15話 変装はスキルでパパッと
説明回ですね。明日香以外の容姿を語るの完全に忘れていました。
ブクマ&評価ありがとうございます!
コカトリスを......狩るっ!
早朝。まだオジサン達が起きる前にリサーナを起こす。
「も、もう少しだけ寝させて......」
そう言ってもぞもぞと布団に潜っていく。
まぁ、お城じゃ熟睡なんて出来そうもないもんね。仕方ないからもう少し......ってわけにも行かないので布団を剥ぎ取る。
「あぁ! そんな! アスカ酷いです!」
「私達にそんな余裕は無いの、どんな風に変装するか考えなきゃいけないのよ」
私達は今、この街では指名手配されていて迂闊に外出なんて出来ない状態である。
人の噂も七十五日って言うもんね。まぁ、めんどくさくなったら二、三日でこの街を出ていくけどね。
でも、じっとしていても何も始まらないので暇潰しにコカトリスを狩りに行こうかと思う。
「変装ですか? 私は街娘とか似合いそうじゃないですか?」
心なしかリサーナがワクワクしているように見えるのは気のせいだろうか。
「楽しみなの?」
ギクッと音が鳴りそうなくらい驚いている。相変わらずリサーナは見ていて飽きない子だ。可愛い。
「ふ、不謹慎かもしれませんが......私、すっごい楽しみなんです!」
お、おぅ。ものすごいストレートに言うねこの子。でもまぁ、私から離れなければ問題無さそうだし万が一離れちゃってもどこにいるかわかるから大丈夫か。
「そ、そう......じゃあ、めいっぱい楽しまないとね」
「はい! ありがとうございます!」
変装は結構簡単にできた。
リサーナは、娘さんのお母様の洋服を借りて、腰まであった流れるような金髪を頭の後ろで纏めて深めの帽子を被らせることにした。この帽子は『隠密』と言うスキルが付いているので丁度よかった。
でも結構大きい帽子で隠密してもすぐバレそうなものだと思うのだけれど......。あ、街の中に潜む時ならバッチリなのかな? まるで今回のような事のためにあるもんじゃないか!
ちなみに私の方はローブが無いので、髪を隠すようにツバ付き帽子を深めに被るだけで良かった。ローブの下の服装はリサーナ以外に見せていなかったので私に気付く事は無いだろう。
決してお母様の服は単純に大きくて、娘さんの服は体の一部が余るとかそういうことではないのだ。ないったらないのだ!
髪の毛を隠したのは目立つからだ。この前アルマさんに見せた時、結構驚かれてたから隠すことにした。
そして後は私の詐称スキルと情報操作スキルを使って私達の情報を少し変える。
それと、リサーナのステータスを見た時に少し驚いたことがあった。
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リサーナ=メルガス 女性 17歳
半人半魔
レベル5
HP50/50
MP15/15
STR12
VIT14
《スキル》
呪い、魔族魔法Lv.1、破滅魔法Lv.2、覚醒
《称号》
忌み子、呪われし子、醜女
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魔族魔法と破滅魔法を覚えているのだ。
しかし、呪い以外のスキルの文字が薄く灰色になっていてきっと使えないのだと思う。
このスキルが知られていたらきっと処刑されちゃうんじゃない? 私は詐称スキルで呪い以外のスキルを不明に変えた。
それにしても呪いって状態異常とかの類じゃないのかな? それかこの半人半魔の呪いをかけたのはリサーナ自身なのかもしれない......
称号がどれも不吉な物しかない。リサーナ、本当に何者なのだろうか?
