ー幕間ー 七星傭兵団?
無口っ子可愛いですよね。
パチャパチャ。パチャパチャ。
私は今、閉じ込められてる。
魔力の使いすぎで動けなくなったところを、自称魔王様が見たこともない魔法を使って私達を閉じ込めた。
本当は死んでしまうところを息ができるように顔だけ出してくれた。
でも、どんなに暴れようとも、どんなに抜け出そうとしても出ることは出来ない。
隣ではアルマとかいう変な人と、団長が一度溺れさせられて意識を失っている。
他の団員も見てみると、脱出するのを諦めている者、生きるのを諦めようとしている者、一人でブツブツと何かを呟く者......。
私は、これからどうしようか。
「ねぇ、七星ちゃん? まだ生きてるかしら?」
この声は、多分四星の人だ。
七星傭兵団は日常はそれぞれバラバラに過ごしているけど、仕事の時だけ一緒という形なのだ。
だから名前とかは全く知らないから、星の名前で呼び合う。
「......生きてる」
「良かったわ。団長が急に変なこと言い出すからちょっと焦っちゃったわよ。それで、七星ちゃんはこれからどうするの?」
水に捕まっててもある程度は動ける。魔力とかは死なない程度に常時吸い取られている感じで何も出来ないんだけど。
「......どうする、って?」
「言葉の通りよぉ、見てわかるけど七星傭兵団はもう終わりじゃない? だから、今後どうするかって話」
この場の空気に合わないくらい明るく話している第四星。スタイルがいい上に水で濡れて少し透けているので、女同士でも目のやり場に困る。
「......私は、どうする?」
「質問に答えてちょうだいよ。私はね、裏稼業でやってた水商売を本格的にやろうかなって思ってるの」
七星傭兵団とは言っても全員それぞれの生活がある。稼ぎが良かった傭兵家業が失くなるんだから当然その後も考えなくてはいけないのだ。
第四星が水商売......とっても似合うと思う。と言うか天職だろう。
「......そう、頑張って」
「うふふ、ありがとう。それで七星ちゃんは何かやらないの? 他のところで傭兵とか?」
私は王国兵だったけど上のやり方に異議を唱えたら左遷された過去があるので王国や帝国では雇ってくれないだろう。
「......別に、無い」
「あらぁ? それじゃあ私のところに来る? 七星ちゃんは無愛想だけど可愛いから人気出ると思うわよ?」
「......それは、嫌」
「そう、残念ねぇ。人気出ると思うのにぃ! それじゃあ、今やりたいことを探してみれば? まずはそこからよ」
「......やりたいこと?」
やりたいこと......私の、やりたいこと......
考え事を始めた時、不意に体を浮遊感が襲う。
パチャッと音がして私達を捕まえていた水が白銀色になって風に乗って消えていく。
その時、魔王様の言葉を思い出した。
『私は魔王! リサーナ姫は貰って行くぞ! 私を倒したくば、会いに来るがいい!』
会いに来るがいい......
しっかりと二本の足で地面に降り立つ。周りを見ると他のみんなはぐったりとしながらも立ち上がり、その場からを立ち去っていく。アルマと団長は未だ意識を取り戻さない。
「あら? 何か思い付いたみたいね。何するの? 上に行くまで教えてちょうだい」
「......ん」
コクリと頷いて第四星と階段を上がっていく。
さっきまで水に濡れていたはずなのに捕まる前と同じように乾いている。よく見ると私の体も乾いている。不思議だ。
「......魔王」
「ん? ごめんなさい。聞こえなかったわ」
「......魔王に、会う」
「え"?」
第四星が驚いて固まった。
「あなたさっきの魔王に会うって言うの!? やめといた方が......って私が言うまでもないわね。頑張ってね、私も遠くからだけど応援してるわよ」
「......ん、ありがとう」
第四星は私の顔を見て何かを悟ったみたい。何か顔が熱いけど風邪でも引いたのかな。
上りきった所で第四星と別れる。
魔王に会いに行くために旅に出よう。確か、戦ってる時、炎の中から聞こえた声では神聖帝都に向かうと聞いた。私は身体強化の部分強化が出来るのだ。聴覚強化はお手の物。
だから、私は神聖帝都ウィルガルムに向かうことにしよう。そうと決まればまずは神聖帝都行きの馬車に乗れるように交渉しないといけない。
上手く出来るかな......。
待ってて、魔王様。




