爆散の美学 2
空が茜色になり、きれいな夕焼けに包まれた今日この頃
俺は学園の裏庭に腰を落としていた
「あー腰痛ぇ、もうやってられるか」
草むしり、腰を落とし姿勢を低くして雑草という名の憎きあん畜生を延々と見敵必殺の精神で引っこ抜き続ける実に面倒臭い作業である
俺は握り拳を作って腰をトントン叩いた
腰には肩こりにも似た重く鈍い痛みがはしっていた
非常にジジイ臭く見えるが痛いものはしょうがない
何度か叩いていると痛みも和らいで多少楽になった
「真紅郎、文句言っている暇があったら手を動かしてよ、速くしないと日が暮れるまでに作業が終わらないよ」
「わーてっるよ、だからこうして頑張ってるんだろうが」
そう言いながらまた中座のような状態に戻り、草むしりを再開した
無心になって草をむしり続けていると、何故俺はこんな事やっているのかと考えても何の意味もない非生産的な考えが沸いてくる
「高坂君、そんな変な顔をしないでくれる?こっちまで気が滅入ってくるのだけど」
少し離れた場所で草むしりをしていた禍月が子供に叱りつけるような口調で言ってきた、畜生俺はお前の子供じゃないぞ
「林原先生も随分弛い内容の仕事をさせるわね、初日だからかしら」
「そうだよね、ゴミ袋を一杯にすればいいだけだし
だから真紅郎も頑張って、僕達の中で一番進みが悪いよ」
岬の言う通り林原先生から言い渡された奉仕活動の内容裏庭の草むしり、燃やせるゴミの大袋を一杯にしたら、帰ってもいいという割りと簡単なものだった
裏庭はバスケットコートより二まわり以上の広さがあり、一面雑草がほぼ隙間なく生え散らかっている状態だ
これ全部やらないといけないとなると本気でゾッとすると同時に余りの面倒臭さにやる気をなくしていたかもしれない
そう考えれば楽といえば楽なんだが
「それはそれこれはこれ、面倒な事にはかわりはないないんだよな」
口に出すとより面倒臭くなってきた
「真紅郎、僕もうそろそろ終わりそうなんだけど終わってもいいかな」
「速過ぎんだろ、俺のペースに合わせてくれよ
つーか、終わったら一人で帰るつもり?!そんな殺生な、待っててくれよ、いや、待っててください、親友だろ」
「サボっている貴方が悪いのよ、一緒に帰りたいなら頑張りなさいな」
岬のゴミ袋はパンパンではち切れそうになるくらいになっていて
禍月は大体7、8割くらい、そして俺は半分以下しか入っていなかった
これの結果を見れば俺がどれだけ不真面目にやっていたかお分かり頂けただろうか
「はい、これでおしまい」
岬のその言葉に反応して後ろを振り向くとゴミ袋の口を縛っていた
「え、何、岬くん終わっちゃったの、もしかして帰るとか言わないよね、言わないって信じているよ」
「帰るけど」
岬が非常に冷めた目でこちらを見てくる、鳥肌立ってきた
別にそんな倒錯した性癖なんてもってないのに
「今夜はどうしても外せない用事があるの」
「用事って何」
「おじいちゃんとおじいちゃんとご飯食べに食べに行く」
「俺とご飯どっちが大切なの」
新婚夫婦でありそうな家庭より仕事を優先する夫に言い放つあの台詞をイメージして情に訴えかけてみた
「ご飯」
ほんの一握りの期待はしてたのに無惨に、というか予定調和のようにバッサリ切られてしまった
「義城君、そんな大事な予定があるなら速く帰りなさい
ご家族とのコミュニケーションは大切にしないといけないもの」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ここにどうしようもない怠け者が居るから、僕が帰った後ちゃんと仕事をするか心配なんだよね」
まるで使い道のない役立たずの豚を見るような目を向けてくる岬、ねぇ、ちょっと酷くない?
