化物講義 入門編 3
シャンバラカッツェを出た後禍月に連れられるままとあるマンションに連れてこられた
鳳陽学園から歩いて大体20分くらいの距離にあり、街とは逆方向で買い物には少し不便だ
「禍月。ここは?」
「私が引越して来た場所よ、今ここに住んでいるの」
やっぱりか、なんの意味もなしにマンションに連れてくる訳がないと思ったが案の定住んでいたか
3階の一番端っこの部屋に案内された、玄関の扉には禍月と表札があった
ここが禍月の部屋で間違いないようだ
禍月は胸ポケットから鍵を取り出し鍵を開けて部屋に入って行ったから俺も続いて部屋に入り扉を閉めた
「少し手狭だけどゆっくりしていってちょうだい」
案内されたリビングは綺麗に片付いていた
ついこの間、引越してきたばかりだと聞いたから、荷崩しが終わっていなくて段ボールが山積みになって
いるか、荷崩しの途中で荷物が散乱しているか、のどちらかだと思っていた
白と黒を基調とした家具や小物で統一しておりシックなデザインとなっている
住んでいる本人の性格が反映させたいい部屋だった
「向坂君、あまり女性の部屋をジロジロ見るのはマナー違反よ
もし私が洗濯物を干していたらどうするつもりだったの
セクハラ、変態、不審者扱いされて桜田門に突き出されても文句は言えないわよ」
「実際通報すんのかよ、お前」
「それはこれからの向坂君の行動を考慮して要相談ね」
悪戯っ子のような顔をした禍月が振り向きざまにそう言い、俺にウインクをした
大体禍月の性格が分かってきた
顔や身に纏う雰囲気からは予想し辛いが、こいつは以外と茶目っ気があり、相当に悪戯好きだ
「ご飯用意するから、テレビでも見て時間を潰しておいてくれる」
禍月の言った通りテレビを見て待っていようと思い、テレビのリモコンを手に取った時に
あることに気がついて、禍月の方へと振り返った
「もしかしてだけど、もしかしてお前が夕飯を作んの?」
振り返ってそこに居た禍月は赤いエプロンを着けようとしている最中だった
キョトンとした顔から一転、まるで馬鹿を見たような顔をした
「私が作らないで誰が作るっていうのかしら
こう見えてそれなりに舌は肥えてるから、不出来なものを作ればビンタ程度で済むとは思わない事ね」
そこには笑顔で手首をスナップしている禍月がいた
スナップした音が風を切っていた、あきらかにビンタの速度を逸脱している
「すいません、禍月サン、僕が間違っていました、ご飯を作って頂けますか」
「素直でよろしい、大人しく待っていなさい」
禍月はエプロンの紐を後ろでキュッと結ぶとキッチンの方に消えていった
テレビの電源を入れると報道番組やっていた
丁度、倉月市の連続失踪事件のニュースをやっていた
事故や突然の引越し、夜逃げ、家出などの事件否定派、裏サイトで希望者を募り集団失踪又は集団自殺
をした計画派、暴力団などの反社会組織の組織的な拉致の事件派
突拍子もないものでは奴隷の欲している金持ちに売り払うための商品を失踪した人達で賄っている
なんて話もあるくらいだ
本当の話を知っている者としては高名なコメンテーターや犯罪の専門家先生の見解には苦笑いするするしかない
誰もフリークスなんて人外の化け物が真犯人だなんて信じないだろう
といっても事情を知っている俺でもまだ半信半疑のところがある
だって普通ありえないだろう、ファンタジーでありそうな設定を持った化け物がいるなんてよ
などと考えているとキッチンからいい匂いがしてきた、
醤油っぽい匂いだから和食系かな、匂いだけで口の中の唾液が止まらない
こりゃあ期待してもよさそうだぜ
「向坂君、出来たわよ」
「おーきたきた、待ってました」
禍月が盆の上に丼茶碗を乗せてやってきて、俺の目の前に丼茶碗を置いた
熱々のご飯の上に卵に包まれた鶏肉にいっぱいに注がれた醤油ベースの汁
