表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/44

第35話 秘密の花園・5

離れ離れになってしまったソウと祐馬。お互いに何を思うのか・・・とか、シリアス調に前書き書いてみたりして★(そして、この時点でブチ壊し)

「祐馬〜、女の子が呼んでる〜!」


「お〜」


「また祐馬かよ・・・!?」

「瀬戸モテすぎ〜〜・・・!!」

「お〜い、ソイツは悪い奴だぞ〜!」


「お前ら、うるせぇよ・・・!!」


 祐馬は、後ろで飛ぶ野次に苦笑しながら、校門で待つ女の子の元へ駆け寄る。


 この制服は。

 隣の女子高の制服か。


「忙しいところ、ゴメンね」


 髪は肩までで、ちょっと茶色がかったるかな。

 目はぱっちりしてて、ちょっと、恥ずかしそうに俯く姿が何とも愛らしい。


「や、かまわないけど」

 男子校に、一人で来るのはそうとう勇気がいったことだろう。

 明るい声は出してはいるが。

 肩が微かに震えている。


「あ、の。陸上の大会で、瀬戸くんをみて・・・それから、ずっと・・・瀬戸くんのことが、好き、で」


 

「もし、よかったら、・・・付き合ってくれない?」


「・・・やっぱ、これだよな」


「え?」


「あ、いやいや。いいよ。俺、今フリーだし?可愛い彼女が欲しかったんだ」


 嬉しさに泣き出す女の子。

 そうだよ。

 俺が求めてたのは、これなんだって。


 女の子との、恋愛。


 だって、アイツは男じゃん?どんなに目がぱっちりして、どんなに可愛い顔で笑ったって。


 だって。


 だって。




 だって。


 覚悟なんてない。

 覚悟なんて。


 ないんだ。


 


 その日、俺は。

 アリスの存在の残る物を。すべて片付けた。



「ソウ、一緒にお茶でもどう?」

 眩しい木漏れ日の中。

 大きな木の下で、ソウはうとうとしていた。

 昔からの、お気に入りの場所。


「・・・かあさま・・・」

 

「向こうでの生活はどうだったの?」

「楽しいですよ。みなさん良くしてくださるし」

 にこにこと、アリスさんが、リアン様が、バニー様が・・・とソウは向こうでの生活を語る。

 そのソウの言葉に、丁寧に相槌を返す。

 ソウにかあさま、と呼ばれるその人は。

 ソウにそっくりの容姿をしていた。


 ソウの、こちらの世界でいう母親。

 似ているが、醸し出す雰囲気はどこか優しく、そしてどこか強い…。


「…かあさま…」


 ソウは、それまでの明るい声とは違った、小さな小さな声で。

「僕は…裕馬さんにとって何だったのかなぁ…」

 ソウは、俯いたまま。

 言葉をつむぐ。

「どんなに人を好きになっても・・・駄目なことってあるんですね・・・」


 貴方が好きです。


 貴方のことが、好きです。


 ねぇ。

 ねぇ。


 聞こえていますか?


 届いて、いますか?



「ソウ・・・」


「・・・祐馬さんにとって、僕は・・・」



「何だったんだろうなぁ・・・」


 ソウの肩が微かに震える。

 そして、ぽつぽつと。

 固く握られた拳の上に雫が落ちる。



「祐馬くん」


「祐馬くん」


 可愛い唇からつむがれる、自分の名前。

 それなのに。


 心はちっとも動かない。


 とっても、可愛いとは思う。

 女の子特有の華奢な肩。

(そういえば、アイツも華奢な方だったな)

 シャンプーの香り。

(いい香りがいつもしてたのは、何の香りだったんだろう)

 くりくりとおおきな目。厚い唇。さらさらな髪。


 何で。

 何で。


 アイツが出てくるんだ。

 何で。


 アイツを重ねてしまうんだ。


「祐馬くん?」

「・・・あ、いや」

 彼女と一緒にいるのに。

 他の奴、しかも。

 男のことを考えるなんて。らしくない。

「疲れてるんじゃない?」

「そうかも」

 ハハ、と愛想笑いを返す。

 笑顔さえ返せば。

 それで丸く収まる。

「そういえば、男子校ってさぁ」

「ん〜?」

 ファミレスの一角。ドリンクバーで粘りながら。

「やっぱ、ホモとかいるの?」


 なんて、タイミング。


「いやさ、よく聞くじゃん?どうなのかな、って思って」

「ハ、ハハ。どうだろ。俺はよく知らないけど」


 こんな会話、やめてくれ。


「そうなの?友達のお兄ちゃんもそこ通っててさぁ。いるらしいって聞いたんだよね」


 動悸が、する。



「ありえないよね。男同士なんて」


 ガシャン。


「わ、大丈夫?」

 祐馬の前のグラスが、倒れる。

 女の子がナプキンで、こぼれた琥珀色の液体をふき取る。

「・・・あぁ。ゴメン、ゴメン」

 綺麗に整えられた、爪。

「でもさぁ、だって男同士だよ?」


「人には、それぞれあるんじゃないの?」


 アリスだって、そうだった。


「え〜、そうかなぁ。お手軽にすませたいだけじゃない?」


 リアンさん達だって。マスターさん達だって。


「そうじゃない人たちも、いるかもしれないだろ」


 あんなに。

 お互いを。


「う〜ん。でもォ、祐馬くん的にはどうなの?」


「なしだと思わない?やっぱり」


 彼女の瞳が。

 俺を射抜く。


 覚悟がないんだ。


 覚悟が、足りないん、だ。


「それとも」



「覚悟が、ない?」


 ぐるぐると、頭が回る。

 気分が悪い。


 頼むから。もう。俺に構わないでくれ。


 俺を、惑わさないでくれ。


 ようやく。

 ようやく。



 俺はすべてを捨てる覚悟をしたのに。


           〜続〜


 



ようやく半分くらいかな。ソウと祐馬の話。な、なかなか書き辛いです・・・。この2人・・・!!ラスボスが待ってた感じ。あ、や、ラスボスはまだですね・・・。ハイ。あ。今回、祐馬ちゃんの彼女がいろいろ言ってますね。ホントはもっと過激に言わせようとも思ったのですが(笑)否定するような話が出てくるのが駄目な方もおられるようなので、このあたりで。

配慮はしたつもりですが、グサっときた方おられましたらすみません・・・!つーか、祐馬、切り替えはや!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