「心配しなくても高坂君は私がしっかり監督しておくから、安心しておじいちゃんおばあちゃん孝行
をしてきなさい、そういう相手がいるうちにやっておかないと後悔するわよ」
禍月はそう言うと少し寂しそうな顔をした
「もしかして禍月さんは家族とかいなかったりするのかな」
岬は禍月の表情から読み取って遠慮がちに聞いた
「もう随分前に亡くなったわね、血縁者も一切いないし、文字通り天涯孤独ね私は」
俺とあまり年が変わらないのに化け物退治の仕事をしているから、普通とは違った生き方をしていると
予想していたが家族がやっぱりいないんだな
そりゃそうだ、まともな神経をしている親は切った張ったの命の取り合いをする戦場に笑顔で送らんだろう
「ごめんなさい、悪い事を聞いちゃったかな」
「気にしなくても大丈夫よ義城君、私はこの問題については既に自分なりに決着をつけているから」
禍月はウインクをすると岬の頭を撫でた
まるで慈愛に満ちた聖母のようなオーラを纏い卓越した撫でスキルで岬は完全に骨抜きされ、顔がトロン
と蕩けていた
岬の顔マジでエロい、男のしていい表情じゃないぞそれ、ホモの皆さんだけではなくノーマルの野郎共
も大量に釣れろぞ、もう釣りすぎ注意でキャッチアンドリリースを強く推奨されるレベルで
「ほら、行きなさい」
「あ、、、う、うん、ありがとう、じゃあ禍月さんまた明日ね、真紅郎もまた明日ね」
「おう、気をつけてな」
岬は蕩けた顔を元に戻すと顔を真っ赤にして走っていってしまった
「自分のゴミ袋くらい捨てて行けよな」
いくら慌てていたからって後片付けくらいして帰れや
「やっと終わったみたいね」
「ああ、本当にやっとだよ」
俺は汗をグッショリとかいて裏庭に大の字になってぶっ倒れていた
あれから禍月の口車に乗せられて本来のノルマのゴミ袋一袋の倍であるゴミ袋二袋分の草むしりを
やらされていた
騙されて煽てられてしないでもいい苦労をしてしまったが、綺麗になったし、まぁいいか
「よく頑張ったわね、お疲れ様、はいこれご褒美」
そう言うと禍月はペットボトルのスポーツドリンクを差し出してきた
俺は上体を起こすとペットボトルを受け取ると直ぐに封を開けて、ラッパ飲みをして中の液体を
貪るように一気に飲み干した
喉がカラカラに乾いていたから滅茶苦茶旨かった
全身に水分が行き渡り生き返るようだった、五臓六腑に沁み渡るとはまさにこの事だろう
「あーうめぇ、最高だ」
「それは良かったわね、そこまで喜んで貰えるならわざわざ用意した甲斐があったというものだわ」
禍月は自分の分のペットボトルの封を開け、一口二口飲んでフゥーと息を吐いた
「喉も潤い人心地ついたでしょう、ゴミ袋をゴミ捨て場に持っていって帰りましょう
あ、そういえば私ゴミ捨て場の場所知らないから案内してくれる?」
そう言うと禍月は俺、岬、禍月、計四つのゴミ袋を次々と投げ渡してきた
「おい、まさか全部俺に持てっていうのか」
「ええ、勿論、か弱い女の子に重い荷物を持たせるものじゃなくってよ」
禍月は微笑を浮かべた、一つ一つの重さは大した事はないが四つ分はそれなりの重さになる
確かに女の子が持つには多少辛いだろう、あくまでそれは普通の女の子に当てはまる、だが目の前のコレは
「何かしら向坂君、その目は、まるでどこにか弱い女の子がいるって思っている目ね、それは」
「実際か弱くないだろうが、刀片手に暴れてまくる、暴力教師を返り討ちにする
そんな事をする奴のどこがか弱い、辞書を引いてか弱いという意味をちゃんと調べて勉強し直せ
