第18話 愛を謳って・3
何か、リアンの発言に教育的指導が入りそうでビクビクしながら本編を書いている今日この頃です。どこまでがオッケーなのか・・・。幅広く読んで頂きたいとも思いますしね。そんな18話です。
「シンクロ・・ね。まるでSFじゃん」
クイーンから一通りの説明を受け、リアンはぽつりと呟いた。
「・・・意外と冷静だな。もっとパニくると思ったが・・・。キャパを越えた話で頭がバカになったか?」
くくっと楽しそうに笑うクイーンをちらりと見やり。
そうかもしれないな・・・とリアンは人心地に思った。
自分が他人よりも話のわかる奴で。結構、非現実的なことでもわりかしすんなり認めたり納得したりする方だとは思っていたけれど・・・。この話はそんな次元を超越してるよなぁ。さすがに・・・。と思いながらも。どこまでも冷静に受け止めている自分がいる。つーか、もはや・・・。
「ま!なっちまったもんはしょーがないっか!!ははははは!!」
てな世界??
うーん。この物分りのよさはいいのか悪いのか。
「で?どうすれば元に戻るわけ?」
とりあえず。
リアンは解決の方向へ頭を切り替えることにし、あっけにとられているクイーンにそう尋ねた。
「・・・・」
クイーンはリアンの問いには答えず、しばらくの間何かを考え込んでいた。そして、何かを思いついたようにその造りのいい唇をにっとゆがませる。
「な・・・何だぁ・・・?」
何ですか?その笑顔は。
何か、すごい、嫌な予感がするんですけど・・・。
リアンの背を冷たいものが伝う。
「リアン、ヤらせろ」
知らず後ずさりを始めたリアンに一言。
肩を掴んで。
もう、離しません。
「・・・・・はぁ・・・!!?」
リアンの顔から血の気がひく。
え?というか。ヤらせろって・・・って・・・・そういう意味ですよね??
リアンは、変に男子校慣れ(偏見)をしている自分を、この時思い切り呪った。
ぐるぐるとクイーンの発した言葉の意味を考えている間に、クイーンはさくさくと事を進めていた。リアンを近くにあった教室へ連れ込む。
「こんなところでヤるのは気がすすまないが、しかたないか」
何事もないかのようにリアンに覆いかぶさってくるその男に。リアンははっと我に返った。
「や!しかたないじゃないしね!!どけっつの!!」
「うるさい。静かにしてろ」
「誰が静かにするか!!てか、シンクロと関係ないだろ!!ってギャ―――!!どこ触ってやがる!!」
人の話をまったく無視し事を運ぶクイーン。
名は体を表すとはまさに。
もちろん、リアンも抵抗に抵抗を重ねてみたのだが・・・。何分、人には生まれ持った体格と体力というものがある。
そう、悲しいかなリアンさんは、クイーンの魔の手にかかってしまったのでし・・・
「わあああああああ!!!!」
「わ!?」
そこまで話すと、今まで黙っていたアリスが真っ赤になって絶叫した。
「わ〜わ〜!!もういいよ!!2人の出会いはよっくわかったから〜〜!!」
耳を塞ぎながらアリスはリアンの話をさえぎる。
「え〜?アリスが知りたいって言ったのにィ〜。その後ねぇ、俺の抵抗もむなしくゴウカ・・・」
「だから言うなって!!!」
もう真っ赤になって涙まで浮かべて。
そんなアリスを見ながら、いやぁ、楽しいなあと思うリアン。やはり、アリスはリアンには勝てなかったようである・・・。もうなんか。開き直って超楽しそうに昔を語りだしてますもん。リアンさん。
そして、その様子をモニターで監視中のこちらでは。
「リーアーンー・・・」
ペラペラと過去を語りだしたリアンにモニター越しに文句。
「てか、バッカじゃねぇ?強姦なんて普通するかよ・・・」
息子からは、冷ややかな視線。
「・・・・あの頃の俺は気に入ったモノをすぐ手に入れなくちゃ気がすまなかったんだよ」
「で?そのゴーカン魔とリアンはどうして結婚したわけ?」
“ゴーカン魔”という言葉にぴくりと反応しながら。その質問には答えず、クイーンはブスッとモニターを見やるのであった。
「あ、でも・・・何で・・その・・・」
「ゴーカンされた相手と結婚したかって?」
リアンのストレートな物言いに、アリスは赤くなりながら頷く。
「それはねぇ・・・」
ふっと、遠くを見やりリアン。
「もうなんつーか、意識飛んでたっつーか。頭バカになってたっていうか。まぁ、アレよ!思いのほか痛いんだか気持ちいいんだか!みたいな感じになっちゃっててさぁ!!」
あははと笑いながら、教育的指導が入るようなコメントはやめてください・・・。
「そんな頭が回ってない状況で“気に入ったから俺の妻になれ”だかなんだかって言われちゃってさ〜」
嫌だ。そんなうろ覚えなプロポーズ・・・!!
「よくわかってないのに“うん”って返事しちゃったんだよね〜」
笑い事ではありません・・・。
「んで、気が付いたらこっちの世界で?もう帰れないよ、みたいな」
あっけらかんと話すリアンに、アリスはあいた口がふさがらない。
「そ・・・そんな理由って・・・」
思わずアリスが脱力するのも・・・当然ってことで。
俺のあの怒涛の日々は何だったのか・・・。そう、思えてきてしまう。
「だから聞かないほうがいいっていったのに〜」
そんなアリスの様子にリアンは苦笑する。
そして、脇に置いていたスケッチブックを手に取る。そして、1ページずつ慈しむように見入る。
「・・・そんなに、好き?」
そのリアンの様子を見ていたアリスが、ポツリと聞く。
アリスの問いに、リアンは満面の笑みで答えた。
「世界で一番」
〜続〜
いつものことながら・・・更新遅くてすいません〜。次から怒涛の展開になっていく予定です。また愛の国チックになっていくのかしら・・・。次話はなるべく早く・・・!(毎回言ってる気がする・・・)ではでは、お付き合いいただきましてありがとうございました!!引き続き、ごひいきにしてやってくださいまし!!