第28話 傷跡・9
人を愛するって、まさに狂気なのかもしれませんね。とか言ってみたり。
あなたがいれば他に何もいらない。
恋だけがすべてで。
愛だけがすべて。
ねぇ、貴方の他には何もいらないの。
貴方がいる、それだけがすべて。
私の、すべて。
あぁ。
恋は狂気だ。
「バカ、みたいやなぁ・・・」
沈黙を破ったのは、ブラックだった。
2人は、ある場所に来ていた。そこは、ブラックとホワイトが初めてスミレに出会った場所。大きな、湖のほとり。暗い湖畔に、明るい月明かりだけが妖艶に笑む。両親に連れられて、自分たちはスミレと出会った。
一目で、恋に落ちた。
この恋が、永遠に続くと、信じていた。
「何かの、3文小説みたいや・・・」
くしゃっと、ホワイトは髪をかき上げる。
「・・・わいら、何のために、ここにいるんやろうなぁ・・・」
貴方が助けてくれた命だったから。
私たちは、今まで生きて来れました。
「ずーっと、信じとったんになぁ・・・誰よりも、信じとったんに、なぁ・・・」
このひかりといろのないせかいで、わたしたちはいきつづけてきました。
どちらからともなく、顔を合わせる。
対になる、その顔。
その瞳の奥の、深い、深い闇。
その頬を、涙が静かに伝う。
「・・・もう、疲れたわ・・・」
どちらともなく発したその声は。
凛と、静寂の中に響いた。
「ブラックさんとホワイトさんは・・・!?」
お前、今頃何言ってんの・・・?
冷静に心の中で突っ込んでみました。
ソウは、階下に着くと、広間の扉を開けるなり、そう叫んだ。
「・・・!ソウ!?」
起きたんだ、とアリス。
広間は、緊張した雰囲気に包まれていた。
探しに出た面々は、方々を探し回ったが、2人の影はそこにはなく。1度戻ってきていたのだ。地図を広げ、探し回った場所にチェックを入れていく。
スミレの墓標。
焼けたブラックとホワイトの屋敷の跡地。
ブラックとホワイトが好んで行きそうな場所、等等。
「どこか、他に思い当たる場所は?」
クイーンが、サクラとツバキに問う。
問われても、2人は眉間に皺を寄せるだけだ。
「心当たりは・・・すべて・・・」
自分たちは、あの2人の何を見ていたんだろう。
こんな場面にあっても、2人の行きそうな場所を見つけることすら叶わないなんて。
あの2人から、ただ一人の影さえ・・・ぬぐってやれないなんて・・・。
「湖畔・・・!!湖は探しましたか!?」
アリスとマスターから、ここまでの流れを簡単に聞いたソウは、少し考えてそう投げかけた。
「・・・湖・・・?」
「湖といえば・・・ここか?」
再び、みなの視線が地図に落ちる。
スミレの墓標から、少し行った場所にある、小さな湖。
ガーデンが指指すそこは・・・。
「・・・!!そこは、うちの所有地だ・・・!」
ツバキが、ハッとそうつぶやいた。
みんなの視線が、合わさる。
「行って、みましょう・・・!」
ソウは、ペンダントを握り締めながら、強い瞳でそう言った。
〜続〜
ようやく・・・ようやくここまでこぎつけた・・・!!次できっと最終話です!!!長かったなぁ・・・ってまだ終わってねーよ。次話では、某キャラが恋愛感を熱く語る予定★(何だそれは)
<小夜さん、メッセージありがとうございました。あて先がなかったのでこんな場所から失礼致します。これからもアリスをよろしくお願い致します!!カメのような更新ですが・・・!!