ぎり
「エリカの花は一つ一つは小さいけれど、沢山の花を咲かせるの。他の花が咲かない冬に花をつけるのよ。寒さに負けず花を咲かせる、そんな人になってほしいから、あなたの名前は『恵梨華』って言うのよ。苗字が『花宮』だから、花の名前が素敵でしょう。」
私の母である花宮詩野がそう言って笑うと、花がほころぶように思えた。
『花宮恵梨華』は私にとって世界で一番素敵な名前だった。
一番素敵な名前だったのに。
私が『花宮恵梨華』でなくなったのは八歳の時だった。
私は『副島恵梨華』になった。
そして父と弟ができた。
新しい父は背が高く、とても優しい声で話しかけてくれた。
新しい弟は、私より五歳下で、泣き虫で甘えん坊だった。
新しい家は、今まで住んでいたどの家よりもきれいで、初めて自分の部屋ができた。
他人が家族になるなんて、私には考えられなかった。でも私以外はみんな笑っている。私がおかしいのだろうか。
新しい家族になって三ケ月が過ぎたころ、四人でとある島に向かった。その島がどこで、何の目的があったのかはわからない。そこには辿り着かなかったのだから。
「アヒルさんがいるよ、たくさんいるよ。」
「たくさんいるわね、でもあれはアヒルさんじゃなくてカモメさんよ。」
船着場には沢山のカモメがいた。漁船や連絡船も停泊している。そんなことより、母と弟が手を繋いでいることが腹立たしかった。
「おねえちゃん、おさかなさんがいるよ。」
弟は母の手を離し、私の横にやってきた。そして私の手を引っ張っている。
おさかなさんなんてどうでもいい、どうでもいいから母を返して、『花宮』を返して。
私は弟の手を振り払ってしまった。その手は思いの外に軽かった。三歳児がこんなにも非力だなんて知らなかった。弟はよろめきながら後ずさりした。
船着場には、人が海に落ちないようロープが張られていた。しかしながらロープは弟には高すぎた。張られたロープの下をくぐり、弟は私の視界から消えてしまった。
私はロープに駆け寄った。それと同時に海に何かが落ちた音がした。
無我夢中だった。ロープを乗り越え海を覗き込むつもりが、勢い余って私も海に落ちてしまった。
水泳教室に通っていたから泳ぎには自信があった。弟を助けよう。だが体が思うように動かない。洋服が体に絡みつき、重りのようだった。靴の中に、まるで何かから逃れるように水が入り込んでくる。そして入り込んだ後は、底へ足を引っ張るように重たくなった。
私は浮き上がろうと腕を上にあげた。しかしその反動でさらに底へと沈んでいく。
水面が遠くなる。光がゆっくりと遠ざかっていく。不思議と苦しくはない。ただ力が抜けてゆっくりと沈むばかりだった。
突然何かに突き飛ばされた。それは海が掻き混ぜられたように荒れ狂う水流だった。
私以外のすべてが私を拒んでいる。このまま海の藻屑となるのだろう。
そして私が次に目を開けた時、そこは船着場の岸壁だった。
「良かった、目を開けた。」
目の前には新しい父がいた。全身ずぶ濡れで、頭から血を流している。
何がどうなったのだろう。大勢の大人がざわついている。弟はどうなったのだろう。母の姿も見当たらない。全身がひりひりと痛む。父は血と涙が入り混じりぐしゃぐしゃな顔をしている。
「大丈夫だからね。」
父は私を抱きしめた。私が抱きしめられたのは、後にも先にもこれだけだった。
私と父は救急車で病院へ搬送された。私は平気だったが一応検査を受けなければいけないらしい。その車中で弟が亡くなったことを聞かされた。そして助けに入った母までも。
ちょうど連絡船が着岸する時だったため、二人は荒れた波に巻き込まれてしまった。
「恵梨華ちゃんだけでも助けられて本当に良かった。」
父は『良かった』とは到底思えない顔をしている。それでも精一杯私に微笑みかけていた。
