9話 アルマとの夜会 -その1-
※アルマのステータスを修正しました
「ローブちゃんって、転生者でしょ?」
―――え?
待って、待ってよ。ウェイトウェイト......
ふぅぅ、落ち着いてるね、私。おーけーおけー。
「何のことでしょうかっ?」
あっ、緊張しすぎて最後声が上擦ってしまった。
アルマさんめちゃくちゃニヤニヤしてるよ、絶対これバレバレだって。
あれ? でも別にバレても問題とか無くない?
シュバルだってバラすなとか言ってなかったし。
じゃあ、バレてもいいのかな。
「大丈夫だよ、特に何かをしようとかそういうんじゃないから」
信用は出来ないけどなんとなくこの人なら口外はしないだろうなって思ったので言っても大丈夫だろう。
「はい。私は転生者です」
「やっぱりねー、そんなにスキルもレベルも隠しちゃって怪しいとおもったんだよねー! ガルスの威圧耐えられる子がそこら辺にいるわけないしねー」
ふむ、ガルスと言う人は本当に強いらしいね。
私から見るとそこまで強そうには見えないんだけども......
ん? 待ってね、気になること言ったよね?
「スキルもレベルも隠してることがわかるんですか?」
「わかるよー、だって私も転生者だし」
「えっ?」
おぉ? アルマさんも転生者なのか!
いやぁ、異世界で1人って言うのは結構寂しいものがあったからね、同郷かはわからないけど同じ転生者ってだけで安心できるというか。
「その反応、もしかしてなんにも知らないって感じ......?」
「まだ来たばかりで、この世界のこととか転生について教えてくれませんか?」
「私の知ってることならなんでも教えてあげるよ〜」
そこからは質疑応答の時間だった。
アルマさんは前世で死んだ後、私と同じく転生の間にいてそこには女神ノルンと名乗る神がいて、望むものを与えて転生させてあげようと言われたそうだ。
私と同じだね。
だけど、アルマさんは特に何も望まなかったそうだ。
なんかアレやコレやと考えた私が恥ずかしくなった。
だからと言うべきか万能タイプ。攻守にバランスよくステータスが振られており治癒魔法もできるようなステータスで転生させられ、今に至るらしい。
「で、今は冒険者家業をして生活してるってわけ」
「でも、そんなこと私に話しちゃっていいんですか? もしかしたら私が貴女を殺しちゃうかもしれませんよ?」
自分の使う魔法やステータスの事まで話してしまうと戦術等からとことんまで知られてしまい、不利になるのは当然だ。
私は過去にゲームのギルドメンバーに裏切られたことがあるからね、それから私は秘密主義に生きてきたつもりだ。
「ふふっ、ローブちゃんには教えてなくてもすぐにバレちゃうでしょう?」
え? 私ならわかるの?
そんなわけない。初めて聞いて初めて知ったのだから。
「あら? もしかして鑑定使えないの?」
「鑑定ですか? 普通に使えますが......っ!」
使ってみてわかった。鑑定さん、いや鑑定様は強すぎる。
だってこれ相手のステータスまで見れちゃうんですよ!?
流石にスキル系は無理でしょとか思ったけど普通に見えてる......
アルマさんのステータスはこうだ。
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アルマ・ウィングリット 女性 22歳
職業 戦士
レベル42
HP700/700
MP1020/1020
STR1300
VIT890
《スキル》
火魔法Lv.3、水魔法Lv.3、風魔法Lv.3、土魔法Lv.3、治癒魔法Lv.2、剣術Lv.7、鑑定Lv.10、神の加護
《称号》
転生者
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普通......なのかな? でも神の加護って言うスキルが気になるな。
「強い......ですね?」
「んー? なんで疑問形なのかは聞かないでおこうかな。こう見えても私、人間界じゃ最強なのよ!」
Cカップくらいの胸をババーンと張る。
それにしてもレベル42で最強なのか......
