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第20部 傷跡・1

お待たせいたしました!20話です!記念すべき20話!!のはずなのに・・・。今回のお話の主人公は・・・。アレ?(笑)

 それは、平和な日に起こった。


 空は晴れてていいお天気。

 いつもは午後はバラバラのメンツも、なぜか今日は公館もといクイーン邸に集まっていて。久しぶりに、みんなで和やかにお茶会と相成って。

 そんな、平和な時間に。

 厄介事を持ってきてくれたのは・・・。

 

 最近、とんと出番の少ない、ブラックとホワイトであった・・・。


 バンっとアリスたちが揃ってお茶を楽しんでいた部屋の扉を荒々しく開くと。

 ブラックと、ホワイトが乱入して来る。

 この2人は、朝、ご飯を食べる席にもいないことが多い。最初こそいたものの、もともとじっとしていることができない人種なのか、やれ今日は何をする〜といつも出歩いているのだった。

「おんや〜珍しいねぇ。2人とも。お茶でもの・・・む・・・?」

 リアンのセリフに返すこともなく、2人はズンズン進んでくると。

「お願いや!!」

「かくまって・・・!!」

 手を組んで。

 うるうると、おねだりモード。

 そして、言うが早いかテーブルの下に潜り込む。

「!?・・・おい、何なんだ!?一体・・・」

 さすがのクイーンも説明もせず不可解な行動をとる2人に怪訝そうな顔をしている。

「どうしたのさ、2人とも!?」

 アリスも、いつもと違う2人の様子にテーブルクロスをまくって2人に尋ねる。しかし、まくったテーブルクロスは、ホワイトによって再び降ろされてしまった。

「何なんだ?一体・・・」

 その場にいる全員が、わけがわからない、と言った顔をしていると・・・。


「あ、あの・・・クイーン様・・・」

 おずおずと、トランプ兵が声をかける。どうやら、ホワイトたちの後に入って来たらしい。

「何だ?」

「その・・・お客様がいらしているのですが・・・」

 トランプ兵は、ちらりとテーブルの下へ目をやりそう言った。

「・・・通せ」

 どうやら、本当にブラックとホワイトは誰かから逃げているらしい。

 

 果たして。

 それは誰なのか・・・。


「失礼致します」

 トランプ兵に促されて入って来たのは・・・。

「・・・これは・・・また・・・」

 まったく同じ顔をした、2人の青年。長身なうえに、黒い髪に黒い瞳に寡黙な様子がその2人からどこか威圧感を漂わせる。

 全員が、その2人を前に呆然としていると。そのうちの1人の青年が口を開いた。

「お初にお目にかかります。クイーン様、皆様。私はサクラと申します」

 低いバリトンに、無表情で敬礼をする。

「ツバキと申します。突然の乱入、お許しください」

 こちらも、右に倣え。

 どうやら、前髪が右わけがサクラ、左わけがツバキらしいが・・・何ともややこしい・・・。

「いや、かまわん。ところで、何の用だ?」

 クイーンは、そんな2人の威圧感もものともせず、憮然と答える。

「こちらに、ブラックとホワイトがお邪魔していると思うのですが」

 相変わらず無表情にサクラは言う。

「そこにいる」

 クイーンは、間髪入れずにテーブルの下を指差して答える。

「ひどいで!!クイーン!!」

「ちっとは考えるとかせーや!!情けっちゅー言葉を知らんのかい!!」

 2人は、ばっとテーブルの下から顔を出すと、クイーンに詰め寄って文句を言う。

「・・・単純バカ・・・」

 バニーはその様子を見ながら呆れたように呟いた。

「ブラック!!」

「ホワイト!!」

 サクラとツバキが、2人を見やって声をあげる。

 その2人の声に。

 ブラックとホワイトは黙って静かに振り返った。

「あの2人が・・・黙った・・・!」

 ・・・それは驚きすぎだろうよ。ガーデン様・・・。

 そんな何だかピリピリした空気の横で。

「リアンさん!サクラさんたちって、ブラックさんたちとどういう関係なんですか?」

 ひそひそ。

「あ!僕も知りたいです〜」

 ぼそぼそ。

 マスターとソウの“何々?”という興味津々な表情を受け、リアンは。


「そんなの・・・俺が知りたいって・・・」


 どうやら、今回の件に関してはリアンも知らないらしい。

 一体、サクラとツバキとはどういう人物なのか?