私のせいだ。私のせいで母は死んだ。私がいなければ、私さえいなければ母は死なずに済んだのだ。
命を助けてくれた父、どうして血の繋がらない他人を助けたのか。
私のせいで貴方は息子と愛する人を失ってしまったというのに。
それなのにどうして微笑みかけようとするのか。
どうして。
私は十八歳になった。
あれからずっと義理の父である、副島崇志さんと一緒に暮らしている。
「崇志さん、おはようございます。」
「おはよう、恵梨華ちゃん。」
朝はトーストと半熟目玉焼き、崇志さんが用意してくれる。私はお弁当係だ。
「今日は定時で帰られるから外食しようか。」
「ダメですよ、家計の為になりません。栄養だって偏ります。」
「一日くらいどうということはないだろう。」
「ダメです。」
食卓を囲んでいるが、テーブルが広く手が届かない。それが私たちの距離感だ。
近所の人達は私が養女であることを知らないし言うつもりもない。
学校の友達も同様だ。
高校に入ったばかりの頃、仲良くなった女の子二人を家に招いたことがある。崇志さんが、友達ができたなら家に招きなさいと言ったからだ。
友達とはごく普通に家でお菓子を食べて、他愛のない雑談をしただけだった。崇志さんは、ごく普通に挨拶をしただけだ。
しかし次に登校した時には、『恵梨華のお父さんがかっこよくてうらやましい。』と話題になっていた。これで血が繋がっていないなどと言おうものなら、騒ぎになっていたことだろう。他人と暮らすということが、うらやましいなどととても思えないのだけれど。
それからは友達を家に招いていない。
そんな崇志さんは今年で三十八歳になる。クラスの男子よりもずっと背が高い。私はクラスの女子の中でも三番目に背が高いのだが、崇志さんの鼻までしか届かない。細いサラサラした髪で、太く多すぎる私の髪と交換してほしいくらいだ。それでも私は背中までかかるロングヘアにしている。だって母と同じだから。
「夕食は、昨日のカレーの残りです。うどん玉を買ってきてください。カレーうどんにしますから。」
「えええ、栄養偏ってるよ、外食だって変わらないから。」
「ダメです、もう決まっていますから。」
崇志さんは大手企業の総務課長をしているそうだ。私には信じられないのだが。
「それでは行ってくるよ。ちゃんと鍵は掛けるんだよ。車には気をつけて、忘れ物はないかい。」
「はいはい、いってらっしゃい。」
崇志さんの会社までは、車で一時間かかる。静かな環境で子育てがしたい、それが母の要望だったから。
幸いにも私の通う高校は、バスで十五分とかからない。もっとも有数の進学校だから、それなりの苦労もあったのだが。
崇志さんは、誰よりも父親らしかったと思う。『思う』というのは比較対象がないからだ。
参観日も運動会も発表会も、仕事をずらしてでも見に来てくれた。
友達とケンカして、怪我をさせてしまったときは、ものすごい剣幕で叱りつけてきた。そして友達の両親に深々と頭を下げていた。
私は崇志さんにとって何なのか、私は崇志さんから幸せを奪った存在なのに。
優しくされる度に、微笑みかけられる度に、私の胸に何かが突き刺さっていった。
崇志さんが家を出てから二十分後に家を出る。柔らかな日差しと風が心地良い。
バス停に着くと、すでにバスが待っていた。時刻表より早く着いた為、時間調整で停まっていたようだ。
私は右後方の席がお気に入りで、今日も同じ席に座る。すると前の席の男子学生が振り向いて話しかけてきた。
「おはよう、いつもここに座るよね。お気に入りなの。」
知らない顔だ。相手は私のことを知っているみたい。
「ごめんなさい、どなたでしょうか。人違いではないですか。」
「え、あ、いや、あの、いつも一緒のバスなんだけど、というかクラス隣なんだけど。」
そうだったのか。バスにはいつも十人程度しか乗っていない。ましてや同じ学校の同じ学年であれば、顔見知りでも不思議はない。けれど私は分からない。きっと興味がないからだ。
