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スカーレット・ゼロ  作者: ロマンスの馬
3/9

眼帯と刀の転校生 2

華ちゃんが紹介した転校生の、第一印象は、とりあえず小さいだった

服が大きすぎて、ブカブカではないとはいえ、お姉ちゃんの服を借りて着てみた、て言われても信じてしまいそうなくらい、背が小さい あれ多分140cmないんじゃないか

俺を含めてクラスメイト全員が、一番目を奪われているのは、右目を覆う眼帯だった

病院で怪我したに、貰う布とゴム製の白い眼帯ではなく、皮で出来た黒の眼帯

厨二病の奴が喜んで着けそうな、アレっぽい、この転校生が着けている眼帯は、装飾が全くなく洒落っ気がない

「はい~自己紹介を~お願いします~」

華ちゃんの、気の抜けた声で、意識が戻ってきた、あまりのインパクトに全員が軽く忘我していた

「禍月天理です。よろしく」

凛とした声に、立ち振る舞いに一瞬にして心を奪れてた

俺を含め誰も目を離すことができない、そんな美しい芸術品をみた気分になった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん? 

待てど待てど、自己紹介の続きがされない、まるで放送事故のごとく、何も喋らず、そこに佇んでいますよえ~と、そうそう禍月サン・・・え?まさか、さっきのあれで自己紹介終わり?

口には出さないものの、全員同じ気持ちだろう

「禍月さん~もしかして~それで終わりですか?~」

華ちゃんが、全員の気持ちを代弁してくれた、大半の奴が『よく言ってくれた、ありがとう華ちゃん』という気持ちになった かくいう俺も、多少は気になる

「一応、必要最低限の自己紹介はしたわよ、名前を知っているのと、知らないのでは、その後のコミュニケーションや友誼を結ぶのに大きな障害となるわ」

「ん~先生も、その意見には~賛成だけど~みんなは~純粋に禍月さんの事を~知りたいんだよ~」

「なるほど、そういう事、理解はしたわ、そういう事はあまり得意ではないから、質問を受けて、私がそれに答えるという形にしましょう、勿論答えたく質問は、黙秘権を行使させてもらうけどね

それじゃ、質問のある子は手をあげて」

その瞬間、ほぼ全員の手が上がった お前ら、そんなに知りたかったんかい

「どこからきたの?」

「イギリス」

「誕生日と血液型は?」

「4月2日、AB型」

「趣味と特技は?」

「趣味は料理と食べ歩き、特技はテイスティング」

「好きな食べ物と嫌いな食べ物は?」

「好きな食べ物は甘いもの、嫌いに食べ物はトマト、トマトを使った調味料及び料理」

「好きな男タイプはどんな人ですかー?」

「秘密、でも貴方じゃないのは確かよ」

「どんな曲聴くの?」

「これと決まったものはないわね、もしおすすめがあったら貸してもらえる」

「俺のために、毎朝美味しい味噌汁を、作ってください」

「もし来世で、出会うことが出来たら、一考くらいはしてあげる」

「その冷たい目で罵ってください」

「嫌よ、気持ちの悪い、汚らなしいド変態豚、生きてて恥ずかしくないの?父親の睾丸の中からやり直したらどう?多少なりともマシになるんじゃなくて、ふふふ」

「ありがとうございます」

出るは出るは次から出るは、まさに質問の嵐、禍月は一つ一つの質問に丁寧に、答えていく

冗談なのか、マジなのか交際を迫るも上手くあしらってるし、意外とこういうのは慣れているのか?

