門、輪廻
完全にオリジナルです、そして分かりにくい答えの解説ですが…頭をフル回転でひねらしてください。
老いは誰にでも訪れる。
ほ乳類で老いが訪れない生き物は居ない。
老いは、生き物に定められた物。
呪いと言い換えてもいい。
そして、ある男にも訪れた。
名前は・・・まあ「T」とでもしておく。
心室が伸びきった心臓は、体全体に血液を回す出力を得られない。
線維化した肺は、硬くなり酸素を十分に取り込めない。
老いに纏わる全てがTを襲う。
T「・・・・あ・・・・」
女「何、なんなの?」
Tは喋ることも許されず朽ちていく。
そして、家族や友に看取られ天寿を全うする。
その後、規則に従い三途の川を渡り、百年間、閻魔の雑用として他の幽霊とともに働いた。
百年後、Tは輪廻の輪に従いまた男として生き返ることになった。
もちろん生前の記憶は無いし、人間の体もしていない。
姿は幽霊。
言葉はしゃべれるが、人間の器に入るとともに、言葉の記憶もリセットされる。
規則に従い、他の幽霊達とともに歩を進めていくと、二つの門が見えてきた。
T「何だ、あれ?」
幽霊1「さあ?自分に聞かれても、ねぇ?」
T「・・・そうか、そうだよなぁ。ごめんごめん」
そうして門の方をじっと見ていると、幽霊達が各々二つの門に入っていくのが分かった。
T「強制じゃないんだなぁ」
幽霊1「そうっぽいな、意味が分からん」
そして、門の前までやってきたら、そこの係員とでも言うような物から説明を受けた。
係員「皆様にも見て頂けていると思いますが、私の後方に門が二つあります。二つの門は、それぞれ「地上の門」「繰り返しの門」です。地上の門はその名の通り、地上に戻り、自分の定められた生き物として地上に生まれて頂きます」
幽霊達が歓声を上げる。
係員「ご静粛に・・・繰り返しの門は、地獄へ送られ、幽霊としての存在すらも消されます」
あれほどの歓声がパタッと止まった。
納得の出来ない幽霊が、疑問を投げかける。
幽霊2「なんで皆生き返られないんだ!?」
係員「まあ、待ちなさいな。何もこちらが強制的に選ぶわけではございません。決めるのはご自身でございます」
T「・・・・・・・・」
Tはとりあえず黙認した。
係員「門の前の門番が見えますでしょうか?」
Tは、先程まで気にしなかった門の前を覗くと、銅像のような門番が見えた。
係員「あのどちらかの門番に、一回だけ質問する権利をお渡しします。」
そうそう、と係員は不敵に笑って見せた。
係員「門番のどちらかは、嘘しかお答えしないのであしからず・・・」
T「なっ!?ここで選別する意味は何なんだ!」
係員「威勢がいいですねぇ、ここで吠えても意味はありませんよ?ま、それはさておき、つまり篩いですよ」
幽霊達「篩い?」
あたりがざわつく。
係員「今お話ししますから、ご静粛に・・・皆さん自分の周りを見てみてください。何が見えます?そう、幽霊です。」
そこは分かりますね?と笑って見せたので腹が立つ。
係員「問題はその数・・・地上にこの数は収まりきらないのですよ。なので篩いに掛けるのですよ」
T「そうか・・・「篩いというのはつまり、運がいいやつ悪いやつを分けるのか・・・」
係員「ピンポーン、正解です・・・と言いたいところですが、一つ抜けていますよ。「質問の答えが分かる人」もですよ」
また、してやったかのような皮肉な笑みを浮かべる。
係員「門に入るのはいつでも結構ですので・・・自分の勘を信じるのも良いですし、模範的な質問の答えを考えるのも良いですよ。それでは、どうぞ・・・」
係員の許可を得て、ほとんどの幽霊は自分の勘で自由に自分の選んだ門に入っていく。
所詮、自由と言っても、フリーダムでは無く、リバティだ。
幽霊1「お前・・・どうする?」
T「・・・考えてみるよ」
Tは門に入るのがいつでもいいならと、考えてみることにした。
幽霊1「そうか・・・じゃ、自分も」
そうして、長く考え頭をひねり、一つの答えにたどり着いた。
周りを見ると、もうTと(・・・幽霊1だと示しが付かないのでMとする。)以外誰もいなかった。
門に近づくと係員に、声を掛けられた。
係員「どちらかが地上の門で、どちらかが繰り返しの門。それぞれの門に、立つ門番は、どちらかが嘘しか、どちらかが本当しか喋らない。どちらかの門番に一回だけ質問が許される。さあ、どちらの門番にどんな質問をしたら地上に行ける?」
意味深な言葉を発した後は、何も喋らなくなった。
TとMは自分たちの答えを確かめるために、違う門番に同じ問いをすることにした。
M「んじゃ、また逢えたら地上で・・・って、言っても記憶無いか」
T「ははっ、違いねぇやな」
そして、二人は同じ門にたどり着いた。
T「やっぱり」
M「ああ・・・」
T&M「合ってたな」
そして二人は地上の門と思われる門をくぐっていった。
係員「答えを間違った者が何人も地獄に堕ちていったが・・・あいつらは正解だな」
係員は笑いながら呟いた。
.……完 ……。
問いを考えてみよう。
答え
どちらの門番でも良いので「となりの門番は、どっちが地上の門と言う?」と問う。
そして、門番が答えた門とは逆の門を選べばいい。
なぜなら、質問したのが本当しか喋らない門番だったら・・・となりの嘘しか言わない門番が、嘘をついて繰り返しの門を答えるのを正直に教えてくれるので、その反対の門を選べばいい。
質問したのが嘘しか喋らない門番だったら・・・となりの本当しか言わない門番は、正直に地上の門を答えるのだが、嘘しか言わない門番は、そのことさえ嘘をついて繰り返しの門を答えるので、こちらも反対が地上の門になる。