お前の認識がどれだけ間違えてるか理解出来るだろう」
俺の文句を気にした様子もなく彼女は笑みを浮かべていた
「一つ人生において有益なアドバイスをしてあげるからその詰まってそうな耳をよくかっぽじって拝聴
しなさい
女性には絹ごし豆腐を扱うように優しくきめ細やかに気を使いなさい
それが例えそれが生まれたばかりの乳飲み子だろうと死にかけの老婆だろうと野蛮な畜生だろうと
人々が心底恐怖する人外の化け物であろうとね
女性は貴女が思っている程強くはないし、脆くはかない生き物なのだから」
「へいへい、覚えておきますよ」
話し半分に聞いて片手に二袋ずつ両手に持ってゴミ捨て場に向かっていった
禍月は俺の後ろを鼻歌を歌いながらついてきた。よく耳を澄ますと英語じゃない外国語が聴こえてきた
バラードのような落ちついて心に染み入るような曲だった
聴いた事のない曲調だったから多分そっち方面の歌だろう
「ご機嫌だな、鼻歌なんて歌って 、、いい事でもあったのか」
「別にそうでもないわよ、向坂君の中では気分がいい時しか鼻歌を歌ってはいけない物なのかしら
だとしたら窮屈ね、私はどんな時も歌いたい時に歌いたいわ」
「そりゃそうか、歌は自由とかどっかの誰かも言っていたからな
ところで禍月、その歌、英語じゃないよな、どこの歌なんだ」
「売れない作曲家が作った曲に、これまた売れない作詞家が歌詞を乗せた完全に無名な曲よ
ドイツで作られた曲なのだけど、当時はちょうど戦争をしていた時代でね、闘争心や愛国心を
煽るような軍歌や国歌が流行ったし、国も推奨していたこともあって、作曲家も作詞家もこぞって強い曲を作る事に熱を入れたの
こういう大人しい曲が淘汰されるのは仕方のない事よね」
寂しそう表情をした禍月は感傷に浸るように呟いた
確かに戦争に勝つための手段として国民や兵士の士気を高める歌を作るのは効果的だし、勝つためなら藁にもすがる思いでどんな事だってやる、という風潮だったのもある程度は想像出来る
だが頭で理解出来ても感情が納得するのは別問題だろう
「そんなに好きなのか、その歌」
「ええ、気に入ってるわ、それに贔屓目で見なかったとしても、時代が時代ならミリオンセラーくらいにはなると自信を持って太鼓判を押す事が出来るほどの一曲と思うわね」
「ミリオンセラーは流石に言い過ぎ‥‥いい曲なのは認めるが」
なんとなく認めるのは癪だったから後半部分は小さな声で言ったが、
どうやら聴こえていたようで嬉しそうな笑顔を浮かべていた
「高坂君も物の価値がしっかりわかるなんて以外と見所があるわね。そのまま精進なさい、真贋の見極める力は荷物にならない最高の財産の一つなのだから大切にね」
俺はさも余計な事言うな、みたいな態度を取ってそっぽ向いた
「うっせいよ、教師気取りかお前は」
言える訳もないし、気がつかれる訳もいかない
あのクール系美少女という仮面を被った悪魔の笑顔に見惚れ、少し心がときめき
不覚にも可愛いなんて思ったしまったなんて
ゴミ袋を捨てて俺と禍月は教室に荷物を取りに戻ってきた
そこには俺達以外の荷物はほぼなく、どう見ても俺達以外は既に帰宅している状態だった
もしらしたら岬が待っててくれているかもしれないという望みをかけていたが、やっぱり帰ってしまったみたいだ。まぁ望み薄だと思ってほとんど諦めていたが
「今日の晩飯何にしようか」
岬に置いていかれたショックよりも帰って何を食うかの方が今の俺にとって重要だ
昨日の夜から今日の昼にかけて普段よりグレードの高い食事をさせてもらえたおかげでスーパーの惣菜や弁当じゃ正直物足りなく感じる事は容易に想像出来る