他にも、どさくさに紛れて性癖を満たそうとする阿保もいるし、どうなっているだ、このクラスは

いや、転校生、その要望に応じて何やってんだ

なんつー罵倒、そして女王様のような嘲笑、そういう手合いの対処法も心得てるか、引き出し多いな

そして、お前も『ありがとうございます』じゃない、恍惚とした顔するな、

本格的に気持ち悪い、お前のせいで、このクラスが変態の巣窟だと思われたら、どうする

実際、そうなのだが,言わぬが花知らぬが仏と、言うだろう

俺も気になってる事があるし、手でもあげますか

「そこの君、質問どうぞ」

「ああ、その眼帯ってなんでしてるんだ」

俺の質問に、教室が冷水をぶっ掛けられたよに、静かになった

ああ、痛い、周りの視線が実に痛い、無言の批判の視線が四方八方、縦横無尽に突き刺さる

お前らの言いたい事は、なんとなく理解できるぞ

唯一、俺に対して批判の視線を向けていない岬は、俺の考えを理解してくれてる、流石親友

つまりこういう事だろう『きっと、聞いちゃいけない事だから、そっとしていてあげよう』みたいな事を

考えているんだろう、どうせ

それが優しさの一つだと思っているのかもしれないけど、俺は逆にそっちの方が相手を傷つける行為だと思っている

なんというか、腫れ物に触るというか、臭い物に蓋をする、みたいに思えて仕方ない

そんな扱いするくらいなら、一切関わらない方が、一番優しい対応だろ

何らかの障害や他者と異なる何かを抱えてる奴は、他人の視線には敏感だ、特に忌避や嫌悪

もし関わる、てんなら全てを明らかにして、正面切って話し合う、それで駄目なら冷たいが、ソリが合わなかったという事で諦める、それが俺の流儀

それで仲良くなれたら、最高じゃないか

質問された当の本人は、一瞬キョトンとしたが、その後実に楽しそうな顔をした

「これ?ああ、これの事ね。私は昔から右目が悪いの、相当に酷い乱視が入ってるの

両目で見ようものなら、常に酔っ払いみたいになって、日常生活もままならないの。それともそんな私を

介抱したいのかしら」

「うるせーよ、一生眼帯してろ」

「あら、そう、残念 という訳で、この眼帯は怪我や病気、ましてやトラウマのようなものではないから、気にしないでちょうだい ところで、今ので質問は終わりかしら」

そう聞くと、全員満足そうな顔をして、手を挙げるものものはいなかった

「はい~それでは~ホールルームを~終了します~今日も~一日頑張っていきましょう~」

華ちゃんが‘パン‘とてを鳴らす音と共に、ホールルームが終了した

また、随分とキャラの濃ゆい奴が、転校してきたものだ。これからどうなる事やら


「あ~~~、やっと終わった」

プハーっと、思いっきり息を吐き出した

現在は昼休み、周りでは昼食を取ったり、談笑したりして実に実に楽しそうだ、畜生め

なのに、俺はというと、机にかじりつかされ、英語の宿題をやらされていた

もう、怒られてもいいやと、開き直って逃げようよとしたところを、我が親友岬君は許してはくれなかった

しかも、逃げようとした罰として、いつも勉強を教えてもらう時は、痒い所に手が届くように的確なヒントをくれるのに、今日はそれがなし、

俺は恨めしそうに、目の前に居る岬を軽く睨んだ、それくらいなら別にいいだろ

「真紅郎、そんな目で見ても駄目だよ、朝に宿題をやると言っておいたよね、なのに逃げようとして、本当にしょうがないんだから、そもそも宿題をやっていなかった、真紅郎が悪いんだよ」

