脱出
入院して暇しているあなたへ
あたしは一人天井を見つめる
ぼーぼーぼーぼーぼーっとする
暇だ暇だ暇すぎる
もう点滴も1日1回になったし
拘束されなくなると
自由がいっぱいあるのにすることがない
雑誌みても音楽聴いても飽きてくる
食事制限ありすぎで出されるのは完璧小鳥のエサ
楽しみがない
妹はお寿司とか買ってきておいしそうに病室で食べてるし信じられない
友達はやせすぎじゃんって憐みの表情で見て
また来るねとか言って二度と来なかったし
消灯時間過ぎると隣のカーテン越しのおばさんが
ぼりぼりお菓子を食べたり一人で笑ったり
夜中に一番端のベッドのいつも昼間寝ているおばあちゃんが
うるさいから音楽止めろって走ってくるし
あたし何も鳴らしてないし聴いてない
ここは胃腸科ですよ
入院すると余計病んでいくよ絶対
でも一番つらかったのはなぜかシャワー禁止だったこと
そこであたしは脱出を試みた
夕食が終わるとふらふらしながら原付きに乗り自宅に帰った
自宅まで60キロ出せば5分で着く
そしてシャワーを浴びて一服してふらふらで病院に戻った
さすが10代 病んでても若さとは強いものだった
それを退院まで2週間は続けただろうか
あたしは元気だったのだ
何のために入院したのか
謎だった