これはちょっとレベル隠さないとまずい気がする。
「ねえねえ、ローブちゃん。そろそろお顔を見せてくれないかな? あと、鑑定させて?」
「顔を見せるくらいならいいですけど鑑定はお断りします」
これはすっぱりと断らないとね。
私を鑑定されたら大変なんだよ。
「えー! そんなに隠したいことがあるの? 私誰にも言わないよ?」
「そう言う問題じゃないんです。私は、化け物ですから」
昼間実際に言われちゃったもんなぁ。
そう言ってフードを取る。
夜風に銀髪が揺れる。真ん中と右側に黒のメッシュが入ってるので個人的にはかなりお気に入りなのだ。
目の紅色 (決して血の色なんかじゃないです) はしっかりとアルマさんと見つめ合う。
「わお」
なんか予想以上に驚かれちゃってる。
そんなに銀髪って珍しいかね? まぁでも街では銀髪なんて見かけなかったしな。
「名前、教えてもらってもいいかな......?」
あれ、鑑定でわかるんじゃ......ってどうやらローブの情報操作スキルで『不明』となっている。
「アスカ。アスカ・ニシミヤです」
「アスカね! 可愛い顔なのにフード被ってちゃもったいないなぁ」
「ありがとうございます」
容姿を褒められたのはアルテナ商会のオジサンに次いで2人めだ。その......凄く、嬉しい。
「これから仲良くしましょうね。あと、そのローブを脱いでくれると嬉しいんだけどねぇ」
どんだけ私のこと知りたいんだよ......
「それだけは、ダメです」
「そこまで頑なに隠すとは一体何があるのかどんどん気になってくるね〜! あっ、もしかして胸が」
「あ"?」
「ナンデモナイデス」
胸のことは絶対教えない。私のステータスもレベルも。
特に胸のことは死ぬまで誰にも教えないぞ。知りたいとか言ってきたヤツらはシュバルを殴る前の余興として嬲ってくれようか......ぐへ、ぐへへへ......
「あ、これ胸のこと聞いちゃいけないやつかな......」
急に変な笑い方をしながら虚空を見上げ始めた私に対してアルマさんは半眼になって見つめていた。
その後、この世界について教えてもらった。
正直どうでもいいことばかりだった。
魔王がどうとか。迷宮がどうとか。
私は美味しいご飯と楽しい生活ができればそれで良いんだけどね......
はっ! 美味しいご飯と言えば!
「あの、この世界の料理って美味しい食べ物あるんですか!?」
「えっ? 急に何を......まぁ、この世界は食材は美味しい物はあるんだけど料理人の腕が正直底辺なんだよね。でも私は時々宮廷料理食べにお城に遊びに行ったりするけどね。宮廷料理は全然違うよ。めちゃくちゃ美味しいの!」
なんだって!?
これならアルマさんの約束放ったらかしにしてリサーナに付いて行けばよかった!
「ねぇ、なんか変なこと考えてない?」
「別に約束放ったらかしにしてお城に行けば良かったなんて考えてないよ」
「考えてるじゃん!! それにお城なんてそう簡単に入れないよ? ましてや一般客に宮廷料理なんて出てくるわけないし」
「リサーナの紹介なら食べれなくもないじゃないですか」
リサーナと言う言葉を出した瞬間、アルマさんの表情が曇った。なんと言うか、自分を責めている表情だ。
「リサーナ......あの子の紹介でもきっと無理よ」
そっかー。無理かー。
「あっ、でも食材は美味しいんでしたよね? なら自分で作ればいいんですよ!」
そうだな。うん、無いなら作ればいい。
異世界生活での目標は美味しいご飯だね。
こう見えても私のご飯は自他ともに認める美味しさなのだよ。
自炊はちゃんとしてましたしね。28年間彼氏なんていないから一人暮らししてからずっと自炊でしたよ。えぇ、悲しくなんてないですよ? 全然。
―――泣いてなんかないです。ぐすっ。
「そうね、調理器具とかなら道具屋とかにも売ってると思うわ。私もこっちの世界の料理はあんまり好きじゃないし......アスカ、良かったら私にも作ってちょうだい」
「いいですよ。じゃあ適当に作って今度持って行きますよ」
「あっ、ごめんなさい。私は今日から暫く迷宮にパーティで潜ることになってるの。だから帰ってきてから頂こうかしら」
ふむ、別にダンジョンまでデリバリーしてもいいんだけどめんどくさいからいいか。
そんな話をしていたらいつの間にか太陽が東の空から顔を出していた。街の人達も少しずつ起き始める時間だ。
「あっ、私はそろそろ今日の準備を始めるわね。また会いましょう! 料理食べに行くから泊まるところ見つかったらギルドの掲示板に、私宛に手紙置いてちょうだい。帰ったらそこに直行するわ!」
どんだけこの世界の料理嫌いなんだろうか。
凄い剣幕で手紙置いてけって言われた。
「気を付けて下さいね。美味しいの作りますよ」
「あー、これで一番の問題が解決するかもだわ〜! それじゃ、またね!」
そう言ってアルマさんは走って行ってしまった。遅刻ギリギリだったのだろうか。
うーん、とりあえずレベルとステータスは隠すことにして、まずは当面の目標。住む場所確保と美味しいご飯だ!
「アルテナ商会で必要な物揃えようかな」




