表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第一章
14/108

13話 オジサン一家と賑やかな夜

少し短めです。

評価&ブクマありがとうございます!

嬉しくて飴玉を喉に詰まらせて死にかけました


 早く親子丼が食べたいなぁ。

 完成した料理を見て思った。


「さあ、ご飯が出来ましたよ。皆さん席に着いてください」


 アルテナ商会メルガス支店店長のオジサンの奥さん、メルテラさんと言うらしい。

 メルテラさんの一声で私達は席に着く。


「おう、今日は豪華だなぁ!」

「リサーナ様もいますし、久しぶりのお客様でついつい奮ってしまいました」


 うふふと笑いながら夫婦で話す図はシュールでありながらもどことなく絵になる雰囲気である。


「お母さん、私こんなに食べれないよ......」

「コロンはもう少し大きくなりなさい。でないといい男を捕まえられないわよ」


 どことは言わないが既に私より大きいのにさらに大きくするつもりだろうか。それにお母様の方もなかなかの大きさである。巨乳の部類だな。憎たらしい。

 はっ! まさかこの料理に胸を大きくする秘密が!?

 と言うのであれば私はどんなに美味しくなくてもこの料理を完食しなければいけなくなったわけだ。


「いただきます!」

「アスカ? それは何ですの?」


 リサーナが不思議そうにこちらを見ている。見渡すとオジサン達も不思議そうな顔をしている。

 どうやらこの世界には食事の前の挨拶が無いみたいだ。


「これは私の故郷で食事に対して感謝を捧げる意味があるのですよ」


 うむ、間違ったことは言ってないと思う。学校の授業でこんな事を言っていた気がするな。もう十年以上前だからうろ覚えだけども。


「そうなのですか! 素晴らしい風習ですね、私達もやりましょうか」

「嬢ちゃんは本当にどこから来たんだ? 珍しいことや俺らの知らないことまで知ってそうだよな」


 ギクッ。ちょっとオジサン鋭いなぁ。


「そんな事より食事が冷めてしまうわ。早く食べてちょうだい」

「そうだな。それじゃあ、嬢ちゃん達と一緒に『いただきます』」


 大人数で食卓を囲みながら、談笑をしながら食べるというのは一種のスパイスでもあるのかもしれない。

 お母様は料理が上手なのか、外で食べた物よりずっと美味しく感じた。


 でも、早く親子丼食べたいよ......


 楽しい食事中、どうしてこうなったのかと聞かれたので軽く経緯を話したらまたもオジサンに大笑いされてしまった。


「ガハハハハ! 嬢ちゃん、面白すぎるぜ! リサーナ様が嬢ちゃんに惚れるのも仕方ねぇってもんよ! こりゃ、そこら辺の男よりもカッコイイかもしれねぇな!」


 褒められている気がしないのは何故だろうか。


「えっ、リサーナ様ってこの人......」


 娘さんが私の呼び方に詰まる。そう言えば教えてなかったっけか。オジサンはずっと嬢ちゃん呼びだもんね。


「アスカよ。アスカ・ニシミヤ」


 ぺこりと娘さんが軽く頭を下げる。うむ、いい子だ。


「リサーナ様ってアスカさんのことが好きなんですか?」

「っ!? げほっ、げほっ、げほっ!」


 急に聞かれて驚いてむせている。お母様が「あらあら」と言いながら水を差し出す。

 顔を真っ赤にして照れながら差し出された水を飲んで落ち着いたのか、


「ち、ちち違いますよ!? わ、わた私はただ、アスカと一緒にいると......えーっと、そのー」


「「一緒にいると?」」


 オジサンと娘さんの息がピッタリである。

 娘さんはそう言う話が気になる年頃だからわかるが、オジサンよ。アナタは何歳なのだ。乙女か。


「そ、そうです! 一緒にいると落ち着くと言うか、楽しくて、ずっと一緒ににいたいなって思うだけです!! ってあぁ! 私ってば......」


 顔を隠してイヤンイヤンと照れているリサーナをみて娘さんとオジサンはものすごくニヤニヤしている。

 お母様は相変わらず「あらあら、若いわねぇ」など微笑ましくその光景を眺めている。


 そんな時私とリサーナの目が合う。

 ボッ! と音がしそうなほどリサーナがさらに顔を赤くして倒れてしまった。これは先が思いやられるな......


 お母様の料理は普通に美味しくて出された料理は全て綺麗にいただいた。



 そして、夜。お風呂の準備が出来たと言うことでお客様からどうぞ、とお母様に言われて私はお風呂に浸かっていた。


「はぁ〜。やっぱりお風呂っていいねぇ〜、癒されるわぁ〜」


 そう言えば転生してきてから初めてのお風呂だ。今までは魔法で出した水で布を湿らせて体を軽く拭くくらいだった。別にずっとローブを着ているので特に問題は無かったのだ。


「お着替え、こちらに置いておきますね。そう言えばアスカさん、着ていた物は?」


 娘さんが着替えを持ってきてくれたみたいだ。優しいね。でも私が着ていた服が洗濯する所に無いのを不思議に思っているみたいだ。どうしようか。


「あっ、えーと、このローブだけで大丈夫だから」


 そう言ってお風呂の中でアイテムボックスを開いてローブを取り出す。


「わかりました。明日には乾いていると思いますよ」


 ふう、なんとか助かった。

 そう言えばローブを脱いでから初めて気付いたのだけど、自分のスキルの中に「詐称」と「情報操作」の2つのスキルが新しく出ていた。


 これはもしかしてもしかしなくてもスキルを使っていれば持っていないスキルでも習得できるのでは!? と、言うことを思い付いた。


 と、言うことはだ。

 持っていないスキルもそれに因んだ行動をすればスキルが覚えられるかもしれないのだ!