完璧なまでの親子丼だった
「さあ、おあがりなさい」
「そんじゃまぁ、いただきます」
箸で一口分掬うと口の中に運んだ
甘じょっぱくも深みのある味に、とろとろに蕩ける卵にパサパサにならずにしっとり柔らかい鶏肉
味や触感が喧嘩することがなく、見事にマッチした珠玉の逸品
料理漫画のようなコメントを長々したが、簡単にいうと
「超、うめぇ!!」
それだけで充分だろう
あまりの旨さにかき込んで、貪るように食らいついた
そんな俺を見て禍月は手のかかる子供を見るような目をしてこちらを見ていた
そんな視線など気にせずに夢中になって親子丼をかき込み続けた
うめぇーな、マジで、空腹でさらに旨く感じる
丼茶碗が空になると手をあわせた
「ごっそさん、あー旨かった」
「お粗末様でした、はい、お茶どうぞ」
「お、ワリィーな」
丁度飯を食い終わったところに禍月がお茶を持ってきてくれた
まさに至れり尽くせりだな お茶も旨いな
「そこまで食べっぷりがいいと気持がいいし、作り甲斐があるわね」
「本当に旨かったぜ、料理が趣味っていうのは伊達じゃなかったんだな、
そういや、飯が出てくるのが速かったけど、随分手が速いな」
「朝にある程度、仕込みを終わらせていたからそんなに時間がかからなかったのよ」
そうだったのか、結構本格的だな
禍月にお茶の御代わりを貰い、一息をついた
「禍月、飯も食い終わったし話の続きをしてくれるか」
「話ね、もう少しだけ待ってもらえる?もう一人がくるから」
「もう一人?関係者なり協力者なりいるのか」
‘‘ガチャ‘‘と玄関から扉が開いた音がした
リビングにクリーム色の髪に眼鏡、スタイルの良い女性が入って来た
「おかえりなさい、少し遅かったわね、デートのお誘いでも受けていたのかしら、リア」
「別にそういうのじゃないわよ、少し残業していただけよ、天理」
鳳陽学園保険医リアフィーノ・ルルナアーク先生がそこにいた
は?なんで?どうして?
「リア、早く手を洗ってきなさい、今日の献立は親子丼だから」
「本当に!やった、すぐ洗ってくるわね」
禍月はキッチンに、ルルナアーク先生は洗面台の方に向かっていった
状況が掴めずにポカンとしている俺に手を洗い終わって洗面所から帰って来たルルナアーク先生が
俺の顔を覗き込んできた
「な、なんですか、ルルナアーク先生」
「ルルナアークは言いにくくない?リアでいいわよ」
「じゃあ、リア先生は禍月の協力者だったんスね」
「ええ、貴方の話は天理から聴いていたから、今夜会う予定だったから朝に保健室に来たときは
少し驚いたわね」
「やっぱり値踏みされてのか、おかしいと思ったですよね、あのときの先生の視線は明らかに
俺を知っている感じだったんで、俺と先生一度も会った事なんてないのに」
「ごめんなさい、でも、人が出した評価を全面的に信用するのではなく、自分で目と耳と肌で感じて
頭で考えて自分の答えを出しなさいって子供の頃から厳しく教えられてきたのよ
だから、ね、悪気はなかったのよ」
リア先生はあたふたして、高速でペコペコしながら俺に謝った
年下相手にそんなに畏まらないでもいいのに、というか失礼だろうけどあたふたしているリア先生可愛いな
「いやだから別に怒ってないですから、気にしないください」
「そうよリア、気にしすぎるのが昔からの悪い癖よ、可愛いところでもあるけど、リアおあがりなさい」
禍月が俺にご馳走してくれた丼茶碗より一回り小さな丼茶碗に親子丼をよそって、リア先生の前に置いた
「美味しそう、いただきます」
「さてと、リアも来たところだし、話の続きをしましょうか、リアは食べながら話に加わりなさい」
リア先生は親子丼を口に運んで幸せそうな顔をしながら頷いた
「やっとか、そういやまだグールの事を詳しく聞いてなかったよな」
