24話 お酒の怖さ
ブクマ&評価ありがとうございます!!
そして遂に5000PVです!! 本当にありがとうございます!
今回から神聖帝国ウィルガルムに向けて出発します。少し長くなりました。
※イヤらしい表現があります。ご注意ください
「で? 今度は何やらかしたんだ?」
オジサンが残念な子を見る目で私を見る。
や、やめろぉ! 私は悪くないっ!
私はリサーナを休ませるため、オジサン宅に再びお世話になっている。七星傭兵団とアルマを水牢獄に閉じ込めた後、1番安全だと思うオジサン宅に飛び込んだ。
文字通り窓からドーン! だ。
「何をやらかしたって、そんな私が何かしたみたいな言い方やめてください」
「あぁ、そうだな。どこかで何かしてきたのは間違いなさそうだけどそれを問うのは違うもんな」
良かった。オジサンはやっぱり物分りのいい優男だ!!
こめかみに青筋を立ててピクピクしているのは何かの見間違いだろう。
「だがな! 窓をぶち破ったことはどう責任取るんだァ!? 部屋も衝撃でボロボロ、こんな派手に突撃してくるなんて魔王くらいのものだぞ......」
やれやれと首を横に振る。
しかしズバリと当てられると困るな。私は魔王ではないけど魔王なのだ。
なんか、そういう事になっちゃった。
リサーナが起きていれば説明してくれそうなんだけどオジサンがなぁ......
「お代は払いますから安心してください」
「はぁ、まぁ、誰も怪我してないからいいけどよ......コロンとメリッサは買い物行ってて良かったぜ。お代は高くつくけどな」
ちゃんと人がいないだろうとわかってて突っ込んできたんだけど、ちょうど近くまで帰っていたオジサンが衝撃音を聞いて駆けつけたのだ。
「話はコロン達が帰ってから聞かせてもらうぞ、嬢ちゃん? リサーナ様も疲れているようだけど、嬢ちゃんは疲れてねぇのか? 俺はとりあえず片付けだな......」
「私もやりますよ、片付け」
「そうだな、見たところ疲れてなさそうだしやってもらわねぇとな! それにしても派手にやらかしたなぁ。これはこの部屋改装しねぇとだな......」
駆けつけてからあまり時間が経ってないのに、少ない時間の間に何度も深いため息を吐いていた。
どうやらオジサンは今日は早上がりの日で昼間からお酒が飲める! と帰ってきたらしく、
「酒......飲みてぇな......」
などと時々呟くので、今度いいお酒が手に入ったらオジサンに持ってきてあげようと心に誓った。
私はお酒苦手なんだけどね。
片付けも終わり、ゴミになりそうなものは私のアイテムボックスに収納した。
娘さん達が帰ってくるまで暇なのでアイテムボックスの整理をしようと思ってやったのだが、これもまた一瞬で終わってしまったのだ。
その後、遠隔で水牢獄を解除する。一度発動した魔法は、遠くにいても多少なら遠隔操作ができる。リサーナに付けたマーキング魔法で周囲の様子を見た時に遠隔操作出来ることを知った。
七星傭兵団やアルマがその後どうなったかなんて知ったこっちゃないしね。
幻視はまだ解けていない。遅いのを心配して誰か見に来ないのか? とか思ったけど、どうやらあの王子様が迷宮前広場への階段を封鎖しているようだった。外側からは入れないけれど内側からなら出れるようで、なんとも便利なものだ。
しばらく待っていると、娘さんとお母様が仲良く手を繋いで帰ってきた。微笑ましいね。
部屋をぶち壊しましたと謝ったら、娘さんは口をぱくぱくさせて驚いていたけど、しばらくすると「そうですよね、アスカさんですもんね」と、なんか納得されてしまった。
お母様の方は「あらあら、まぁまぁ」と言ってすぐに夕飯の支度に入った。お母様ってきっとめちゃくちゃ強いと思う......。
台所からいい匂いがし出すと、リサーナが起きてきた。お腹空いたみたいだ。
「うぅ、アスカぁ......お腹空きましたぁ」
目を擦りながら一番に食卓につく。それに続いてオジサン、娘さん、私も席につく。オジサンはもう酔っ払っている。
お母様が料理を運んできて、先日と同じように「いただきます」をして食べる。いただきます文化が浸透してきている! これは......いいのかな?
「嬢ちゃんよぉ、今日は何したんだぁ? 教えてくれよぉ」
食事中、オジサンが聞いてきた。娘さん達が帰ったら話す約束だったもんね、話さないとだ。
決して忘れていたなんて事はない。
「―――で、飛び込んだわけです」
話し始める時も話し終わった時も、リサーナは夢中でご飯を食べていた。食べるのが遅いだけで量はそれほど食べてはいない。もきゅもきゅ食べる姿はフィルムに残したいくらいだ。
一連の話を聞いていたオジサン達は、
「マジかよ......」
「アスカさん、リサーナ様......」
「あらあら、まぁまぁ」
お母様! 少しは驚いてほしい!