 でも今は特にこれと言って欲しいスキルが無いのでこれは保留としておこう。

 でも、明日からローブを着ることがほぼ不可能になったので詐称と情報操作のスキルを手に入れられたのはかなり大きいと思う。明日は帽子でも被ってリサーナも変装させて少し街の様子を見ることにしよう。


 次にお風呂入るのはリサーナだからか、着替え終わって脱衣場を出たところにリサーナが待っていた。


 私が出てきたことに気付くとリサーナはそそくさとお風呂に向かって行った。

 リサーナは王女様感が無いような気がする。いい意味で。

 普通王女様だと1人じゃなんにも出来ないから付き人にアレをやれだのコレをやれだの無茶振りをどんどん命じるようなめんどくさい性格の人物を思い描いていたのだが、リサーナは何でも1人で出来そうなのだ。


 でもそこら辺はリサーナには聞かないようにしよう。嫌なこと思い出させるのもなんだかね。


 それにしても娘さんの持ってきた寝間着がとても恥ずかしのだが。

 下着の上に軽く羽織るだけのようなネグリジェのような格好である。純日本人の私にこれは正直キツいものがある......。


 オジサンは朝が早いためすぐに寝たそうだ。

 お風呂はいつも朝早くに入っているそう。早朝出勤とはなんだかサラリーマンのようだな。

 お母様は寝るまで自分の部屋などで編み物をしているそうだ。娘さんの服はほとんどお母様の手作りみたいだ。細かい刺繍とかもしてあって素敵だ。

 娘さんは自分の部屋で日記を付けたり、手紙を書いたりしている。時々お母様と娘さんは一緒に寝るらしい。



 そんなこんなでもう夜も更けた頃。

 私は1人、案内された部屋の中でこれからの事を考えていた。


「さて......。これからどうしたものかな」


 考え事をしている時に独り言が出てしまうのは前世からの癖なので仕方ない。


「ずっとお世話になっているわけにもいかないし......リサーナはお城での安全を確保してから送り届けないとだしな。一層の事このまま連れて行っちゃうのもありかなぁ......」


 今の状態で帰してもさらに肩身の狭い思いをすることになるだろう。今までよりもずっと狭い思いを......


 そんな時、扉を軽くコンコンとノックする音が聞こえた。

 誰だろう。既にこの家の人達は寝たのを確認している。

 少し警戒しながら扉を開けると、そこには私と同じようなネグリジェ姿のリサーナが立っていた。

 さっきの言葉聞かれちゃったかな。


「アスカ、こんな夜にごめんなさい」

「リサーナ? どうしたの? とりあえず入って」


 リサーナを椅子に座らせて私はベッドに座る。


「あ、あの! アスカはどうしてこの街に来たの?」

「突然どうしたのよ。理由なんて特に無いわよ」


 本当に突然で驚いた。

 理由を言うとなると転生したら近くにこの街があったから。......と言う理由になるのだけどそれは話がややこしくなるだけなのでやめておこう。


「そ、それじゃあ......私を連れて行ってくれませんか!?」

「へ?」


 唐突すぎて変な声が出てしまった。


「た、旅に出ませんか? この世界はまだまだ知らないことがたくさん......」


 やっぱり聞かれていたのかな?


 だが、なるほど。要は今のこの環境から逃げたいのか。しかし、逃げるだけではリサーナは何も変わらないと思うのだ。逃げるなら今までよりも兄や姉達から狙われるだろう。もしかしたら暗殺を図る者がいるかもしれない。

 リサーナが本当に逃げることしか出来ないのであれば私はその案を飲んだだろう。しかし、リサーナはちゃんと戦うことができる。戦わなければいけないのだ。そうしなければリサーナはいつまで経っても変わることなどできない。


 本当はリサーナの意見を尊重したい所だが、ここは一つ賭けてみよう。


「本当にそれでいいの?」

「っ......!」

「リサーナは、本当にそれでいいのかしら?」

「それは......」


 リサーナだって本当はわかっているはずなのだ。

 意地悪しているように思うがこれはリサーナが自分で気付くことが大事なのだ。


「貴女は、親子丼って知ってるかしら」

「オヤコドン?」


 急に話が変わったことと聞いたこともない言葉にキョトンとするリサーナ。


「私が世界で一番好きな食べものなの」

「聞いたこと無いわ......。アスカの故郷の食べ物かしら? 食べてみたいわ」


 私はどうしてこんな話をリサーナにしたのか自分でもよく分からない。

 本当に親子丼が食べたくてこんな話をしてしまったのかもしれない。


 親子丼が好きだなんてズボラって? 丼物の可能性は無限大! コスパ的にはパスタ並に最強なのだ......!





「私はね、昔イジメられていたの」


「っ!? アスカが? 今はこんなに強いのに......」

「そうね、この力はただの棚ボタみたいなものなの。本当に強い人は私なんかじゃ絶対に敵わないもの」


 これは、私だけが知っている。私の話。

 少し昔の話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