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第25話 傷跡・6

あぁぁぁぁぁ。本当にもう、何と出だしたらよいのやら・・・!!1ヶ月以上もお待たせして申し訳ありませんでした!!感謝企画の次がそんなかよ!というツッコミは謹んで承りたいと思っております・・・。それでは、本編へ・・・!!

「・・・何・・・?」

 リアンは顔を曇らせてサクラたちを見据えた。

 重い沈黙がその場に流れる。

「ブラックたちは・・・自分たちが兄を殺したと思っているみたいですが・・・実際、兄は・・・」

「自殺、したんです」

 サクラとツバキは目を伏せて。重く、重くその言葉を紡いだ。

「・・・あれは、もう30年も前のことです・・・」



「さぁさ!今日の仕事はこれで終わりだよ!みんな帰った帰った!」

「お疲れさんで〜す!!」

 だっだぴろい厨房。

 その厨房に響き渡る数人の男の声。一番歳のいった男の掛け声に、厨房にいたコックたちはそれぞれ後始末を終え、散っていった。一番最後に残った男も、厨房をぐるりと一瞥し。

「よし。俺も帰るとするか」

 異常のないことを確認し、その厨房から出て行った。

 その後。人のいなくなった厨房に。

 シューシューという不吉な音が。その静寂の中に響きわたっていた・・・。


「今日は遅くなったので旦那様たちは別宅に泊まって帰られるそうですよ」

 にこやかに笑む、初老の紳士。

 相手に対する、慈しみの感情がその瞳には溢れている。

「なんや。帰ってこんの?」

「ほな、もう寝ようか」

 同じ顔をした、少年が2人。

 白いパジャマに身を包み、顔を見合わせ話をする。整った顔に、完全に成熟しきってないその体が、どこか危うい印象を与える。

「ロジ、もうさがってもえぇよ。僕らは2人で大丈夫やから」

 にこりと、その紳士を安心させるように笑む。

「ですが・・・」

「ロジんとこ、今日は婿さんおらんのやろ?サジさんとユナちゃん2人や心配やん。行ってあげて」

 いそいそと、2人は寝支度を始めながら紳士に声をかける。

「ほら、もう寝るだけやもん」

「朝、また来てくれたらえぇよ」

 ベッドに腰掛け、2人は言う。

「・・・すみません。お2人が起きられる前には戻りますので」

 紳士は、しばし考えこんだ後。そう言った。

 その言葉に、2人の少年は嬉しそうに微笑む。

「ん。おやすみ、ロジ」

「おやすみなさいませ・・・ブラック様、ホワイト様」



「どういうことだ!兄さん・・・!?」

「今、話した通りだよ」

 その青年は、静かにそう口にした。

 青年を信じられないといった面持ちで注視する二つの視線。その痛いほどの視線を、まるで感じないかのように。その青年はその口元に、笑みすら浮かべて。

「・・・!今言った通りだって!?どういうつもりなんだ・・!?他に・・・他に恋人がいるなんて・・・!!」

 

 ツバキとサクラには、兄がいた。名をスミレという。

 二人にはない、とても柔らかな雰囲気を持った兄。そして、その温和な人柄に合わず、実はこうだと決めたらそれを最後まで貫き通す強固なまでの意志をも持つ兄。だからこそ、今日、スミレが突然“自分には婚約者のブラックとホワイト以外に、かけがえのない恋人ができた。だから、婚約を解消する”と言い出した時、兄は本気なのだろうと悟った。

 しかし。

 なぜ。

 ずっと昔から、この婚約は決まっていたことだった。

 確かに、曖昧で、不確かな内容ではあったかもしれない。

 それでも。

 

 ツバキとサクラは、この婚約は絶対なのだと信じていた。


 ブラックとホワイトは。


 いつか、この兄と結婚するのだと。

 否。

 ブラックとホワイトも。


 そう、信じていたのだ。


 それが。

 突然の、スミレの裏切り。


 ツバキとサクラは、兄の突然の告白に衝撃を隠せない。

 

 どうしてこうなった?


 なぜ?


 いけない。


 許してはいけない。


 婚約は絶対であり、今更覆すことなど、できるはずがない・・・!!


「・・・僕は今から二人にこのことを話に行ってこようと思う」

 ツバキとサクラの葛藤など、まるでそ知らぬ顔で、淡々とスミレはそう言った。

 まるで、早くカタをつけてしまいたいといったように。


「兄・・・!!」

 そんな兄を行かせてはならないと、ツバキが制止の声をかけようとした、その時。


 大きな音がしてその扉が開いた。


「大変でございます・・・!!」

 息をきらして入ってきたメイドは、その非礼を詫びることも忘れ、ひどく慌てたようだった。

 そして、その口から告げられたのは・・・。


「ブラック様と・・・ホワイト様が・・・!!」



 3人がブラックとホワイトの住む屋敷についた頃には、その屋敷は、すでに手のつけようがないほどにまで紅く燃えていた。


「早く・・・!早く火を消すんだ・・・!!」

「ダメだ・・・!!火の回りが速すぎる・・・!!」

「あぁ・・・!早くしとくれよ・・・!!ブラック様とホワイト様がまだ中に・・・!!」

 屋敷を囲む、大勢の人。

 屋敷に残る者を救助する者、火消しのため放水する者、ただただ、屋敷に残る者の無事を祈る者。


 しかし、その火の手は。

 もはやほどこしようもなく。


 1階から出火した火は。ブラックとホワイトのいる最上階にまで、その勢いを伸ばす。


 もはやそこには絶望しかなく。


 誰もが、その場にただ呆然と。

 泣き、崩れる。


 それは、ツバキとサクラとて例外ではなく。

 メイドから事の次第を聞き、馬車を跳ばしてようやく屋敷についた、その時には。

 誰が見ても、手遅れの状態だった。

 そのあまりの火の手の勢いに、ただただ、呆然とその場に立ち尽くす。


 ザバッ


 その水音に、二人ははっと我に返る。

 そして、振り向いたその先には・・・。


「・・・!?兄さ・・・!?」


 ポタポタと、水がその体を伝い、紅く染まる地面に黒く跡を残す。

 

 スミレは、水を滴らせながら、フッとツバキとサクラに向かって微笑んだ。そして・・・。


「きゃあああ・・・!!!」


 何も言わず、その業火の中に消えていった。


                       〜続〜

 



1ヶ月待たせてこれかい!!つーほど進展がなくてすいません・・・!!あぁ!!もうどこまでも読者様に頭が上がりません・・(平謝り)!!待たせすぎて本当に申し訳ないです・・・。まったく毎度のこの反省が活かされていないという・・・。私の人となりがバレバレですよね・・・。うふふ・・・。

感謝企画への感想も、遅くなりましたがありがとうございました!!楽しんでいただけたようで何よりです☆またしたいです(頼むからその前に本編を進めてくれ)!!あ、一つ。ノクターンやムーンライトは行っても法外なお金取られたりはしませんから大丈夫ですよ★年齢制限だけは守ってね★ムーンライトのほうが女性は入りやすいかと・・・。宣伝しといてなんですが、そっちの更新も早くしろって感じですね・・・(墓穴)つ・・・次で傷跡も佳境に入る予定でっす・・・!!

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