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第2話 クイーンの事情

ボーイズラブとなっております。苦手な方はご遠慮ください。
またまたシンクロに巻き込まれたアリス。今度はいったいどうなるのか・・・?

「あら、覚えててくれたの?嬉しいねぇ」

 相変わらず、どこまでもおちゃらけたこの男。

「ちょ!?ちょっと待て!!何でリアンがここにいるんだよ!!?」

 アリスなんて、こんなにいいリアクションしてくれてるのに。

 ていうか、パニック?

「そっれがさ〜、まぁたシンクロしちゃって〜!」

 あはははは!と、まるで人事のように言う(リアンからしてみればきっと人事なのだろう)。

 そんなリアンの後ろから。

 ぴょい〜ん

 抱きっ!

 アリスに抱きつき、すりすりと頬をすりつけるのは・・・。

「バ・・・バニー・・・?」

 アリスに名前を呼んでもらい、バニーは嬉しそうに目を輝かせる。そして、今以上に、ひっしとアリスにくっついてくる。

 あ、ちょっと頭痛が・・・。

 なんて、とりあえず。バニーはそのままにしておいて。

「ていうか!シンクロって・・・!どういうことだよ!?」

「クイーンに聞いてくれる〜?」

 のれんに腕押し。

 どこまでも我関せずなリアンに。最近ちょっとキレやすいお年頃なアリス君は。

「てめ!ちゃかしてんじゃねー!シンクロ解いたばっかなのに!どうなって・・・!!」

 アリスが声を荒げたその瞬間。

 なんか、抱きつき具合がきつくなったような・・・。

 そろりと、バニーのほうへ目をやると・・・。

「うっ・・・」

 うるるるんっとした瞳がそこに・・・。


 うう。

 怒るとウサギは嬉々としてくっついてくるし、リアンはおちゃらけてて話にならないし。状況は把握できないし。

 いったい、どいなってんだよ!!



「!!こんなところにいやがったのか!?このクソチビ!!」

 頭がパニックなアリスの後方から、聞いたことのある声が響く。その声の主は。

「あ〜〜!クイーン!!」

 麗しのクイーン様であった。クイーンは、ずかずかとアリスたちのほうまでやって来ると、むんずとバニーを持ち上げた。

 そのクイーンに、アリスが声をあげる。

「どうなってんだよ!クイーン!?またシンクロして!!」

 そして、ここぞとばかりにクイーンに詰め寄る。

 だが、クイーンはまったく臆せず。一瞬、アリスに驚き、次の瞬間には笑みを浮かべ

「やぁ、アリス。また美しくなって」

 そう言うと、アリスの腕を引き、アリスの頬に軽くキスをした。


 あ・・・悪夢だ・・・!!


 そう、アリスは心の中で叫ぶのであった。

 まぁ、こんな経験は人生に一回あれば十分であって。その点、アリスは得してると言えば得をしているのだが。

 そんなこんなで、再び訪れたこの状況に、アリスがへたっていると。

「あ〜!クイーンや!お?アリスもおるで〜」

「まあったシンクロしたんか〜?」

 どこからともなく、愉快な双子の声が・・・。

「あぁ、ちょっとな」

 それに、クイーンが言葉を濁して返事をする。

 そしていつの間にか。見渡せば続々と集まって来る住人達。

「まぁまぁ、みなさん。立っていないで座って紅茶でもいかがですか?」

 アリスの心のオアシス、紅茶のお兄さんことマスターがそう言ってナプキンを一振りすると。そこには、テーブルと椅子、紅茶道具一式が・・・。

 実はマジシャンか?などとどうでもいいことを思うアリス。

「準備がいいな。マスターは」

 そう言って椅子に腰かけているのは、ガーデンである。

「みなさんとお茶が飲みたかっただけですよ。ガーデンさん」

 ぶっきらぼうなガーデンにも、マスターは優しく微笑んでいる。

「おやおや、全員集合か〜?」

 のほほんとそう言うのは、もちろんリアンである。

 そして。廊下のど真ん中に、のほほんと座ってお茶を始める人達。

 アリスは深いため息をつくと、リアンの隣に座るのであった・・・。


「今日の紅茶はオレンジ・ペコです」

 そう言いながら、ポットから紅茶をくんでみんなに紅茶を配るマスター。しかし・・・あきらかにポットの容量と、出てくる紅茶の量がおかしいと感じる心には・・・フタをしとこうかな!と半ば投げやりなアリス。

