第36話 秘密の花園・6
気付けば、アリス、読者アクセス数、3000を超えました・・・!!うわォ!びっくり!!ほ、本当にありがとうございます!!これからも、よしなに・・!!
まるで。
すべての時が止まったように。
まるで。
世界が隔絶されたかのように。
「どう、なの?祐馬くん」
あの、香りがする。
すべてを麻痺させるような。あの、香り。
「あなたにとって、ソウくんは」
「いらない存在だった?」
「わずらわしかった?」
「向こうで生きていくためだけに、必要な存在だった?」
「嫌い、だったんでしょう?」
その唇が。
痛いほどの、真実をつむぐ。
頭が、働かない。
そして。
言葉となって、出るのは。
真実。
「・・・嫌い、だった」
「わずらわしかった・・・」
「向こうで生きていくのには・・・確かに、必要だった・・・」
愛していたわけじゃない。
好きだった、わけじゃない。
覚悟が、ないんだ。
「何でそんなに」
覚悟が、ないんだ。俺には。
「泣きそうな顔をしてるんだい?」
祐馬は、その言葉にびくりとする。
危険だ。
危険、だ。
この女は何者?
あぁ。
あぁ。お願いだから。
それ以上。
気付かせないでくれよ。
「好きだったんじゃ、ないのかい?」
「・・・違う・・・」
「好きに、なりかけてたんじゃないのかい?」
「ち、がう・・・」
「じゃあ、なんで。そんなに苦しそうな顔をしてるんだい?」
「違う・・・!!」
祐馬は、バンっとテーブルを叩きつける。
「俺は、あいつのことが嫌いだった・・・!もう、それでいいだろう!?たのむから・・・!」
祐馬は、力なく。
ソファに寄りかかった。
「頼むから・・・これ以上、かき回さないでくれ・・・」
両の手は、視界を遮り。
その遮られた視界で、何を見る?
「覚悟が、ないいんだろう?」
それでもなお。
その女はしゃべり続ける。
「・・・・!!ねぇよ・・・!!あるわけないだろう!?」
その女の言葉に。
切れたように、祐馬はしゃべりだす。
「あいつは、あっちじゃ名の知れた家の子息だぞ!?元々は、国の次期王と婚約するような地位の人間だ・・・!俺なんかを相手にしてる場合じゃねーだろ・・・!?」
「いつまでも帰って来なきゃ、家の人間だって心配する!しかも、俺みたいな人間と、なんて・・・!許せるはずがないだろ・・・!!常識で考えてみろよ・・・!!」
違う。
そうじゃないんだ。
何を、言ってるんだ。
俺は。
何を。
言ってるんだ。
「それに・・・!!」
「あいつは、バニーを好きだったんじゃねーか・・・」
「バニーに振られたから、俺に乗り換えたんじゃないのかよ・・・」
お前が、甘く囁くたびに。
お前が、愛を語るたびに。
吐きそうなほど。
俺の中の俺が。
悲鳴を上げる。
言葉はとても簡単で。
言葉はとても、重くて。
だから。
俺には、覚悟がないんだ。
覚悟が、足りないんだ。
「・・・言葉も信じれねぇ・・・。好きになる、覚悟もねぇ・・・」
言葉だけを信じて。
あなただけを、素直に愛せたら。
何て幸せだったのかしら。
素直に言葉を信じるには。
祐馬は、言葉を信じられないような、恋しかしてこなかったから。
嘘を囁くことも。
相手を喜ばす言葉も。
祐馬はよく知っている。
だから。
だから。
ソウの言葉の真意がはかれなくて。
まるでゆっくりと底なしの沼にハマっていくように。
抜け、だせなくて。
息すらできなくなって。
結局。
ソウに、あんな顔をさせてしまった。
それだけが、後悔。
自分が、初めて。
好きになれたかもしれない相手への、最後の後悔。
いつの間にか。
祐馬の頬に、涙の筋ができる。
「・・・不器用な、子だねぇ・・・」
ぬぐっても。
ぬぐっても。
「どうしてお前たちは、そんなに臆病で。自分勝手で。相手の思いに気付けないんだろうねぇ・・・」
嫌味ではなく。
優しい、優しい口調。
「だから私達は・・・お前達が愛しくて・・・しょうがないんだろうねぇ・・・」
吐き出してしまった思いに。
祐馬は自分で傷つく。
認めてしまった、認めたくなかった、自分の思い。
本当は、ずっとずっと、辛くて。
辛くて。
気付かないふりをして。
見ないふりをして。
本当はずっと。
痛いほどに傷ついていたのに。
「辛かっただろう・・・?祐馬・・・」
その、一言が。
「でもねぇ、ソウもずっと、辛かったんだと思うよ」
そっと、祐馬の両の手を握る。
その、視界に入ってきたのは。
あの、べにおだった。
「あんた達は、もっと話をしなきゃいけないよ。お互い、相手を傷つけないように、自分が傷つかないようにって行動するから、結局お互いが傷つくんだ」
「ねぇ、祐馬」
ゆっくりと、べにおは口を開いた。
「本当は、どうしたいんだい?」
すべてを、抜きにして。
いっさいを、考えずに。
ねぇ。
そうしたら。
あなたに残る、思いは何?
「覚悟が・・・欲しい・・・」
人を愛する、覚悟が欲しい。
あなたを、好きになるために。
あなたを。
好きになるために。
その言葉に。
ゆっくり、べにおは微笑んだ。
〜続〜
どこまで続くよシリアス調。なんて。雰囲気ブチ壊しのあとがきです。ようやく、ソウ×祐馬編の先が見えてきましたね★つーか、祐馬にのみ焦点あたりすぎだなぁ。あはははは・・・!!はぁ。そして。べにお様再来。どうなる次回・・・!つーか、笑顔の下に、みんないろんなモノ抱えすぎやっちゅーねん(笑)こと恋愛に関して臆病ものばっかやん。まぁ、人間らしくていいじゃないってことで(綺麗にまとめてみました)