「分かったよ、説教はもういいだろ、腹減ったからメシ食わしてくれ」

「そうだね、僕もお腹すいたし、そうしよか」

俺は鞄からコンビニ弁当を、岬は鞄から手作り弁当を出した

「真紅郎、またそんな物食べようとして、健康に悪いよ」

「いいだろ、最近のコンビニ弁当は、レベルが上がってから旨いんだぜ」

「美味しい、美味しくないの問題じゃないよ、栄養バランスを考えて食事しなきゃ駄目だよ

若いうちはいいかもしれないけど、」

「お前、俺の母ちゃんか、彼女かよ」

「か、か、彼女って、いきなり何いいだすんだよ」

お前こそどうした、いきなり顔を赤くしてどもって。箸で弁当の中のおかず、何度もグシグシ、刺しながら

何と言っているか分からないけど、今だに顔を赤くしてブツブツ言っている

せっかく、婆ちゃんが作ってくれたおかずが穴だらけだ、特に卵焼き、もう見るも無残だ

さて、俺も食うか、今日のコンビニ弁当はチキン南蛮弁当、カラッと揚がった鶏肉に、甘酸っぱいあんをかけタルタルソースでいただく料理、それがチキン南蛮

さすがに、コンビニ弁当に高いクオリティを、求め過ぎるのは酷だが、これはこれで中々いける

「あら、少し遅い昼食ね、一緒してもいいかしら」

「禍月」

そこには、転校生の禍月天理がいた

手には学食で買ったであろう、菓子パンが握られていた。いう事は禍月もまだ食べてないんだな

「なぁ、レッドあたしも、ご一緒していい?いや、しちゃうよ、もう決定事項」

禍月と一緒に来た雫が、こちらの了解も取らずに、近くのいすを引っ張って来て座った

この女は、涼宮雫、認めたくないが、一応幼馴染の一人だ 

猫のような釣り目に、常にニヤニヤした口元、制服を肩をガッツリ出し、スカートに深いスリッドが入っているタイプに改造が施されている

雫は袴田とは、また違った快楽主義者だ 袴田はゲームや嗜好品といった娯楽にたいして、雫は人の恋路、スキャンダル、トラブルといった人の起こすアレコレが大好物だ 

「雫、なんで禍月と一緒なんだ」

「ん~とね、あまちゃんは、きっと学校の事を知らないと思ったから、この雫ちゃんが慈愛と友情の気持ちを持って、案内を買って出たんだにゃ。偉い?偉い?」

「雫、ほぼほぼ好奇心だよね」

岬が、苦笑い気味に指摘した

禍月は既に近くの席についていた 机の上に学食で買ってきたパンを広げていた

あんドーナツ、クリームパン、チョココロネ、全て甘いパン

そういえば、好きな食べ物は甘いものだと、言っていた

「姫、飲み物を買ってきましたぞ、バナナ・オレでよろしかったか」

「あら、ありがとう権藤君」

教室に戻ってきたは、禍月の元にかしずいて両手で、丁寧にバナナ・オレを手渡した

禍月はご褒美とばかりに頭をなでなでした、権藤の顔は非常に満ち足りた表情をしていた

なんだこの状況は、友達が転校生に奴隷のような存在になっている

岬は何か見てはいけないものであるように、完全に目を逸らしている、

雫は、今にも吹き出しそうなのを、両手で抑えて我慢している

一緒に帰ってきたであろう袴田は距離を取って、ドン引きしている

誰か頼む、今のこの状況を説明してくれ

「実は、一限目の授業の終了後、こんな事があったの」

俺の気持ちを察してくれた、禍月は事の一部始終を語ってくれた


一限目の授業終了後、喉の渇きを覚えた私は、飲み物を買いに自動販売機へと向かった

「禍月天理姫」

後ろから呼び止められた 後ろを振り向くと、大柄な体格に、厳つい顔をしている男子生徒がいた

確か、記憶が正しければ、私が編入したクラスの子だったわね

姫とはどういう意味かしら、まぁ、大体予想はつくけど

「同じクラスの、えーと」

「権藤、権藤壮吉というのだが」

「そう、それで権藤君、何の用かしら」

「貴方に心を奪われてた、その凛とした立ち振る舞いは、まるで荒野に咲く一輪の白百合のよう、その声は教会のパイプオルガンのように清廉で澄み渡った音色のよう、貴方に比べれば何と俺は矮小な事、汗顔の至り、この矮小たる我が身を貴方を支える柱の一柱にして頂きたい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・予想通りだった、嫌な予感はしたのよね