「そろそろ魔法の効果時間も終わりそうなので私達はこれから神聖帝国ウィルガルムに行くことにしました」
「七星傭兵団が手も足も出ないなんて......嬢ちゃん本当に魔王かなんかじゃねぇの?」
オジサン、完全に酔いが覚めてるじゃん。驚きすぎじゃない? お母様は逆に驚いてほしい。
それに、私は魔女さんだ。そこんところ、よろしくぅ。
私が魔王と嘘をついた事は黙っている。変な誤解を招きそうだからね。
「そうか、ウィルガルムへ行くなら定期便がいいぞ。あれなら毎日出ているし、アルテナ商会からの紹介なら難なく乗れるだろうしな」
お、オジサンーー!! 優しすぎるよオジサン! よっ! いい男ぉー!
「で? いつ出ることになるんだ? 少しの間なら匿うことできるぞ?」
「明日にでも出ようかと思います。あんまり迷惑はかけられませんし」
「あ、明日!?」
そんなに驚かないでおくれよオジサン。いい男が台無しだよ。
「えぇ、早い方がいいかと思いまして」
「そ、そうか、それもそうだよな。よし、それじゃ今日はパーっといくかぁ! メリッサ、酒を出してくれ!」
「ふふ、分かりました。お別れパーティですね。アスカさんもリサーナ様もどんどん食べて飲んで下さい」
「もひろん! たくひゃんひゃべるれす!」
「リサーナ、ちゃんと飲み込んでから喋ろうね」
出されたお酒で流し込むリサーナ。リサーナはその後もたくさん食べて飲んでいた。お酒強いんだな。驚いた。私は嗜む程度に少しいただいた。
「アスカさん! またこちらに来る時は是非、会いに来てくださいね」
おやおや、娘さんも少し酔ってるのかな。そう言うと気持ちよさそうに机に倒れ伏した。寝ちゃったよ......
お母様が毛布をかけてあげている。
お母様も大分飲んでたはずなんだけど、全然顔が赤くならない。お酒にも強いとは、お母様は一体......!?
「そうなんれすよ〜! アスカはぁ、魔王様なんれすよーー!!」
「ガハハハハ!!! そうか、そうか! 嬢ちゃんは魔王を名乗っちまったのか!! ガハハハハ! そりゃ、傑作だ!! これから大変だろうよぉ!」
リサーナはもうベロベロに酔っている。酔いつぶれたり悪酔いしないだけマシかな。口がものすごく軽くなっているけど。
オジサンの方も気持ち良さそうに酔っている。と、思う。いつもより声が大きいからきっと酔っているな。
「それにしても魔王名乗っちまうとはなぁ! 他の魔王様に目ぇ付けられないように気を付けろよ! ガハハハハ!!」
「他の魔王? 本当の魔王ってどんなのなんですか?」
「お? 気になるかぁ、教えてやろう! この世界にはなぁ、四人の魔王がぁいる! 正体はほとんど知らねぇけど、一番危険なのが、大魔王っちゅうやつだ! それ以外はぁ、多分! 大したことない!」
最後の大雑把なのはなんなのだ......
それにしてもまさか魔王が四人もいるなんてね。大体魔王って一人じゃん? まぁ、気にしても今は関係無いから放置でいいよね。心の隅に置いておくのがいいや。
「アスカぁ! コカトリスさんをぉ、食べたいですぅ! うっぷ......うぅ」
「はいはい、リサーナはもう終わりにしようねー」
「わかったですぅ......むにゃむにゃ......」
リサーナが寝そうになったので連れていかないとね。まだギリギリ起きてるみたいだし。
「すみません、リサーナを寝かしてきますね」
「おうよ! んじゃ、明日朝一番のウィルガルム行きの馬車を予約しといてやるよ!」
「はい、ありがとうございます。お世話になります。おやすみなさい」
「うふふ、楽しかったわ。アスカさん、おやすみなさい」
お母様は結局最後まで酔わなかったな。お酒めちゃくちゃ強いのか。それか既に酔っているかだね。
「アスカー、アスカ〜」
「はいはい、ベッドで寝ようねー」
うーん、保育園の先生になった気分だ。リサーナを再び担いで部屋に戻る。
リサーナの部屋に入り、リサーナをベッドに降ろす。
「んー! 観光なんて出来なかったけどこの街ともしばらくはお別れかなー」
ベッドに腰をかけ、伸びをしてそんなことを呟く。
次の瞬間、肩を掴まれたと思ったら景色が回転し、ベッドに押し倒されていた。
「フフ、フフフフ。アスカぁ、私と赤ちゃんを作るのですよぉ!」
リサーナが完全に酔っている! しかも何か不吉な事言い出した!!
「り、リサーナ? 離してちょうだい? それに、女の子同士じゃどう頑張っても赤ちゃんは出来ないわよ?」
「心配ご無用ですよぉ〜、最近の魔法で同性同士でも赤ちゃん出来るようになっているのですよぉ! 図書館で読みましたからねぇ! 特別な魔法なんで難しいんですけどぉ、アスカなら余裕なんですよぉ!」
なんか変なところ発展しすぎじゃない!?