それくらいに禍月の作った料理は旨かった
かといって旨さを求めて外食という気分でもないし、月末という事もあって懐事情も心もとない
考えるのも馬鹿馬鹿しいなるくらい分かり切っている、金がない外食な無理、答えは一択惣菜弁当しかない「向坂君、もし良かったら今夜もどうかしら?」
「いいのか?禍月、正直嬉しいし助かるけどさ」
「朝も言ったけど、二人分も三人分もそんなに苦労を変わらないわ、けど流石に無償で作り続けるのは向坂君も心苦しいでしょうし、そうね、私に食事を頼む時は食材費を納めて貰おうかしら
心配しなくても惣菜くらいの金額しか取らないよ」
やった!これからの最高の食事環境ゲットだぜ、今夜から楽しみだ
というか禍月の奴、三人分って言っていたよな、結局リア先生は料理をするつもりはないんだな
「じゃあ、頼んでいいか、金は取りあえず残り少ない今月分を明日一括で払う」
「分かったわ、私も帰って食材費の計算しておくわ」
「了解、ところで三人分って言ってからリア先生は料理をしないんだな」
禍月は深いため息をつくと呆れ顔をして額に手を当てた
「新手の嫌がらせのつもり、向坂君?頭が痛くなるような事を思い出させないでくれるかしら
基礎が出来ていないのに、応用ばかりやりたがる悪い癖が中々抜けない、その上料理の時だけ何故か味音痴
を発揮する、もっとスパルタで教えておくべきだったかしら
今からでも間に合う?もしかしてもう既に手遅れなんて事はないわよね」
「おーい、禍月、もしもし聞こえてるか?てーんりちゃん」
禍月はブツブツとリア先生の文句を言って、俺の声が聞こえていなかった、試しに禍月の顔の前で手を振ってみたが反応無しだった、それ程リア先生に対する不満が降り積もっていたんだろうか
仕方ないから禍月の肩を掴んで揺り動かしてみた
「おい、禍月、禍月、帰って来い、俺を無視するな」
ハッとして現実に戻ってきた禍月は焦点を俺に戻した
「あ、ごめんなさい、少し熱くなり過ぎたみたいね、とりあえず帰ったらリアはお説教ね」
ごめんリア先生、俺が余計な藪をつついたせいで貴女に災厄が降り注ぐ
事になってしまった
心の中で謝ると共に晩飯のおかずを別ける事で許してもらうとしよう
荷物を取って教室を後にし、駆けるように下駄箱に向かった
腹が減っていたから一刻も速く帰りたかった
「禍月、速くしろよ」
少し後を歩いている禍月に大声で呼び掛ける
「そんなに急いだってご飯の時間は変わらないわよ」
手のかかる子供に接するような、やれやれという態度を取りながら歩くペースを変えずに禍月はついてくる
先に下駄箱に着いた俺は靴をはいて校舎の外に出て、校門の方を見ると
一人の女性が校門の前に立っていた
淡い金髪に碧眼で人形のような整った顔立ちをしていた
白と青を基調にした少したけの短いワンピースに腰に黒のベルトを巻いていて、薄茶色の上着を羽織っており、160㎝くらいのモデルのような女性だった
確かに綺麗な人だったけど、彼女を見ていると冷や汗が体を伝う
こう感覚は数日前に出会ったサーヴァントに似ているが圧力が段違いだ
「禍月、あの人、まさかお前の目当てのフリークスか?」
「いいえ、違うわね、彼女はサーヴァントよ」
俺の直ぐ後ろまで近付いてきていた禍月が答えた
これだけの圧力を出しておきながら、まだサーヴァントだという事に俺は戦慄した
本物のフリークスは一体どれだけの化け物ぶりなのか、想像がつかない
「どうもごきげんよう、薄汚いイエーガーさん」