どうも、昔から嫌な予感というのは中々外れない

それよりも、こういう手合いは昔からいるから、慣れているし驚きもしないのだけど、ここまで情熱に、告白してきた相手は随分と懐かしい

けど、この子恥ずかしくないのかしら、廊下のど真ん中でこんな事して

ほら、周りの子達が明らか、奇異なものに出会ったような目をして、距離を取っているじゃない

かしずいた姿勢のまま、一切動かない権藤君

このままでは埒が明かないわね、仕方ない

「貴方の好きになさい、けど、私は優しくはないわよ」

「はい、姫、誠心誠意お仕えさせて頂きます」

これからの事を考えると、少し頭が痛くなるなぁ、思うと自然とため息が出た


「ということなの、理解出来た?」

うん、まぁ、理解は出来た だが権藤のイメージが完全に崩れたな 無骨で努力家というイメージだったのに、もう色々と残念だ

これからの、権藤との付き合い方を考えなければならないかも知れない

だって、俺もここまで手遅れだと思わなかった

「あまちゃん、あたしの案内どうだった?楽しんで貰えたかにゃ?」

「ええ、中々に有意義な時間だったわ、ありがとう雫、ところで、あまちゃんというのは?」

「天って、字は『あま』とも呼ぶから、。もしかして嫌だった?」

「いいえ、純粋に疑問だっただけよ、そのまま呼び続けてもいいわよ。あだ名なんて付けられる事は、ここ最近はなかったから凄く新鮮な気分になったから」

距離を取っていた袴田が、俺達の中に入って来た

「袴田、何故権藤の暴走を、止めなかった」

「いや無理だろ、俺じゃ体格差の問題があるし、気合やガッツでどうにか出来んねぇ」

勘弁しろよ、というジェスチャーを取って、近くの席に座った

「真紅郎、袴田君にそれを求めるのは無茶だよ。真紅郎に出来るの」

「はっはっはっはっはあ、岬君、俺でも無理だ」

海外のコメディー映画のように、ワザとらしく笑って誤魔化した。単純なパワーバトルで勝てるとは思う程、自惚れてはいない

「ごんごん、何であまちゃんに、心奪われてちゃったのかにゃ」

「私も多少は気になるわね、どうして私を姫と呼ぶのか理由が」

「ふっ、そうですか、姫

姫を慕う理由を知りたいですか、ならば教えてあげましょう」

権藤は腕組みをして、目を閉じて数秒間、その姿勢で動かない

俺を含めた全員が、何を言うか今か今かと待っていると、権藤がカッっと目を見開いた

「理想的な幼女体型だったからだ!!!」

「「「「「結局、ロリコンのだけか!!!」」」」」

ある程度予想が出来ていたが、がっかりだよ、本当にがっかりだよ

もう少し、マシな理由があるじゃないかと、思ったんだよ。それに大した理由がないのに、無駄に溜めやがって、少しでも期待させた分の気持ちと時間をかえせ

「権藤くん、禍月さんは幼女体型っていっても、年は同じくらいだよ」

「年は関係ない、重要なのは体の成長速度だ」

権藤が、これ以上にないくらいの決め顔で言った

  ゴスッッ!!!