 投げやりにもなるってなぁ。人気のない廊下のど真ん中で、金髪少女と美形の男性陣。そして、可愛い美幼児。どんな集団だ。オイ。


「今回のシンクロのことだが」

 紅茶が配り終えられ、一息ついて。クイーンはしゃべり始めた。アリスは緊張して、クイーンのほうを見る。

「全部、このバニーがやった」

 ひょいっとバニーの首根っこをつかんで持ち上げながら、クイーンは言った。当のバニーはというと、出されたクッキーをむしゃむしゃ食べている。


『バニーが・・・?』

 双子の声が重なる。

「そうだ」

 クイーンは重々しくうなずく。それを受け、アリスはクイーンに質問をする。

「シンクロって、クイーン以外の奴でもできるものなのか?」

「あぁ、アリスさんはシンクロについてよく知らないんですよね?」

 マスターがそう言うと、その後をリアンが続けた。

「シンクロっつーのは誰でもできるわけじゃないんだよ〜。一部の選ばれた者だけができる技」

「ようするに、僕達の世界では王家の血筋の方ですね」

 なるほど。誰でもできるってわけじゃないんだな〜。なんて関心してみたり。

 ん?てことは・・・。

「王家って・・・こと・・は・・・」

 アリスは、ゆっくりバニーへ向く。

「バニーは俺の息子だ」

 しごく真面目な顔をして、クイーンが言った。

「ええええ!?マジで!?え?じゃぁ、奥さんは!?ここにいないの!?」

 そうである。よく考えれば、クイーンがこの世界のトップならば。側室だけでなく、正室がいてもおかしくはない。クイーンの息子がバニーだということには驚いたが、まだ見ぬクイーンの奥さんも気になる。

「アリスさん、奥さんというか、女でないと子どもが産めないというのはあなた方の世界のことだけで、ここでは男でも子どもが産めます。・・・というか、ここには女という生き物は存在しません」

 マスターは控えめにアリスに説明する。

「そうなの!?」

 いったい、この世界の繁殖メカニズムはどうなっているのか・・・。そんなことには、触れないほうがいいよね!とばかりに、アリスは次に気になっていることを問う。

「てことは・・・誰がクイーンの・・・妻(?)・・・?」

 この場合、妻であっているのかはともかくとして。

 その問いを受けて、全員がリアンのほうを向く。

「あらら」

 本人は、いたってのんきな声を出している。

「リ・・リリリ・・・!?」

「リアンだよ。アリス姫」

 紅茶をすすりながら、リアンはさらりと言った。

「リアンが〜〜〜!?」

 ちょう、意外!!!

 まさか、クイーンとリアンがそんな仲だったなんて・・・!!何より、ホモネタの苦手なアリスの思考はストップ状態である。

「そういうのを差別と言うんだ。すべてをお前の常識でくくるんじゃない」

 ガーデンに静かに言われて、アリスhぐっとつまる。

 まぁ、確かに。いろんな人が世の中にはいるし。しかも、ここは自分のいる世界とは違った世界なわけだから・・・。

 そんな感じで悶々と考えていると。

「話がそれた。シンクロのことだが・・・解けない」

「・・・!?」


 そのクイーンの言葉に、全員が顔をこわばらせるのだった・・・。

                                    〜続く〜

いかがでしたでしょうか。クイーン×リアンのカップリング。当たった方はいましたか?また感想などいただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!

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