「ある程度予想がついているかもしれないけど、フリークスの眷属よ」
「眷属か、つまり下僕みたいなものは」
「ええ、その認識で間違っていないわ」
「眷属は大きく分けて二つあるの、それはサ-ヴァントとグールの二つ」
リア先生が箸をカチカチさせながら、教えてくれた
「フリークスは生命活動で吸血行為を行うけど、それとは別に眷属を造るために吸血するのよ
眷属はフリークス程とはないとはいえ、人並み超えた能力を誇っているの
基本的に眷属の能力は親であるフリークスに比例して大きくいく」
「それなら普通の人間では眷属すら倒すことが出来ないのかよ」
「そう悲観するものではないわよ、眷属はフリークスとは違ってちゃんと弱点があるもの
それぞれの個体によって異なるけど、フィクションモンスターのような弱点を一つずつ保有してるの」
「他にも脳や心臓を破壊されると生命活動を止められて再生もされずに灰になって消えるの」
「なるほど、やりようによっては俺でもいけそうだな」
相手の弱点を調べて、その弱点にあった罠や状況に追い込むか、重機や速度の乗った物質で押し潰す
銃の扱いに覚えがあるものなら遠距離からの狙撃で気がつかれないように脳や心臓を撃ち抜く
なんて方法も取れる
「一体一体はそれ程脅威ではないけど、私達の組織に属していないフリークスは数多くの眷属を侍らして
軍団を作っているの、それをレギオンって呼称しているの」
「幸いにこの街に潜伏しているフリークスはレギオンを保有しているという情報は上がってきていないわ
過去にはかなりの大規模のレギオンを保有していたフリークスがいくつかの街を地図から名前を
消してしまった事もあるの」
「マジかよ、というか街一つ完全に消滅させるなんてキチガイだろう」
「たまにいるのよ、ただ力を見せつけたいなんて子供じみた考えをしている子がね
後先考えずに暴虐の限りを尽くし、目についたもの全てを破壊しようとすろ
それこそが強さの証明になると勘違いしているおつむの弱い子が一定数いるの
それはフリークスに限らず人間だって同じでしょう」
禍月の言う通り、不良やチンピラなんて大体がそんな考えを持ってるからな
「それでサーヴァントとグールの大きな違いはいくつかあるけど、一番顕著なのは自我と理性があるか
ないかそれが大きな違いね
サーヴァントは戦闘、諜報、家事、雑務様々なサポート役として、能力的には劣っているけど、グールは痛覚がないから駒として使用しているの
他にはフリークスと違って血の渇きが来るのが早いの、
フリークスは一度吸血を行えば、ギフトを使ったり血を無駄に流したりしなければ2,3か月は持つ
それに対してサーヴァントは2,3週間、グールはわずか数日」
「もし血を摂取しなかったらどうなるんだ」
「死んだりはしないけど、強烈までの飢えからくる禁断症状に苦しみ続けることになる
その苦しみは死んだ方がマシっていうぐらいの地獄らしいの ふーご馳走様でした」
親子丼を食べ終わってリア先生は手を合わせたのを確認すると、禍月はお茶をリア先生に持ってきた
「美味しかったわ天理、これだけ作れるなんて本当に羨ましい」
「そう思うなら、貴女も料理を覚えなさいな、貴方もいい大人なんだから」
「でも、どうしても料理は苦手で、昔の失敗が尾を引いてて」
「変に苦手意識を持っている暇があったら、黙って練習しなさい、いくらでも教えてあげるから
そういう努力を怠っているからいい人が出来ないのよ」
「もう、その事は関係ないでしょう、天理だってそういう相手いないじゃないの」
「私は興味ないもの、枯れてる訳ではないけど、そうガツガツするつもりはないもの」
リア先生は頬を膨らませて講義し、その様子も見て禍月は口に握り拳を当てクスクス笑った
なんというか二人とも遠慮がないな