 そもそも、この4人の関係は何なのか・・・。


「・・・この国ってさぁ」

 傍で見ていた裕馬が、ぽつりと。

「双子多いのか?」

 論点はそこじゃありません。

「さぁ〜?」

 その言葉に、真剣に悩まなくていいですよ、なアリスちゃん。


「さぁ、早く帰るぞ」

 サクラが、ぐいっとブラックの腕を取る。しかし、ブラックはその手を強く振り払った。

「何でや!お前と同じとこなんて帰らへんわ」

 ブラックの、初めて聞く、強い口調。

「わいもお前と帰る気ィなんてあらへんで。ツバキ。はよ帰り」

 冷たい視線をツバキに向け、ホワイトは低く言い放つ。

「連れて帰る」

 何だか・・・。

 火花が散ってんですけど・・・。

「こ・・・こわ〜・・・」

 ぼそりとアリスが言うのも、無理ないってことで。

 そこへ、こほんと咳払いをし、クイーンが4人の間に割って入る。

「・・・とりあえず・・・事情を知りたいんだが・・・?」

 こめかみを押さえながら、一言。

 どうやら、クイーンすらも、この4人の関係を知らないらしい。

「わけなんてあらへん。勝手にこいつらが追いかけて来たんや」

「勝手に?もうとっくに期限はすぎてるんだぞ!?」

「んな事知るかい!だいたい、結婚は両者の同意に基づいて行なうもんやろ!?わいらは同意した覚えなんぞないわ!!」


 数十秒間の、沈黙。


『何――――――!!!??』


 これは、その場にいた当人たち全員の叫び。


「け・・・結婚!?」

 これはバニー。

「ブラックとホワイトと!?」

 クイーンに。

「本当に!?」

 リアンと。

「あんたらが?」

 最後はガーデン。

 そして。声をそろえて。

『悪いことは言わない。今からでも考え直せ』

 きっぱりと、大変失礼なことを言ってのけるのであった。

「何や引っかかるけどまぁえぇわ。ほんま、考え直し」

「嫌だ。お前は俺の妻だ」

 そして、また問答が始まる。

「あほか!!勝手なこと言いなや!!」

「お前だって俺の妻だろうが」

 ぎゃあぎゃあと。

 同じ顔が4人で、押し問答。見てると誰が誰だかわからなくなってくる・・・。

 同じ顔で、こっちがしゃべったかと思えば次はあっちで。あっちはこっち?ん?あなたはどっちでしたっけか?

 何だか、催眠術にでもかかりそうだ・・・。


「だいた・・・!」

「うっるさ〜〜〜い!!!」

 ぶっちんと。

 誰がキレたかは言うまでもなく。

 アリスの一声に、あたりは水を打ったように静まり返った。

 それからアリスはキッとブラックとホワイトを睨みつける。

「ちょっと黙ってろ!話がわからん!!!」

「ひいいいい!!アリス、目ぇすわっとるでぇ・・・!!」

「こ、怖いわぁ〜〜・・・!!」

 さすがの2人も、アリスの怒気に気おされ、おとなしくなる。

 その様子に、うっとりと。

「可愛いなぁ。アリスは」

 大物発言ですな。バニー様。

 キレた人間を見てそんなことが言えるのは、やはりその人を愛しているからなのだろうか。

「・・・苦労するぞ、バニー」

 クイーンは憮然とそう言った。

 それに対し、バニーはにっこりと。

「あなたほどじゃありませんよ」

 と言ってのけるのであった。

「さすが俺とクイーンの息子・・・!」

 ぶぶっと噴出すリアンさん。

「性格の悪さは一級品」

 間髪入れずにガーデンさん。

「ガーデンさん!!」

 そしてさらに間髪入れずにマスターさん。

 なんだか端で関係ない突っ込み大会が始まっている・・・。

 そんな大人たちを放っておいて、裕馬が切り出した。

「で?結局、どういった関係なんですか?」

 あなたたち、4人は・・・。


『あかの他人や!!』


『婚約者もとい夫婦だ』


 真剣に叫ぶ4人だが。

 その内容たるや・・・。


「まったく、かみ合ってませんね・・・」

 ソウも、もうどうフォローしていいやら、と。


 そして、その場にいた当人たち以外全員が。

 この時。

 何かに巻き込まれていく運命を、感じたのであった・・・。


                                 〜続〜





いかがでしたでしょうか。いつもいつも、お待たせして申し訳ありません!

今回からしばらくお騒がせ2人組みのお話です。でもチマチマとアリスやソウのところのカップルの動向も入れていこうと思っていますので、楽しみにしていてくださいね☆

実は、今までの話は中学の時に考えて書き溜めていたものだったのですが、この話の途中で実は途切れております(笑)この先、うまい具合に話進めていけるかな・・・ドキドキ。この時期の感性よ、降りて来い・・・!!ではでは、これからも暖かく見守っててくださいまし〜。ペコリ。

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