男子の指先がわずかに震えている。随分と緊張しているみたいだ。少し話すくらいなら良いだろう。
「そうですか、それで何か御用ですか。」
私は私なりの笑顔を見せたつもりだった。しかし男子の震えは強くなっていた。しどろもどろになっていた。
「いやまあ、ちょっとお話がしたかっただけというか。」
その時、別の男子が立ち上がり、私の前に駆け寄ってきた。
「走行中の移動はご遠慮ください。」
車内アナウンスが響く。
「いいや、遠慮しないね。実はさあ、コイツ副島のことが好きなんだって、ちょっと付き合ってやってくんね、ホントいいやつだからさ。」
やけに軽い調子の男子は同じクラスの・・・名前はなんだっけ。とりあえず、
「そういうことならお断りします。」
あえて満面の笑みを浮かべてみた。大人の対応ってものよ。
「そう言わずに。」と引き下がらない。
私は無言で立ち上がった。男子のくせに私より背が低い。
「走行中は席を立たないでください。」
再度アナウンスが響く。
私は無言で席に着いた。男子二人は黙り込み、軽い方の男子は元いた席に戻っていった。
そしてスマートフォンで何やらメールを送っているようだ。おおかた私の悪口だろう。
それからすぐに学校前のバス停に到着した。私は一番先に、振り返ることなく下車した。
恋愛に興味がないわけではないけれど、同世代の男達はみな子供っぽく見えてしまう。崇志さんも大概子供っぽいのだけれど、むしろ少年のようだと言える。それに比べて男子たちは、子供というよりガキと言ったところだろう。
その日は穏やかではなかった。
朝のバスでの出来事は、すぐに伝わっていったようだ。昼休みに入ると同時に女友達が三人で近付いてきた。
「恵梨華ぁ、聞いたよ。吉田くんを振ったって。」
「もったいないなぁ、吉田くん結構イケメンじゃない。」
ああもう面倒くさい。というか、彼は吉田と言ったのか。
「だったら由佳が付き合ってあげたら。」
特に深い意味はなかった。私は吉田くんなんて知らなかったし、すでにどんな顔だったかも覚えていない。からかってきた友達に対しての軽い返しのつもりだった。
しかし途端に由佳は口を噤んだ。いや由佳だけではない、希恵も佐智も三人とも黙り込んでしまった。
気まずい空気が流れている。
由佳は目に涙を貯め、少し肩を震わせている。そしてようやく口を開いた。
「恵梨華はずるいよ、代わりに付き合えるなら付き合いたいよ。恵梨華は美人だし、スタイル良いし、頭良いし、おまけにお父さん格好いいしで、そろってるじゃん。私には何一つないのにさ。」
由佳は涙をぬぐいながら、擦れた声で訴えてきた。
「吉田くんのことだって、ずっと見てたのに、なんでなんだよう。」
由佳は小柄で可愛らしい。私に対し引け目を感じることなど何もない、と私は思う。
この手の話は聞き流していたから、由佳の気持ちも吉田くんの存在も頭になかった。私自身が恋愛に無関心なことは問題ない、ただそれが友達を傷つける結果になってしまったことは反省すべきことだ。
とはいえ、正解はどうだったのか。吉田くんと付き合わないまでも、ある程度親しくなり、頃合いを見て由佳と引き合わせるというのが模範解答というところか。
そこまで考えて生活しないといけないのか、いや今回は少なくとも私の不用意な発言を避ければ良かっただろう。いずれにしても煩わしい。
希恵と佐智が由佳をなだめながら、私から遠ざけてくれた。しかし二人の目は、私に対する軽蔑感が見え隠れしていた。
あの三人とは友達として付き合えないかもしれない。
それでも私は構わない。
私の方から関係を修復しようとしないなら、きっと私は悪く言われるだろう。
それでも私は構わない。
いずれにしても煩わしいのだから。
(そろっている、実の両親がいない私がそろっている、そんなはずはない。)