「痛ッ、真紅郎何故、殴った!?」

「いや、あまりにも気持ち悪かったから、つい、殴って悪かった、けど反省も後悔もしない」

「気持ちは分かる、真紅郎がやらなかったら、俺がやっていただろう」

袴田が俺の肩に手を置いて、俺の行動に同意してくれた

岬が『本当に気持ち悪い、凄い鳥肌がたった』と小さな声で呟いた、誰にも聞こえないように言ったつもり

なんだろうけど、俺には聞こえてるぞ

当の本人の禍月は、全く気にしないで、バナナ・オレを飲んでいた

気にしないように気を逸らしそうとしてるのではなく、本当に気にしてないようだった

もしかしたら、こういう事に慣れているのかも知れない

だとしたら、本当に難儀な人生を送っていると、同情する

「ところで話は変わっちゃうけど、あまちゃんの歓迎会いつやるにゃ」

雫が突然話を変えた 雫もこんな空気になった事に、多少なりとも罪悪感があったんだろか

いや、違う、絶対に違う、この空気のままじゃつまらないとか、面白くないとか、そんな理由だろう

「う、うん、そうだね。いつにしようか」

本気で気持ち悪がっていた岬が、真っ先に話に乗っかった

「放課後か、休日しかないだろう」

俺も乗っかる事にした、そりゃそうだろロリコンによるロリコンの話を、これ以上聞いてやる必要性を感じない、というか今日はもう聞きたくない

「金もないから、場所は、ファミレスあたりになるだろう」

やはり、初っ端からドン引きしていた袴田も、乗っかっる事を選択したようだ

アイコンタクトで『話を変えてくれて、助かった』と言っていた

「うむ、だが主賓の姫の予定を聞かなければ、ならないな」

良かった、話を中断したおかげで、いつも通りの権藤に戻ってきた いや、禍月の事を姫と呼んでいる

小康状態みたいなものか。もう完治は無理か

「私の予定は、しばらくは無理ね」

「えー!あまちゃん何で」

「実は、この街には用事があって来たの、とりあえずそっちの用事を片付けないと、自由に動く事が

出来ないの。なるべく早く用事を終わらせるつもりでいる。それまで待ってくれる?」

へぇ、用事か、話を聞く限る、その用事をやるために、この学校に転校したようだ

「じゃあ、禍月はその用事が終わったら、この街から出ていくのか」

「いいえ、用事が終わっても、しばらくは滞在するつもりよ」

その言葉に嬉しくなったのか、雫は禍月に抱き着いた

「嬉しい、時間をかけて仲良くなろうね、性的な意味でもね」

「し、雫何、い、言ってるの!?性的って、どういう意味」

雫の発言に、岬が顔を赤くして、慌てふためいた

「もう、ミサミサは何考えているの?エッチ。冗談だよ冗談だにゃ」

「当たり前だろ、姫は穢れなき無垢なる存在、そのような事があってはいけない。もし気が変わり、姫を

襲う事があれば、この身を賭けて守り抜きますので、ご安心を」

また、権藤の悪い病気が出てきた

「まぁ、禍月ちゃんの予定が空いたら、歓迎会をやるってことでいいよな」

これ以上権藤に喋らせないために、袴田が話をまとめて強制的に会話を終わらせにかかった

そんなに聞きたくないか、気持ちは大いに理解できる

「そうね、用事が片付いたら、すぐに連絡するから」

キーンコーン カーンコーン

昼休み終了のチャイムが鳴り響いた

みんなが自分の席に戻るなか、禍月だけがその場に残っていた 

「なんだ禍月、席に戻らないのか、授業始まるぜ」

「戻るわ、でもその前に貴方にお礼を言いたかったの」

お礼?はて、何のことやらさっぱりなんだが

「朝の件、どうもありがとう」

「朝の件?ああ、別に大したことはしてないだろ」

「いいえ、あの疑問の答えを明らかにしないと、これからの学生生活にしこりが出来ていたわ」

こうも真っ正面から感謝の気持ちを示されると、こっ恥ずかしい

「だから、俺は自分の疑問を解決したくて、他人の触れられたくない領域に、無遠慮に踏み込もうとしただけ、結果的にうまくいった、それだけの話だ」

「だからよ、誰も好き好んで他人の闇には触れたがらないわ

嫌われるかも知れない、その人の見たくなかった過去や本性が現れるかも知れない、逆上され報復されるかも知れない、そういったリスクを孕んでいる

余計なことをして、痛い目や、辛い目には遭いたくないもの

だから、間違いだと気が付いていても、知らない振りを決め込む、その方が楽だから

でも貴方はリスクを恐れずに踏み込んで来てくれた

それは中々できない勇気ある行動よ、胸を張りなさい」

そう言うと座っている俺の頭を撫でて、自分の席に帰って行った




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