1話 貧乳だと!?
私が次に目が覚めたのは、辺り一帯に広がる草原だった。
「どこだここ......」
本当にどこだここは。
地平線の彼方の方まで草原が広がっている。
まずは身辺調査からかな。
まずは服装なんだが、上下ジャージだ......
ダサい。
いや、まぁ、動きやすいし? ジャージ最高だなぁ!
現実逃避なんかでは決してない。ないったらないのだ。
で、一番問題なのが容姿だよね。鏡なんて持ってないし水も無いし、確認のしようがないのだ。
とりあえずわかっていることは、胸が無い。断崖絶壁だ。
......殺す。あの神様殺すわ。
「胸は女のステータスでしょ!? え? 前世と対して変わんない? 余計なお世話だよ!前世の姿は使えないとか言ってたじゃん! なんで胸だけ採用なのよ!」
はぁはぁ。ついカッとなってしまった
とりあえずずっとここに立ってるのも疲れるから町とかに行きたいな。
そう思い、辺りを見回す。
草、草、草、たまに木。
なんにも無い。
ん? 目を凝らして見てみるとずっと向こうに動く影を見つけた。
「ちょうどいいね。ここがどこか聞いてみよう」
とりあえず急ぐためにも走る。
走る、走る、はし、は、走る......
「ぜぇ、はぁ、全然、進んでなくない!?」
転生する前よりも体力低いかもしれないな。
どこ見ても草しか生えてなくて嫌になってくる。大草原ってか......面白くないわ!
「しょうがない、歩くか」
少し歩いていると六本足のネズミが5匹ほどの群れで過ごしているのを見つけた。
それも普通の大きさじゃない。大型犬よりも一回りほど大きいくらいの大きさだ。
「ネズミ? 六本足? て言うかデカすぎない? ここ本当に異世界だね」
生き物を見つけたらなんだか自分がお腹すいてることを認識する。お腹がぐ〜って鳴ったからだ。
「いやいや、さすがにお腹すいてるからってネズミ食べるのはヤバイよね......とりあえず狩ってみようかな」
唯一の所持品である腰からぶら下げている鞘に収められた小刀をギュッと握りしめて群れで過ごすネズミにそっと近寄る。
「キュウ!」
―――あ、バレた。
5匹の巨大ネズミがこちらを一斉に振り向く光景は正直気持ち悪かった。
あれ? 私体力無いし逃げれなくない?
とか思ってたら、一番嫌な展開に......追いかけ回されることになりそう......
だってジリジリ近付いてきてるもん。
「ひぃ!」
狩りなんて出来っこないよ! 何このハードモード! 最早難易度ルナティック!
涙目になりながら向かってくる巨大ネズミに向かって適当にナイフを振り回す。
「キュウゥ!」
あ、当たったわ。ラッキーだね。
振り回したナイフが運良く一番近かった巨大ネズミの頭に当たってスパッと切断する。
血飛沫を撒き散らしながら断末魔を叫びながら絶命した仲間を見て他の巨大ネズミ達は警戒しつつ少し下がりながらも、仲間を殺された事に怒っているみたいだ。
「えー、このナイフめっちゃ切れるじゃん。神様も切れるかな」
私の中であの神様を殺すことはもう確定したみたいだ。
「よーっし! このまま全部倒しちゃうよ! かかってこーい! ばっちこーい!」
生き物を殺すことになんの躊躇いも無かったのは1度人として完全に死んだからだろうか。ジャージ姿で片手にナイフだなんて傍から見ればただの不審者だよこれ......
1匹をマグレで倒したのに調子に乗りやすい私である。
そんな挑発をしていると、周りの草原の雰囲気が変わってきた。巨大ネズミを中心にして、いや、私を中心にして足元に巨大な幾何学模様の円盤の様なものが浮かび上がったのだ。
「え、何これ? この世界の文字? あ! 魔法陣じゃないのかなこれ!」
そうだ! 魔法があるじゃないか!
転生特典に魔法の能力貰っちゃったもんね、私最強ですからぁ!
――どうやって使うの?
最強の能力。あるよね、わかる。
でもさ、使い方わからないと宝の持ち腐れじゃん。
「使い方聞かなかった私も悪いと思うけどさ! 普通に教えてくれてもいいんじゃないですかね神様ぁ!?」
天に向かって吠える。
そんなことをしていたら足元の巨大魔法陣から何かが出てきた。
「何......これ......」
一瞬にして周囲一帯が怪物、化け物達に囲まれる。
四面楚歌ってレベルじゃない。
トカゲっぽいけど二足歩行してるやつからワイバーンみたいなやつもいるし、空飛ぶ蛇......あー、あれ龍ですかね?
他にも某風の谷の少女の映画に出てくる蟲さんみたいなやつもいるし、その蟲さんよりも大きい蜘蛛もいるし、吸血鬼かな? マントを翻して完全に私をロックオンしてるヴァンパイアさん達が大勢で集まってやがりますよ。
空と地、どちらもハエの一匹、ネズミ一匹も通さないほど隙間なく魔物の軍勢で埋まる。
「え、私もう死ぬんですかね? 転生して一時間で死ぬとかまじですか?」
最強の魔法を使えることはわかるのだ。でも使い方がわからないのだ。ジャージ一着にナイフ一本でこの軍勢を相手に取るなんて絶望的すぎる。
か弱い女性一人相手にこの量は正直頭おかしいんじゃないですかね?