「もしかして二人って、仲がいいの」
「ええ、もう10年以上の付き合いになるわね」
「あら、もうそんなに経ったかしら、私なんて貴女と会ったのは昨日のように感じるわね」
10年以上の付き合いという事はお互いの事は知り尽くしているからこそ遠慮がないんだろう
「向坂君、他に聞きたい事ある?」
「そうだな、ランクとギフトの事だな」
「ランクは文字通りフリークスの強さを表しているのよ
大貧民もしくは大富豪というトランプカードを使ったゲ-ムがあるでしょう。ランクはそれを参考にしているの」
「下から2~10を下級フリークス、J~Aを上級フリークスという枠組みになっているの
ランクが一つ離れると能力は大きく変わってくるわ」
確かに大貧民っぽいな、あれ?それなら強力なカードを忘れているな
「禍月、ジョーカーっているのか」
「ええ、いるにはいるのだけど圧倒的に数が少ないうえに、ジョーカーにまでに進化出来る個体が出てくるのは天文学的な確率よ
一生遭遇する事もなく死ぬ者がほとんどよ
だからジョーカーの事はそういう存在がいる、程度の認識で構わないわ」
「ジョーカーの事は分かった
じゃあさ、ランクの低いフリークスはランクの高いフリークスには勝てないのか」
ゲームではレベルを上げて物理で殴れ、なんて格言があるが、実際レベルが離れているとお話しにならない
くらいに隔絶とした差が出てくる、レベルが離れれば離れる程より顕著に
そう考えるとレベル制MMOって残酷だよな、新規のプレイヤーやプレイ時間の低いプレイヤーは不利だし
「そうでもないのよ向坂君
ランクで示される強さはあくまでも単純な能力値の評価よ
フリークス由来の基本ステータスやギフトを頼らない当人が磨き上げてきた技術は計算には入らないのよ
卓越した戦闘技術や戦術戦略があれば一つ二つのランクの差くらいは簡単に覆すことが出来るわ」
「なるほど、無双しようとおもったら単純なランクの差と戦闘技術の二つがないと駄目な訳か
レベルさえ高ければどうにかなるゲームとは違うよな」
そりゃそうだ、単純な身体能力で全てが決まるなら、虎や熊などの猛獣が幅を利かせる世界になっている
人間は頭や道具を使い他の生き物を押し退け君臨してきた
真っ正面からやり合って来たら、人間という種は石器時代で絶滅する
「けどね向坂君、その二つを両立しているフリークスってあまりいないの」
「どうしてですかリア先生、強くなりたいなら二つとも鍛えた方が絶対いいんじゃないんですか」
俺ならそうするという自信がある、フリークスの身体能力があれば漫画やゲームのド迫力なアクションや
なんとか流みたいな物を習得出来るかもしれない
夢があるし、折角の能力を遊ばせておくのは勿体無い
「既に強いから」
どういう意味か、と首を傾げた・・・・。ああ、そういう事ね、なるほどなるほど
「気がついたようね、既に強い力を有しているために強くなる努力をしようとしないのよ
がむしゃらなまでに強さを求め続ける武人のような性格の人物ならともかく、フリークスになった者達の
ほとんどは元は唯の一般人
常識を凌駕した超人的な力を持っているのに、わざわざ苦労して強くなろうとしない」
「自分選ばれた特別な存在と思っている人も結構多くて、特別な自分は普通の人間のような努力を
する必要なんてないって言って訓練に参加しないフリークスも組織内にいるの」
聞いた限りではフリークスって自意識とプライドの高い奴が多いんだな、面倒臭そう
「馬鹿よね、フリークスは元々は唯の人間、所詮は人間の延長線上にいる存在なのよ
どれだけ目を背けても耳を塞いでも人間という枠組みからは逃れる事は出来ないというのに」
禍月はまるで聞き分けのない子供を心配しているような顔でそう呟いていた
「さて、少し話が脱線してしまったわね