リサーナの目がおかしいよ! 後、私はそう言うのはムードとかを大事にするタイプでね......
って、そう言う問題じゃないし!! 私はそんなことやらないし!!
「お、落ち着いてリサーナ! 私はそんなこと出来ないしやらないからね!?」
「やらない......? 私と、ヤらない......? アスカは、私の事が、嫌い......?」
「え?」
「うっ、えぐっ......ひぐっ、ぐすっ! アズガがわだじのごどぎらいって! うわあああん!!」
ちょっ!?
リサーナが私に跨りながら子供みたいに泣き出した。
「り、リサーナ落ち着いてってば! 私は嫌ってないからね!?」
「うっ、それじゃ、好き......?」
あぁ! そう来るのね! 好きって答えたらこのまま襲われるのね! そんな未来が見えたよ!
でも嫌いって言ったら、リサーナはこのまま泣き続けるだろうしなぁ......どうしたものか。
ここはとりあえず泣き止ませる事が大事だ。いざとなったら振り解けるし!
「す、好きだよ......? で、でも! それは友達としてって事で、えぇと、そういう事にするんじゃなくて......ね?」
「好きですか? 好きなんですね! エヘヘ〜! 私も、アスカの事、だーい好きですよ! だーい好きです!」
デヘヘ〜、と顔がニヤけている。しばらく頭を撫で撫でしてあげていると、スヤスヤと寝息を立て始めた。私の上で。
まさか、リサーナがここまで好いてくるとはね。
そして酔うと危ないと言うことを忘れないようにしよう。主に、私の貞操が。
しかし、こんな可愛いリサーナに好かれるのは悪くない、悪くないのだが、ベクトルが違う気がする。
いつかリサーナに男が出来る事を祈るばかりだ。
翌朝、目覚めたリサーナは昨夜の事を思い出して、顔を真っ赤にして謝ってきた。一晩中下敷きになっていた私は、リサーナの涎まみれになったのは言うまで無いだろう。
リサーナが寝てから少し経ってから、幻視が解けた。抵抗できない相手なら半日近く効果が続いた。実験的になってしまったが、かなり強力な気がする。
旅立つ準備をする。変装はリサーナは迷宮に潜る時と同じで大丈夫だろう。私は娘さんに渡していたローブを返してもらい、それを着込む。
お母様に、部屋の修理代などを含めて金貨二十枚ほど渡した。渡す時、「こんなに受け取れませんよ。修理代も、今回は魔王騒動でギルド側が街の修繕は負担してくれるそうなので、大丈夫ですよ」と言っていたが、迷惑料と美味しいご飯とお酒代だと言って無理やり渡してきた。
お酒は......リサーナにはしばらく禁止にしよう。
娘さんも起きていて、アルテナ商会まで一緒に行くことになった。お母様にしっかりとお別れとお礼を言ったのだが、「また来てくださいね」と満面の笑みで言われてはまた来ないわけにはいかないだろう?
「ウィルガルムに言った後はどうするんですか?」
早朝の人気の無い大通りを歩いていたら、娘さんに聞かれた。
「リサーナの行きたい所に行く予定ですね。お墓参りが最終目標かな?」
「お墓参り......ですか。無事に辿り着くことを祈っていますね」
「ありがとう、コロン! 私の事はアスカが守ってくれるから問題無しですけどね」
リサーナはもう王族では無くなった事になるので、口調を砕けた言い方に変えるそうだ。まだまだ不自然だから要練習だね。大して変わってないように聞こえるのは私だけだろうか。
「また、会いに来てくださいね。いつでもお待ちしておりますから。父が寂しそうにしていますから、ちょくちょく帰ってきてください」
くすくすと笑いながら娘さんが言う。
なんと、オジサンは寂しいと感じてくれるのか。うん、今度はちゃんとお酒の手土産持って帰ってこよう。
「分かりました。ちゃんと、手土産持って戻りますよ」
そんな会話をしているうちに、アルテナ商会に着いたら、店の前でオジサンが待っていた。
「すまねぇな嬢ちゃん。定期便が規制され始めててな、早朝便は無くなっちまったんだ。でも安心しな! 俺の伝で昼間の馬車で行けるように手配したからな!」
「今日中に出ることが出来れば何も問題無いですよ。それまで軽く街を見て回ることにします。今回は大変お世話になりました」
ペコリとしっかりと頭を下げてお礼をする。リサーナもお礼を言ってる。
「へへっ、気にすんなっての! 俺のお得意様だからな! 今後ともご贔屓によろしく頼むぜ!」
「もちろんです。道具を買う時はアルテナ商会に来ますよ」
オジサンが涙目になりながらも馬車に乗るためのチケットをくれた。いいオジサンだ......!
そして私達は昼までプラプラと衛兵達を気にしながら少し買い物をした。
そして、昼になり馬車が来た。メルガスともしばしお別れかな。また来る時は騒動が収まった頃に来たいね。まだ見てないとこたくさんあるし。
「さぁ、行こうかリサーナ」
「はいっ!」
いい返事を聞き、馬車に乗るための列に並ぶ。