「こんばんわ、趣味の悪い爆弾卿の腰巾着さん」
おぉい!一発目から罵り合いか、この前もそうだったが、この業界にとって罵り合いは一種の挨拶がわりなのか
「サーヴァント風情がここに何の用かしら、ここは前途ある若者達が切磋琢磨する神聖な学舎よ、まさか転入希望とか言わないわよね」
「それもいいかもしれませんわね、過ぎ去ってしまった輝かしい青春をもう一度味わうのも乙なものかもしれないですし
その前に死肉を漁るがごとく賎しい害虫を排除しなければなりません」
「害虫ね、言ってくれるわね、無節操に他者の血を吸っている貴女達は蚊とそう変わらないじゃない、さしずめ貴女達の親は蚊の王様ね
少し時期が早いけど蚊取り線香で落としてあげましょうか」
相手は禍月の言葉に怒りを表にして表情を歪めた
どうやら言葉の応酬という闘いは禍月の勝ちのようだ
相手は深呼吸をして感情を落ち着けると両手でスカートの裾をつまみ上げると芝居がかったように礼の態度を取った
「お初にお目にかかります。わたくしウィリアム・アルハレート・カルヴァ・ハーゼンシュタイン様の筆頭サーヴァントのアストリア・E・クロイツといいます、どうぞよしなに
わたくしの名など覚えて頂けなくて結構でございます」
そう言うとアストリアは両手を水平に上げた
「貴方方は今ここで、はしたなく肉と血と臓物をぶちませて、わたくし達の肥やしになるのですから
せいぜい喰いである餌になってくださいまし、『リアライズ』」
掛け声と共にアストリアの両手の人差し指にはまっている指輪が輝きを見せると、彼女の両手には一丁ずつ銃か握られていた
そして校門の方から多数のグールがゆっくりとした歩みで近付いてきて、アストリアの後ろで訓練された兵士のように整列して動きを止めた
「多勢に無勢とはまさにこの事ね、けどこの程度で勝利を確信されるなんて甚だ不愉快ね、『リアライズ』」
掛け声と共に禍月のペンダントが輝き、光が消えた後には数日前にグールを斬り裂いた刀が握られていた
右手で刀を流れるように抜き放ち正面に構えた
「舐めないで貰える、前座風情が、身の程を知りなさい」
禍月の声のトーンを低くしてそう言ったと同時に斬るに鋭利で濃密な殺気が辺りを支配した
アストリアは小刻みに体を震わせ、額には脂汗が滲んでいた
周りにいるグールも理性がないはずなのに怯えたように後退りした
そりゃそうだ、実際に殺気を当てられていない俺も余波だけでブルっちまっている有り様だ
真っ正面から禍月の殺気に当てられているあいつ等が感じている圧力は俺の比じゃないのは容易に想像出来る
「格の違いというものをその身をもって特別に教えてあげる。滅びる覚悟の出来た者からかかってきなさい」
禍月は悪戯っ子のような笑顔をすると、こう続けた
「私の斬姫の錆びになりたくないなら逃げる事を許します
帰って美術家気取りの変態にみっともなく顔面を歪ませて泣きつけばいいわ、指を指して笑ってあげるから」
うわー、禍月の奴、完全に止め刺しやがった
アストリアはさっきとは正反対に屈辱と怒りで顔を真っ赤にして小刻みに震えていた
煽りに煽りまくったからな、それに彼女明らかに煽り耐性なさそうだもんな
無理して煽るから、禍月相手に口と意地の悪さに勝てる訳ないだろう、ぶっちゃけ相手が悪かったしか言いようがない、合掌
「噛み癖の悪い痩せ犬が、誰に向かって唾を吐いたのか十分に理解させて、真綿で首を締めるようにじわじわとじっくりと時間をかけて、いたぶり殺して差し上げます」
怒鳴るように大声を出してアストリアが飛びだして来た