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第30話 傷跡・11

気付けば30話・・・(実質31)!!?えぇ!!?もうそんなになるの!?な、長いなぁ・・・。ドキドキ。ま、まだ続けても大丈夫なんですかね?これ・・・。そんな一抹の不安に駆られながら。傷跡、最終話でございます!!

「・・・しばらくぶりの、殺意だ・・・」


 クイーンは、うんざりしたように言った。


 眼前には。


「あ〜〜!!アリス!!そのゴマ団子、わいが食べようと思っとたんに!!」

「え?もうたべひゃっひゃ」

「い・ま、まさに食いよった〜〜〜・・・!!!」

「落ち着いてください。2人とも。こっちにもありますから」

「ぱく」


「!!?ああああああ〜〜〜!!」

「ソウ〜〜〜〜〜!!!?」


 和やか、を通り越して。

 うるさい食卓。

 よく晴れた、ランチタイム。


 まるで、昨日の出来事が嘘のように、温かい、温かい時間が流れる。


 つーか。


「何で、マスターが取ってくれたんをお前が食べるんじゃ〜〜〜!!」

「わいの・・・!わいのゴマ団子〜〜〜!!」


 温かいっつーか、ウザイ。


 そんな双子に。

 今回、大・活躍な、恋愛のペテンsh・・嘘です。うっかり口が滑りました。偉大な恋愛の教祖、ソウ様は。


「・・・僕が食べちゃ、いけないって言うんですか?」


 これでもかってほどの笑顔でのたもうた。


「ど、どどどどうぞォ・・・」

「た、たくさん食べたってぇ・・・」


 そんな、やりとりに。

 周りの人間は、知らず、笑みを浮かべるのだった。


 誰も知らなかった、双子の心の傷。

 ずっと、ずっと抱えていた、叶わぬ想い。


 秘めて、秘めて。


 崩れ落ちそうになるまで。


 その二人に、今また、笑顔が戻っている。

 何だか、この笑顔を見るのは本当に久しぶりのような気がする。

 くるくると、変わる表情が。


 ・・・口さえ開かなければ愛くるしい。



 傷ついて。

 傷ついて。

 傷つけて。

 傷つけられて。

 

 ようやく、大声で泣くことができた。

 ようやく、想いを口にすることができた。


 ようやく。


 前を向くことができた。


 ようやく。


 あなたのことを。


 笑顔で思い出せるようになった。



 それは、本当に奇跡のような出来事で・・・。



「今回は、本当にご迷惑をおかけしました」

「ありがとうございました」

 楽しくも、にぎやかな昼食会も終わり。

 ツバキとサクラ、ブラックとホワイトはクイーン邸を後にすることにした。今から、スミレのお墓参りにいくという。

 今まで、行くことのできなかった、スミレの墓標に。花を手向けに。

 クイーン、バニー、ガーデン、祐馬を前に、ツバキとサクラは深々と頭を下げ、挨拶をしている。

「で?これからどうすんの?」

 その斜め後方で。ブラックとホワイトに、リアンが問いかける。

 どうする、とは、きっと婚約のことだろう。

「そやなぁ。今んところは、何も考えてへんわ」

「ん。吹っ切れたばっかりやからなぁ」

 問われて、二人は、苦笑しながら答える。

 今までとは、どこか違う、二人の笑顔。わだかまりのなくなった、いい表情をしている。

「何がきっかけかもわかれへんし?」

 はは、とブラックが笑う。

「そうですよ」

 マスターも、嬉しそうに笑顔で返す。

「まだまだ、これからですよ!目指せ!いい恋!!ですからね!!」

 前回に引き続き、熱く語るは、ソウくん。

 そこに、笑い声が広がる。


 あぁ。

 あぁ。


 何て、幸せなんだろうか。


「じゃあ、二人とも気をつけてね!」

 アリスも笑顔で見送る。

「まだ無理しちゃいけませんよ!」

 マスターは少し心配顔で。


「ソウさん」

 マスターとアリスが双子と話している横のソウに、ツバキとサクラがそっと近寄る。

「はい?」

 相変わらず、無表情なその顔。

 しかし、どこか雰囲気が柔らかくなったように思う。


「・・・ありがとう、ございました」


 深々と、頭を下げる。


「・・・どう、いたしまして」


 一通りの挨拶をすまし、4人は屋敷を去っていった。

 

 長い、長い時間がようやく終わる。


 それぞれのカップルも、クイーン邸をあとにするのだった。


「あの4人、どうなるのかなぁ・・・」

「どうかな」

 アリスとバニーは、気持ちのいい風を感じながら帰路についていた。

 前を向いて、ゆっくりと歩く。

「・・・愛とか、恋とかって・・・難しいね」

 アリスは、小さく言った。

 自分は、何も考えていなかった。

 ソウみたいに考えたことなんて、なかった。

 

 ただ、与えられているだけだった。


「・・・アリスは、そのままでいいんだよ」

 歩を止めて、バニーは、アリスを見据えてそう言った。

「・・・え?」

「僕はアリスから、十分、愛をもらってるから」

 優しい、笑顔。

 ふふっと、子供のように笑む。

「・・・お、俺も・・・バニーから・・・じゅ、ぶん、もらってる・・・から」

 バニーのその笑顔に。アリスは真っ赤になって答える。


 語尾が、震える。


 涙が、こぼれた。


「・・・あ?れ・・・?」

 涙が、ポロポロと頬を伝う。

「ど、してかな・・・?え?え?」

 涙をぬぐいながら、アリスは自分の涙の意味が分からず、困惑する。


「アリス」


 そのアリスを、バニーが優しく抱きしめる。

「・・・!」


「アリス」


 優しい声が、耳から、全身を駆け巡る。



 あぁ。


 あぁ。



「・・・・バニー・・・」

 しっかりと、その背にしがみつく。


 愛おしい人が、手の中にいるといいことが。

 こんなにも、こんなにも・・・。


「俺って・・・幸せ者だったんだな・・・」


 幸せなのだと。


「・・・!」


 そのアリスの笑顔に。


「・・・僕もだよ」


 バニーは、アリスの唇にキスを落とした。

 2人は、しばらく静かに時を過ごして。

 再び、歩き始めた。自分たちの、屋敷に向かって。その手は、かたく、かたくつながれていた。

                  〜傷跡・完〜

長かった双子話がようやく終わった〜〜〜!!終わった今でも、ブラックの相手がどっちで、ホワイトの相手がどっちだったかをきちんと把握していない最低物書きもえにございます。今回はちょっとラブい雰囲気で。アリスたちの進展も図りたいし、ちょっと、今回いい男?っぷりを発揮したソウくんとこの話も進めていかないとですね。いっそのこと、ダブルデートでもしやがれ!!(投げやり)あ、もう一つお知らせを。たい〜〜〜〜〜へん、遅くなりましたが、番外編の続きをアップしましたので、首をなが〜〜〜〜くして、文句も言わずに待ってていてくださいました方々、どうぞ、みてやってください!!評価やメッセージも、またお願いいたします!!ではでは。次はどんなアリスワールドを展開しようかな〜♪

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