まぁ、関係の無いことは考えないようにして私とリサーナはお母様の朝食を少し食べてギルドに向かうことにした。
娘さんとオジサンは既にお店の方に行ったそうだ。誰も起きてないと思ったが既に起きていたとは。
道中、怪しげな目線を感じたが直接声をかけてくるような人はいなかったので無事にギルドに着いた。
見られていたのはリサーナが挙動不審だったのが原因だったのかもしれない。
ギルドの扉をくぐった時、いくつかの視線を感じたが私達の事よりも他の話題でザワザワしていたので問題無く進むことが出来た。一番心配していた酒場の野郎共は何か依頼でも行っているのか、静かに飲む人達がまばらにいるだけだった。
受付嬢はこの前の美人受付嬢ではなく、貫禄があるがどこか優しそうなオバチャン受付嬢だ。
「あら? 女の子だけでどうしたのかしら、依頼?」
「はい、コカトリスの依頼を受けたくて来ました」
「コカトリスねー、分かったわ。今ならメルガス領の森の巣から卵を持ち帰るのと、迷宮に大量発生したコカトリスを狩るのがあるわよ」
前者はだめだな。卵を持ち帰るだけなんて本命の卵を貰えないじゃないか。迷わずに後者を選ぶ。
「迷宮の方で、お願いします」
「あら、貴女達何ランクなのかしら? ちなみにこの依頼はDランクの依頼だから気を付けてね?」
「ランクですか? 私は昨日登録したばかりですが、こちらは......まだしてないのです」
ランクなんて聞いてないぞ? あの美人受付嬢さんはもしかして仕事サボった感じなのか? ゴールドを金貨として教えてくれなかったりでなかなかの悪い女だな。
私の中で悪い女ランキング暫定1位に躍り出る。
「あらー、じゃあそちらの子、登録して行く? パーティなら1人でも登録していれば依頼は受けられるから別に必須ってわけじゃないわよ?」
登録は名前バレるからやめておこう。
お金もかかるしね。
「登録は次来た時にでもしますよ。後、迷宮で倒したコカトリスの死体とかは貰ってもよろしいんですか? 卵とかも」
「えぇ、いいわよー。迷宮の中では獲物は仕留めた人の物、レアアイテムも最初に見つけた人の物ってことになるわね。それにしてもコカトリスは結構強いわよ? 無理しないようにね」
良かった。これで心置き無く狩れそうだ。後、迷宮の方も少し気になってたんだよね。アルマさん達に会いそうだけどそこはなんとかして逃げようかな。
「あ、ランクって教えてもらってもいいですか? 昨日何も聞かずに飛び出しちゃったものでして」
「あらら、テンション上がっちゃったのねー、わかるわよー。それじゃあランクについて話すわね。ランクは下からF、E、D、C、B、A、AA、Sとなるわね。Fランクは基本的に初めて登録した人はここからスタートするわね。登録時に50ゴールド以上出すと一気にDからになるけどこれは貴族達が楽したいからって決めただけで強さはみんなFランクね」
そこから色々と教えてくれた。
幾らかの依頼をこなすとランクが上がるらしい。
冒険者はみんなAを目指すらしい。何でAAやSを目指さないかと言うと、それらは勇者や現ギルドマスター程の力がないと無理だそうだ。彼らは異常なまでの力があって、一般的な冒険者では絶対に届かないそうだ。
それにしても魔王がいるからか勇者もちゃんといるんだね。今度会ってみたいな。
しかし大体の冒険者はBになる前に死ぬか引退するそうだ。10年かかってBに行けない者はそれ以上稼げないと、ギルドから見離されるようだ。ギルド酷いな。
ちなみにアルマさん達はパーティ総合ではAAランクだそうだ。アルマさんが1番強く、次にガルスさんだそう。あの人本当に強かったんだな......
「それで、迷宮についても教えてもらっても?」
まだまだ聞こう。聞ける分だけ聞いておかなければね。戦いは情報戦なのだよ!
リサーナは黙っていると言う約束をしたので律儀にずっと黙っている。時々私にくっ付いたりして来るが黙っているので大目に見ることにした。
迷宮は少し昔、オバチャンが冒険者をしていた頃に突然メルガス領に大きな縦穴が出来て、そこを地下いっぱいに広がるように伸びた迷宮らしい。それにしてもオバチャン元冒険者だったのね。
入り口は8つあり、現在までに3つの穴が完全に制覇されたらしい。3つの穴はどれも低層で行き止まりだったそうだ。そして、1番深いと予想される穴にアルマさん達は探索依頼を受けて行っているそう。そこは現在40階層まで探索されており、強力な魔物が数多く存在している。どんな魔物が出るのか聞いてみたが、どれも死の草原に出てきた鬼畜モンスター達より弱い。
「――それで、今回の依頼のコカトリスがいる階層は15から20階層付近だね。石化されたら死んだも同然だからね! 気を付けなよ!」
「はい、ありがとうございました。掃討したら魔法石を持って戻ってくればいいんですよね」
魔法石とは魔物を倒すと落とす、魔物の核のようなものだ。強い魔物ほど綺麗で澄んだ色の魔法石を落とすらしい。
「そうさ、証拠として持ってきてくれれば報酬金とランクアップをさせて上げるからね!」
ふむ、このオバチャンは色々教えてくれて親切なものだな。これからはなるべくあのサボり女よりオバチャンがいる時に来ることにしようかな。
オバチャンは最後に身を乗り出して私達だけに聞こえるように言った。
「リサーナ様をしっかり守りなよ」
その一言にビクッとする。このオバチャン......できるっ!!
「な、何のことでしょうか......?」
あぁ、リサーナがめちゃくちゃアワアワしてる。バレバレじゃないか。
「私はそれなりに修羅場を経験してきたからね、そんな変装、すぐにわかるよ。でも安心しな、誰にも言わないからね。リサーナ様も、ボロを出さないように気を付けなよ」
「は、はい。気を付けます」
オバチャンが本当に凄い人だと思った瞬間だった。
私達はそそくさと逃げるようにギルドを後にする。
次に向かうのは迷宮だ! そこでコカトリスをたくさん狩ってウハウハするんだ!
「アスカ、守ってください! 見ていますから!」
堂々と見てますよ発言するリサーナにこの子が強くなるのはまだまだ先だなと思いつつも迷宮へ足を向ける私達なのだ。
次回から迷宮の呼び方を迷宮だけにします。
(べ、別にめんどくさくなったとかではないですよ!)