私は家に帰るなり、今日の復習を始めた。もちろん勉学の方であり、こと恋愛の方ではない。
明日の予習まで済ませると、台所に行きカレーを火にかけた。
玄関のチャイムが響いた。
崇志さんが帰ってきたのだ。
まだ明るいうちに帰ってくることは珍しい。
そうだ、今日のことを崇志さんに話してみよう。なにせ二回も結婚している恋愛の達人なのだから。
あれ、でも恋愛の落伍者だから結婚に失敗したのかも。いずれにしても二回も結婚したのだから、経験豊富ってところだろう。
二回も結婚、二回も、二回、結婚が二回であって、女性経験となるともっと多いかもしれない。なにせ女子高校生でさえ格好いいというくらいだ。若かりし頃はもっと格好いいに決まっている。きっとそうだ、そうなのだろう。
今夜の食卓は、カレーうどんで恋愛相談という光景となった。恋愛相談だとパスタの方が良かっただろうか。まあうどんもジャパニーズパスタということで、あ、でもカレーだからインディアンパスタかな。
私には恋愛を考える力が弱いようだ。関係ないことにばかり考えが寄り道をする。
一方の崇志さんはというと、色々と例を挙げて説明しようとしているが、まったくよく分からない。二人の会話は完全に迷子になってしまった。
もっとも。私は恋愛がしたいわけではない。だから答えの方向性も分からない。
最終的には二人で哲学の話に辿り着いていた。
人間にとって恋愛とは、非効率で必要悪だ、などと分かったようなことを言う、恋愛の落伍者が二人そろっただけとなった。
それでも私は安心していた。崇志さんが、やっぱり崇志さんだと思えたからだ。
そもそも母と出会う前のことは、一切口にしたことがない。だから私も聞こうとは思わない。崇志さんと恋愛の話はもうやめよう。いつか聞きたくないことまでも聞いてしまいそうだから。
次の日から一本前のバスに乗ることにした。
吉田くんとは会うこともなかった。
由佳たちとも一切話をしなくなった。
だからといって困ることはなにもなかった。
だけど由佳はきっと『恵梨華さえいなかったら』と思っていることだろう。
崇志さんもそう思っているかもしれない。
だけど私はここにいる。私の存在は消せない。
私にできることと言えば、そう思っていなかったら嬉しいなと思うくらいだ。
お昼休みに携帯電話をチェックすると、崇志さんからメールが入っていた。
『今夜、会社の人がウチに来るから夕食は三人分頼むよ』
崇志さんが会社の人を家に連れてくるなんて初めてのことだ。
ましてや夕食をごちそうするなんて、上司の人かな、それとも部下かな、ちゃんとした料理作れるかな。二人分しか作ったことがないし、他所で夕食を食べたことがないから、味付けにも自信がない。崇志さんはいつも美味しいと言ってくれるけれど。
夕飯はハンバーグにした。買い物の際、分量が分からなかったけれど、多めに作っておいて余れば弁当のおかずにすればいいのだから。
来客用のカップや箸もない。あらかた百円ショップでそろえることにした。
家に帰るとすぐに夕食の支度に取りかかった。
動いていれば、その間は悩むことはない。慣れない三人分の支度も案外楽しいと思えた。
やがて支度もすっかり整い、辺りがどっぷり暮れた頃、玄関のチャイムが鳴った。
「はあい、今開けますから。」
ぱたぱたと駆け寄った玄関先、そこにいたのは崇志さんと、見知らぬ若い女性だった。
「たたいま、こちらは秘書課の高橋由香里さんだ。」
「はじめまして、高橋です。」
ふわふわの髪をポニーテールにした由香里は、ちょこんと軽く会釈した。それだけで春の香がしそうだった。
「恵梨華です。」
私も軽く会釈するつもりが、深々と最敬礼をしてしまった。声もうわずっていたかもしれない。
「どうぞ、あがってください。夕食の準備もできていますから。」
「失礼いたします。」
