第6話 裏話?
ちょっと話が前後していたりします。ようやく、少しずつですが話が進んできています。・・・進んでるのかなぁ(笑)
時間をちょっと遡ります。
婚約者選別会って何?と思われた方、アリスとバニーはあの後どうなったのよ!と思われている方のために・・・。いや、今まで忘れていたわけじゃないですよ?えぇ。まったく。これっぽちも。ちょっと、いつ出そうかなって思ってただけで。ハイ。では、時を戻して・・・。
「大丈夫、大丈夫。僕が責任とってあげるから」
「何の責任だぁ!!?だいたい!テメー!一服盛っただろ!!!」
やっとこさ、アリスの衣装→マッパ→シャツにズボンとまともな格好になれたアリス。元気にバニーに詰め寄る。
「何のこと?」
しらっと、あくまでもその笑顔を崩さないバニー。
「てっめ・・・!」
「だいたい、クイーンたちはもうその気だよ?それに・・・アリスはもう帰れないって」
その言葉に、アリスはびくりと反応する。
「何で・・・」
しごく明るく。バニーは言った。
「だって、アリスは僕の奥さんだもん♪」
「いつなったんだよ!!」
アリス、ナイスつっこみ。
「・・・アリスは、僕のこと嫌い?」
アリスにつっこまれ、急にしおらしくなるバニー。
「バ・・・バニー・・・?」
「僕みたいなのは、親が決めた婚約者と結婚しなきゃいけないんだ。・・・好きでもないのに。だけど、僕はアリスが好きなんだ。・・・3日後に婚約者の選別会があるんだ。そこで、僕の結婚相手が決まってしまう・・・僕は、好きでもない人と結婚なんてしたくないよ」
まるで、子どものように、アリスに抱きつきながらバニーは話す。
「お願い、アリス。嫌なら何もしないし・・・一緒にも暮らさない。・・・いつかは、元の世界に返してあげるから・・・僕の・・・僕のお嫁さんになって・・・?」
その切実さと、子どものような可愛さに、アリスは胸を打たれる。が。もちろん。言うまでもなく。演技である。わかっていないのはアリスだけ。
「う・・・じゃ、じゃぁ・・・少しの間だけ・・・なら・・・」
「!ありがとう!!アリス!!大好き!!」
そのお許しの言葉に、バニーはアリスをよりいっそう強く抱きしめる。そして、頬にキスをする。
「わ!!それ・・・!やめろ〜!!てかそうだ!!何もしないって・・・!!お前!俺が意識のない間に・・・!!」
「何もしてないよ。キスマークはつけたけど。」
「・・・・え?」
「意識のない相手を抱くほど、鬼畜じゃないよ」
ふふっとバニーは笑む。
要は。リアンたちに見せ付けるためだけにしたってことね・・・。はは。
頭痛ぇ・・・。
そんなこんなで、アリスは丸め込まれ、今にいたっているというわけで。
そんなわけで(?)3人の衣装合わせは行なわれていた。
「・・・・足元がスースーする・・・」
「・・・・ひらひらする・・・」
「2人とも、よく似合ってるぜ?マスター、その格好見ればガーデンに独り占めしてもらえるぜ!」
と、ピースをするアリス。その、目の前には・・・。
マスターは、清楚な感じが漂う白いシンプルなドレスを着(もちろん、胸がなくても似合う型)、前髪をあげ、後ろ髪はウイッグをつけアップにしていた。どこぞの深層令嬢のようだ。
一方、リアンはというと。こちらは黒のチャイナ風のドレスである。七部の袖に、長いスリット。大きな牡丹の刺繍が黒の大人っぽい中にも、派手な印象を与える。リアンは、前髪を横流しにし、ストイックな美女となっている。
そして、元気いっぱいアリスくんは。リアンにお返しとばかりに薄いピンクのふりふりリボンなピンハ系のドレスを着せられた。髪は金髪のウエーブのかかったロングヘア。
何かもう、壮絶な感じである・・・。
「しかし、すっかり遅くなっちゃたね〜」
リアンは、時計を見ながらけだるそうに言った。もう日付が変わっていた。
「何だかんだ文句つけてきたのはリアンだろ〜」
あれにしろこれにしろと着ては脱ぎ着ては脱ぎをさせられたのはアリスとマスターである。
「だって、せっかく可愛くするんだしねぇ」
似合うのがいいじゃない。と言うリアンの言葉にまぁわからなくもないけどってか、似合ってなくてもいいんだけど。と思いながら。アリスは。
ていうか・・・何で女がいないのにこんなにたくさん女物のドレスやらアクセサリーがあるんだろうか・・・と。心の奥底で。一人で思ってみるのであった・・・。
「それよりさ!細かい直しは明日にして、今日はそのままで帰りなよ!マスター!!絶対ガーデン喜ぶよ!!」
目の前で儚げに潤む瞳のマスター。
「・・・そう、ですか?」
「自身持ちなって!なぁ、リアン!」
だってもう、誰が見たって。パーフェクトに美人なのだ。
「そーそ。これで勃たなきゃ男じゃない・・・」
「はいじゃ〜行こうか〜〜!!!」
