第17話 愛を謳って・2
お待たせいたしました〜。本当に最近更新が遅くて申し訳ないかぎりです。ほんとスイマセン。何か毎回謝ってますね・・・。進歩ない・・・。ではでは、本編へどうぞ〜。今回より回想編です〜。
「言っとくけど聞きたいって言ったのはアリスだからね」
リアンは知らないよ、とアリスに告げる。そして、天井を仰ぎ、クイーンとの出会いを話し始めた。
「あれはまだ、俺がアリスと同じ高校生だった頃・・・」
ばからし〜。楽だと思って図書委員選んだけどさ〜・・・これって寂しすぎ・・・。
アリスが通っていたのと同じ高校。実は、リアンもこの学校に通っていたのだった。何せ、家から近いしね☆そして、今は放課後。図書委員のリアンは、司書の代わりに番をしているのだが・・・。何分ここは男子校。しかも、放課後でみんな部活に出払っている。まばらにいた人も今はもう見る影もなく。つーか、今後誰か人が来るとは思えません。
「あ〜、俺も早く美術部行きてぇ〜」
誰にとはなくそう口にする。
図書室の貸し出しカウンターにこれでもかというほどやる気なく座りながら、リアンはブーたれていた。
そこへ。
図書室のドアが開く音がする。
珍しいね〜と、リアンがドアのほうを向くと。
うっわ・・・外人さん・・・
金色の髪に、青い瞳。
日本人とは遠くかけ離れた容姿。その整った顔立ちに、リアンは思わず見入ってしまった。そして、その男はつかつかとリアンのほうへ近づいて来た。
「・・・お前、何してる?」
澄んだテノールが部屋に響く。どうやら言葉は通じるらしい。と、リアンは質問に答えるよりも、その男の一挙一同に心動かされる。
「・・・おい!!」
「は!はい!?」
バンっとカウンターを叩かれ、リアンは正気に戻る。
「お前、こんなところで何してんだ?」
「何って・・・仕事だけど」
つーかこの人、何怒ってんの?
「貴様は親に言葉の使い方も教わらなかったのか!?」
ちょっとも〜。すげー怒ってんですけど。
何よ。言葉遣いって。
仕方ないじゃん〜。今の日本人の言葉のレベルなんてこんなもんだっつーの。
つか、俺、日本語そんなに大きく間違えてた?今??
リアンはうんざりした顔でその男を見やった。
「それとも何か?自分の国の国王の顔を忘れたのか?」
は い ?
「国・・・王・・・?」
えっと、ここは日本ですよね。
国王って何かな?いつから日本は王権制度になったのかな?
ていうか、この人ってあれかな。こんな綺麗な顔してあっちの世界の住人とか?
お〜い、帰ってこ〜い。ってやつ?
「・・・・!」
きっと、うろんな顔をしてその男のことを眺めていたのだろう。その視線を受け、男は何かに気付いたようだった。
「・・・お前、まさかこっちの・・・?」
あぁ。
こっちとか言ってるし。
絶対そうだし。
リアンの中では勝手にこの男の話ができあがっており、しまいには何だか暖かい目なんだか哀れみの目なんだかわからない表情で相手を見やっている。
「わかった、わかった。あんたの言うことはよくわかったよ。俺、別にそういうの悪いと思わないし。ただ、ここは違うから。とりあえず・・・職員室行こうか」
とりあえず、誰かに渡してしまえ。
「・・・」
そんなリアンの様子に、再びムッとなったらしい。しかし、今度は何を言い返すわけでもなく、ただ。
「・・・お前、名前は?」
横柄な態度でそう聞いた。
「・・・佐久間 里杏」
「・・・リアン、か」
男は、リアンの名前を聞くと薄く笑んだ。
もう何か。
とっととこの男と離れよう。
リアンの警戒網に、ひっかかる。
何だか、よくない予感がしてきた。
ちょうど、図書委員の終わる時刻に差し掛かり、リアンはほっとする。
「あっと・・・時間だ。ほら、アンタ・・・」
「クイーンだ」
「あ〜・・・クイーンさん?外出てくんない?ここはもう閉めるから」
言いつつ、リアンは有無を言わせずクイーンを図書室から出し、鍵を閉める。そして、職員室へと向かった。クイーンなる男は、というとなぜかリアンのあとをついてくる。
「失礼しま〜ッス」
元気よく、ガラリとあけたその扉の向こう。
そこには。
「・・・・れ?」
誰も、いなかった。
「おっかし〜な・・・」
いつもなら、教員に生徒に。結構にぎわっているはずなのに。
不思議なこともあるもんだねぇと。リアンは図書室の鍵を所定の位置にもどし、「失礼しました」と職員室を出た。
職員室を出て、美術室に向かうため校舎内を歩いていると、とても奇妙な感覚を覚える。
人の気配がしないのだ。視界だけでなく、“声”も“物音”もない。まるで。
そう、まるで。この世界から人がいなくなってしまったかのよう。
その空想的すぎる考えに、リアンは笑いながらも薄ら寒さを覚えた。
何かが、おかしい。
「あたりまえだ。ここはお前の知ってる世界じゃないからな」
凛、と響くその声。
リアンはばっと後ろを振り返る。
そこには、楽しそうに笑む、さきほどの男がいた。まだ後をついてきていたらしい。
「・・・お前・・・何なのさ・・・。何、言ってんの?さっきから・・・」
リアンはなぜか、大きな大きな不安を感じた。
危険だ。
リアンの中の警報がけたたましく音を立てる。
キケン。
「俺の話を、聞かないか?」
その男は悪魔のように綺麗な笑みを浮かべながら、リアンの耳元に囁いた。
リアンは、知らず、うなづいていたのだった・・・。
〜続〜
・・・待たせたわりに進展ない話ですね。ていうか、アリスの初シンクロ時代を思い出しますね〜。初シンクロ、リアンバージョン。しばらく続きます。ではでは、気長に更新を待ってやってくださいまし。ペコリ。