ぱたぱたとスリッパで歩く音がする。由香里さんの音は聞こえない。同じスリッパを履いているのに。
三人で囲んだ食卓、由香里さんの笑顔は絶えない。
ハンバーグを口に運ぶにしても、口を三分の一くらいしか開かない。音なんてもちろん立てるわけがない。佇まいからきれいな人だ。同性の私から見ても、ほれぼれしてしまう。
ところで由香里さんは何の目的できたのだろう。
「今日、高橋さんにきてもらったのは他でもない、恵梨華ちゃんの為なんだ。ほら、男手ひとつでは分からないことも多いだろ、女同士の話なんてものもあるだろう。」
私の為、男手ひとつでは分からない、それってもしや、それってまさか。
ああそうか、崇志さんの恋人なんだ。
考えたこともなかった、崇志さんが再婚するなんて。
くやしいけれど、二人が並ぶとお似合いだ。
くやしい、何がくやしいの、どうして私がくやしいの。
母を忘れてしまうから、私の母は一人だけなのに。
新しい母なんて認めない。認められやしない。
いや違う、そう違う。
私はくやしいのだ。私自身がくやしいのだ。
私は無言で立ち上がると、二人とは目を合わせないよう自分の部屋へと駆け込んだ。
ベッドに倒れこむと枕に顔を埋めた。声にならない声がどこにも漏れないように。
「恵梨華ちゃん、突然どうしたんだ、お客さんに失礼だろう、何があったんだ。」
崇志さんがドア越しに呼び掛けてくる。
『何があったんだ』より『お客さんに失礼だろう』が先なんだ。
私より、由香里さんが先なんだ。
それよりも、何よりも、崇志さんの隣にいるのは私ではないのだ。
「一体どうしてしまったんだ、いつもはこんなことないのに。すまなかった。」
「大丈夫ですよ、それより恵梨華ちゃんに何て説明していたんですか。多分勘違いしていますよ。」
勘違い、何が勘違いなのだろうか。ドア越しの声に耳を澄ませた。
「私が副島課長の再婚相手だと思ったんですよ。新しいお母さんの紹介だろうって。」
違うの、再婚相手じゃないの。
「あ、そういうことか、おおい恵梨華ちゃん、開けてくれないか。きっと君は誤解しているんだ。」
由香里さんのさえずるような笑い声が微かに聞こえる。きっと仕事場と家庭とでは崇志さんのギャップは大きいのだろう。
「恵梨華ちゃん、ほら、この前の恋の話なんて、支離滅裂で参考にならなかっただろう。だから女の子同士で話すのが一番だと思って高橋さんに来てもらったんだよ。」
そういうことなんだ。
でももう遅い。
私は気付いてしまったの。
私の崇志さんへの気持ちが何なのか。
だからこそ知りたかったんだ、崇志さんがどうして私を助けてくれたのかを。
どうして私を育ててくれたのかを。
母と同じ髪型にしたことも、母がうらやましく思っていたのかもしれない。
私は崇志さんの傍にいたい。
ずっとずっと傍にいたい。
だけど貴方は受け入れないだろう。
このまま終わりたくはない。
けれど今を失いたくはない。
だから私は選びます。
ドアを開けると、心配そうな崇志さんと、変わらずきれいな由香里さんがいた。
「ほら、私は既婚者なんだ。あなたのお父さんを取ったりはしないよ。」
そう言ってかざした左手には、プラチナの指輪が輝いていた。
「ごめんなさい、私が勝手に勘違いしてしまいました。」
私は精一杯の笑みを浮かべてみた。
そして大きく深呼吸をした。
「私って、そそっかしくて、きっとお父さんに似たのでしょう。」
崇志さんはきょとんとしていた。
「ね、お父さん。」
お父さんは我にかえると、力強く私を抱きしめてくれた。
お父さん、私はいつまでもあなたの娘です。
ずっとずっといつまでも。
おわり
読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ、他にも書いていますので読んでみてください。
重ね重ねありがとうございました.