼狽えながらお腹を隠して顔を真っ赤に染める竜鱗族の女性。
「アスカ〜、ご飯にしましょ〜。もうお腹ペコペコですよ〜」
ご飯の催促をしてくるリサーナ。
正反対だな。とクスッと笑う。
「ご飯にしましょうか。竜鱗族の貴女も一緒にどうですか? いくらでもありますからね。遠慮は無用ですよ」
「アスカ! 今日はお米を炊くことをお勧めします! ここのお水は綺麗ですし!」
「そうだね、そうしようか」
私とリサーナで話を進めていると、
「くっ、た、食べないぞ! きっと毒を盛るのだろう! 私は騙されないぞ!」
そりゃ、疑うよね。でも食事は大勢でする方が楽しいというものだ。
「そんな事しませんよ。すぐ出来上がりますからね。リサーナ、これにお米を入れて洗っておいて」
「かしこまりました! 私の洗米技術は磨きかかっていますよ!」
リサーナが変な技術ばかり極めていく......
リサーナに土鍋に三人分のお米を渡す。
私はアイテムボックスからいつもの大テーブルと大皿、今回は三人分の椅子を出し、コカトリスを大皿に乗せる。
「ここの水は本当に綺麗ですよ! あ、お米洗い終わりましたよ!」
そう言って、洗い終わったお米と少しの水の入った土鍋を渡してくる。この土鍋はアルテナ商会で買った物だ。ちゃんと使えるようで何よりだ。
「今どこから......? それにあの肉はコカトリス!? 数年に一度しか食べることの出来ない肉だ......なんで......!? 食べていいの......?」
「遠慮は無用ですよ。席に付いて待っててください」
「い、いや! 私は、食べ......無いぞ! だ、騙されないからな!」
そうは言っても目線は完全にコカトリスをロックオンしている。
私は土鍋を簡易のコンロに乗せ、火をかける。黒い炎を見た時も驚いていたようだけど、コカトリスで頭いっぱいのようで、ツッコんではこなかった。
蒸気が吹き上がるのと同時に火を弱め、しばらく待ってから火を消す。ここから十五分ほど蒸していく。
その間に、コカトリスを焼いていく。
ご飯の炊きあがりと合わせるために、こちらもじっくりと焼いていく。焦げ目が付き、香ばしい匂いが洞穴に広がる。竜鱗族の女性はコカトリスから目を離せずにいた。涎が止まらないみたいだ。
リサーナは椅子に座って静かに待っているが、お腹が鳴っているのがわかる。
「はい、出来たよ。ご飯も炊けたね」
ご飯をお椀に分け、人数分のナイフとフォークを出す。私は馬車の旅の途中、使い慣れた箸が良いな! と思い自作した箸を使う。実はお披露目するのは初だったりする。
竜鱗族の女性はもう堕ちる寸前だが、なんとか踏みとどまっている様子。
強がりだなぁ。食べたくなったら来るでしょう。来なかったら目の前でコカトリスが消えて行くのを眺める事しか出来ないけどね。
「いただきます」
「いただきますです!」
リサーナは成長して、コカトリスを自力で取って食べることが出来るようになった。素晴らしい成長っぷりだ。
コカトリスとお米はとても良く合って、素晴らしいハーモニーを口の中で奏でてくれる。
「お、美味しいです〜!」
「ん、美味しいね」
「あれ? アスカの使ってるのはナイフとフォークじゃないですね?」
「あぁ、これ? これは私が使い慣れてる箸って言うんだよ。ナイフもフォークもスプーンも、使い慣れればこれ一つで事足りるからね。便利だよ」
「おお......初めて聞く物ですね。ハシ? ......アスカとお揃いですかね? 私も使ってみたいです!」
何か不穏な空気を感じたけど気にしないで行こう。
まぁ、こんな事になるだろうと思って用意してたんだけどね。
「はい、私と色違いだよ」
「わぁー! ありがとうございます! 大切にしますね!」
「ふふっ、ありがとう。でも最初は難しいよ?」
「わっ、とっ、んー、難しいです」
「冷めちゃうから今回はナイフとフォーク使おうか。次までに使えるように練習しないとね」
「そうするです」
そう言って再びナイフとフォークを使って食べ始める。そろそろ意地悪するのもやめてあげようかな。と言うか視線が痛いのだ。
「竜鱗族の貴女も、食べる?」
「ぐっ、うぅ......私は、食欲なんかにぃ、負けないのだァ......レヴィは、レヴィはぁ......うぅぅ......」
うわっ、泣き出しちゃったよ。この子レヴィって言うのかな? 泣くと幼児退行しちゃうのかな。リサーナみたいだ。
「むっ、アスカ、何か変な事考えませんでしたか?」
「そんな事、考えてないよ?」
「本当にですか? 何か感じたんですけどね......」
リサーナ......恐ろしい子っ!
これからは気を付けよう。お馬鹿に見えても博識な面も持ち合わせているんだから怖いよね。
「毒なんて無いわよ。安心して、まだまだあるから食べにいらっしゃい」
「うっ、ぐすっ、た、食べてもいいの? 本当に?」
「何をそんなに躊躇するのよ。たくさん食べていいわよ」
「お、お言葉に甘えて......い、いただきます?」
涙を拭いて席についた後、食前に私達の真似をするようにいただきますをする。なんだか妹が出来たみたいでホッコリする。
そうして、今夜は三人でコカトリスを食べた。
リサーナとも打ち解けたみたいで良かった。
コカトリスもご飯も口に合ったみたいで、コカトリスを五割ほどと、ご飯も三杯お代わりしていた。
「お、美味しいのだ!」
食後のお茶も美味しそうに飲んでいて、作った側からするととても嬉しいものがあるね。
まぁ、これと言って調理なんてしてないんだけどね。