リアンの教育的指導が入りそうなコメントは置いておいて。
気乗りしないマスターをひっぱりながら。3美人はマスターの屋敷に向かうのであった。この道すがら、誰にも会うことがなかったのは・・・ある意味幸運と言えよう。
「ここにいるのか?」
「・・・多分・・・彼と僕は一緒に暮らしていますから・・・」
「で、マスターの部屋に、いるんだよな」
からかうリアンを放って、アリスはマスターの背を押し屋敷の中へと入る。玄関の扉を入り、豪勢な造りの階段をあがりガーデンがいる(らしい)マスターの部屋の前につく。
マスターは、数度ためらったあと控えめにノックをした。
「ガーデンさん・・・います、か?」
ていうか・・・自分の部屋入るのにノックって・・・。と2人が思ったかどうかは別として。
半分、寝てるかも。と思っていたから。
勢いよく扉が開いたのには、ちょっと心臓止まりかけたよ。
「マスター!!?こんな時間まで・・・!!?」
ガーデンは、怒った様相でそこまで言って・・・止まった。
「ご・・・ごめんなさい・・・」
びくっとするマスターは・・・まさにお嬢様。
「・・・・マ・・・マスター・・・?」
その様相は、驚きに変わり。
「はい・・・に、似合いませんか・・・?」
控えめに、瞳を潤ませるマスター。
ぐっとこない、男はいないだろう。
「いや・・・」
どうやらツボに入ったらしいガーデンは、珍しく感情を全開にして。今すぐ抱きしめたい。というオーラを出している。
「・・・その、格好は?」
感情を抑えながら、ガーデンはマスターに聞いた。
「・・・ガーデンさんに・・・好きになってもらえるように・・・」
「・・・は?」
「僕が役不足なのは・・・わかっています・・・!愛人がいてもいいです!!だから・・・」
「僕を・・・捨てないでください」
その頬を、涙が伝う。
きっと、今まで。マスターはいろんな思いを抱えてきたのだろう。
夫婦という関係でありながら、ガーデンには愛人が大勢いて。
愛情を確認できなくて。
それでも。
愛していたのだろう・・・。
顔を臥せっているマスターを、ガーデンはかき抱いた。
「・・・!」
「捨てるわけ・・・ないだろう・・・!」
マスターの体が、折れるほど強く。
「俺は、今も昔も・・・ずっとお前だけを愛してる」
ガーデンの、告白。
「俺のほうこそ・・・お前に嫌われていると・・・」
「そんな!何でですか!?」
「俺が何人愛人を作っても、何にも言わないからだ」
「そ、それは・・・僕のことを好きじゃないんだと思って・・・」
「・・・・」
「・・・・・」
らぶらぶである。
「俺たち、存在忘れられてない?」
「・・・帰るか・・・」
そう。
まだいたのだ。アリスとリアンは。
で、何かもう。目の前は2人の世界だし。そのままにして、マスターの屋敷を後にするのだった。
「何だかんだで、ラブラブじゃねーか。あの2人・・・」
おもしろくなさそうに言うのはリアン。
「ていうか、人のああいう場面見ちゃってよかったのかな・・・」
顔が真っ赤なアリス。
「・・・・できればもう2度と見たくないけどな・・・」
リアンは苦笑しながらそう言った。
「あの2人もねぇ。・・・不器用なんだよね・・・マスターも、ガーデンも。・・・それに・・・」
夜空を見上げながら、リアンは静かにそう話した。
「・・・さ!俺も早く帰って愛しのダーリンにこの姿を見せてあげるか〜!!」
リアンは全開の笑顔で楽しそうにそう言った。
「俺は、あんまり会いたくない・・・」
アリスは心の底からそう思った。
「いいじゃん。似合ってんだし〜」
しなを作るリアン・・・。はまりすぎ。
「それとも、恥ずかしい?」
にひっと、アリスの前でからかうような笑みを見せる。
「だ・・・!だって、こんな格好だぜ!?そりゃ・・・」
再び真っ赤になるアリスに。
「おやおや〜?それは、バニーだからかな〜?」
「ち・・・ちが・・・!!」
なぜか動揺してしまう自分。
そうこうしながら2人が家についたのは、もう2時も近かった。
それでも、クイーンとバニーはきちんと起きて待っていて。・・・というか、いたくご立腹でと、いたく心配してと。
それぞれ、帰ってきたリアンとアリスにどんな反応をしたかはさておき・・・。
この時、これから起こる事をアリスはまったく想像していなかった。
3日後(正確には2日)には、アリスの人生を変える大きな事態が起こることは・・・この時まだ、アリスは知らなかった・・・。
〜続〜
何か、何がメイン?っていう感じですね。唐突なガーデンとマスター話(笑)ちょっとここにどうしても入れときたかったので。話が急展開で申し訳ないです〜。これから更にラブがたくさんでてくる予定。基本、この話のコンセプトは愛の国です(笑)皆様、今後も見捨てずお付き合いのほどを〜。