ランクの説明はこれくらいでいいでしょう、次はギフトについて説明しましょうか」
「ああ、頼む」
憂い顔をしていた禍月は普段の表情に戻した
「さっき喫茶店で少し話したけど、リア、ギフトについて向坂君に説明して貰える」
「説明するわね向坂君
ギフトはフリークスが保有している特殊能力よ
その力は現代科学の常識を遥かに凌駕した現象を引き起こす事が出来るの
ギフトにはいくつかルールがあって、どれだけランクの高い強力なフリークスであろうと
このルールは遵守されているの
一つ目はどんなフリークスでもギフトは原則一種類のみ
二つ目はギフトの能力を逸脱しない限りどんな応用も可能
三つ目は基本ギフトはギフトでしか対抗する事が出来ない、なお法力は例外に当たる
ギフトに関する基本知識こんなものね」
「サーヴァントやグールなんかもギフトを使うんですか」
「いいえ、眷属はギフト覚える事はないわ、組織は数百年フリークスと闘い続けてきたけど
眷属がギフトを覚え使ったという記録は一度もないわ」
「そうなのか、禍月」
リア先生に説明を任せて緑茶の風味と味を楽しいんでいた禍月に確認の意味を込めて聞いた
「ん?ええ、確かにそういう記録をあるし、私のそれなりの数のフリークスやその眷属を斬ってきたけど
ギフトを使ったフリークスは一度も見た事はないわね」
「二人分の証言があれば信頼のある情報だな」
だがその話を聞いてホッと安堵した、フリークスによっては大群レベルの眷属を持っているって言っていたからな、それが全部ギフトを使えたら洒落にならんだろ
そう考えていたのが顔に出ていたのだろうか、禍月がクスリ笑った
「確かに眷属がギフトを使えたら大変ね、レギオンで来られたらゾッとするわね
そう思うとサーヴァントとグールがギフトを覚えていなくて良かったと心底そう思うわね」
確かにね、なんて言いながらリア先生も禍月のようにクスクス笑った
なんつーか禍月もリア先生も笑い方が上品だけど嫌味がないから笑われても許しちゃうんだよな
雫だったらデコピンの一発くらいはかましていたところだ
「ギフトはフリークスにつき一つと言っていたが、ギフトの種類はどう決まるんだ
まさか出たとこ勝負の完全ランダム制、鬼が出るか蛇が出るかなんて博打じゃないんだろう」
ギフトはフリークスをフリークスたらしめている物だ、訳が分からん能力与えられたらたまらんだろう
「ランダムという訳ではないわよ、その人物に合ったギフトを与えられるの
その人物の感性、生き方、生まれ、信念、その者を形作る物が能力として現れる
一度ギフトの能力の形が決まると二度と変わる事は絶対にないわ」
「能力は千差万別、本人の色を強く出す、変更は不可、か」
「そうね、フリークスの闘いはまず敵のギフトの正体を探る事が先決、逆にこちらは敵に自分のギフトの正体を知られないように細心の注意を払う、これがフリークス戦の基本」
「向坂君、天理は対フリークス戦のプロフェッショナルだから、この街にいるフリークスは必ず天理が討ち取るから」
「もしかして禍月の言っていた用事って、やっぱりか」
そう禍月の用事っていうのはこの街いるフリークスを倒す事だったのか
「今までの話聞いてその答えに辿り着かなかったとしたら、どれだけ残念な頭をしてるか、という話になるわよ、もしそうなら脳みそを丸洗いするか、脳みそを全取っ替えする事をおススメするわ」
禍月は小馬鹿にしたような態度を取りながら、どこから出したか分からんが馬と鹿のフィギュアを俺の前に置いた、皮肉のつもりか、この野郎
「はいはい、俺はどうせ馬鹿ですよ」
「もう、拗ねないの、子供じゃないんだから」
「ふふふふ、向坂君年相応で可愛いわ」
禍月どころかリア先生までが俺に生暖く纏わりつくような視線を向けてきた事に苦い思いをしながら
温くなったお茶を啜った