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第12話 決着

長らく続いた嫁騒動。こんな結末・・・ある意味予想しきれません・・・(笑)私の中では今回の話が読め騒動のメイン。

「本当ですか!?アリスさん!!」

 一番最初に声をあげたのはマスターだった。感激のあまりか、うっすら涙が見える。

 朝、アリスはクイーンたちのいる部屋へと行くと、ここへ残ること、バニーの正式な婚約者となることを伝えた。

「よかったねぇ、バニー」

 リアンも笑顔で息子の髪をぐしゃぐしゃにしている。・・・嫌がらせか。

「じゃあこれで、正式な婚約者は決まったわけだ?」

 ガーデンが、その場にいたソウとケイゴを見ながらそう言った。

「そうだな・・・」

 クイーンも、ソウとケイゴに向き直る。

「アリスが婚約者になったんだ〜!おめでとお!じゃ、ケイゴ、家に帰ってパパとママに報告する〜!!」

 元気一杯ケイゴくんはそう言うといそいそと帰り支度を始める。リアンは、トランプ兵を呼び、ケイゴを無事に親元まで送るよう伝えた。

 まったく。

 残念そうなそぶりなどない。

 というか、どうでもいいんだね・・・。

「僕も、別にかまいません。バニー様にはアリスさんが合っていると思いますし・・・それに・・・」

 ソウは、にこにこと続けた。

「僕、一目ぼれをしてしまったんです。自分はバニー様の妻になるとの思いを持ってきたのですが・・・友人を思う、その心に惹かれました」

 ソウは、その思い人へ向きかえる。

「絶対、あなたを振り向かせてみせます。裕馬さん」

 

 一瞬。

 時が止まった。


「・・・・へ?」


 まったくもって。

 自分へ話しの矛先が向くとは思っていなかった裕馬は。

 思いっきり。


 間抜けな声を出した。


「これはまた・・・意外な・・・」

 リアンは笑いをこらえるような笑いを浮かべ。

「じょ・・・冗談じゃ・・・!!」

 裕馬は突然の申し出に青くなる。

「モテモテですね、裕馬さん」

 にこりとマスターが笑む。

 ていうか。

 モテたくねーっつーの!!

「お・・・俺はホモじゃね〜〜!!あ、アリス!!」

 いつぞやの誰かのような雄たけびをあげつつ。すがるようにアリスを見る裕馬に。

「親友として応援してやるよ!」

 いつもの仕返しとばかりに。笑顔全開。

「・・・ひど・・・!!」

 落ち込む裕馬に、リアンが肩を叩く。

「かわいそうにねぇ。裕馬くん。アリスは鈍感だから気付かないんだよ」

 こんなに、アリスを思ってるのにねぇ。と浸るリアンに。裕馬はきょとんとし、リアンを見つめる。

「何が・・・ですか?」

「え?何って・・・裕馬くんがアリスを好きってこと」

 そうなんでしょ?と問うリアンに対して。

「ぶっ・・・!!やだなぁ!それ!すげーキモイっすよ〜」

 ゲラゲラと声をあげて裕馬は笑い出す。

「俺がアリスのこと心配したりしてんのは、別に恋愛感情とかじゃないッスよ。マジ、友人として、です」

 きっぱり言いのける裕馬に。リアンはそうなの〜?とつまらなそうに声を上げる。

 

「・・・それでさ、裕馬は、どうすんだ?」

 笑い転げる裕馬に、アリスは表情を曇らせながら問いかける。

 自分が、呼んでしまった、裕馬。

 でも、裕馬にも、自分と同じように家族がいて、友人もいる。

 ずっと、ここにいるわけにはいかない。

「あ?まぁ、帰るのは無理だろーし。俺もこっちに残るわ」


 そんな、アリスの戸惑いを、一蹴するこの悪友。


「アリスのこと忘れるのも早かったしな。みんな。こっちの時の流れって向こうより遅いんだろ?もう俺のことも忘れられてるだろうし。ま、人生こんなことがあってもおもしれーよな!」


 それでいいのか!?


 と突っ込みたくなるのは・・・間違っていないだろう。

 まぁ、そこは・・・裕馬だし☆ってことで片付けるといたしましょう。


 そんなこんなで。円満にその場が流れていたところへ。

「てめぇ!!離せ!!」

 静寂を突き破るような怒号。

「・・・来たか」

 クイーンが扉を振り返る。そこへ入って来たのは・・・。

 トランプ兵に連れられた、レンだった。ぎゃあぎゃあ喚くレン。

「さて、最後にこいつをどうするか。アリスに決めてほしいんだが」

 クイーンはため息をつきながらそう言う。

「てめーら!王族だからって俺にこんなことしていいと思ってんのかよ!!ふざけんな!!」

「どこまでも躾のなってない犬だねぇ」

 リアンも静かにレンを見下ろしながらやれやれといったふうである。

「だいたい・・・!お前らみんな、そいつに買収でもされたんじゃねーの!?でなきゃ、俺がそんな奴におとるわけねーだろ!!」

 もう、言いたい放題。

 謝罪する気ゼロ。

「・・・躾がなってない上にナルシストかよ」

 呆れたように言うガーデンに。

 プツ・・・と何かが切れる音が聞こえた・・・。

 ぷつ?と思っている間に。アリスがつかつかとレンの元へと向かう。

 レンの前で一度止まった・・・と思った次の瞬間。

 ゴッ・・・!!

 鈍い音がして、レンの体が後ろへ倒れる。

「誰が・・・テメーに劣るってぇ?」

 地を這うような、声。

「昨日のことを謝るかと思えば・・・」

 その様子に、裕馬が反応する。

「げ・・・!!アリスが切れる・・・!!」

 そう言うと、ばっとテーブルの後ろに隠れる。

「だ・・・誰が謝るかよ・・・!!」

 アリスから唐突に蹴りをくらって一瞬、面食らったが。そのおかげでトランプ兵の拘束から自由になった。それをいいことに、レンはアリスめがけて殴りかかる。

 しかし・・・。

 レンはまだ知らなかったのだ。

 本来ならば、ここで土下座をしてでも謝っておくべきだったことを・・・。

「アリス・・・!!」

 バニーがそれを見て声をあげた。しかし、そんなバニーの心配もよそに、アリスはひょいっとレンの拳をよける。そして、足をかけ、相手のバランスをとる。

 そこへ、これでもかとばかりに。

 踵落とし。

「あいつ・・・死ぬぞ・・・」

 恐ろしい予言をする裕馬に。

 一同は・・・テーブルの後ろに隠れるべきかな・・・と思うのであった。


 バランスを崩したところに踵落としをくらったレンは、地に体をつく。

 そこから、起き上がろうとした瞬間。

 頭が。

 地に引き戻された。


「もぉ、キレたもんね」

 レンの頭には・・・アリス様の、おみ足が・・・。

「あ・・・足をどけろ!!こんなことして・・・いいと思ってんのか・・・!!」

 屈辱的な体勢となってもなお。

 怒鳴りちらすレンに。

「あぁ!?親の力がねーと何にもできねぇくせに・・・いい気になってんじゃね〜!!」

 さらにもう一発。

「・・・!!げほ・・・!!」

 しかも鳩尾。一直線。

「・・・いやぁ・・・元気に育ってくれて、お兄ちゃんは嬉しいよ」

 ほろりと、テーブルの後ろで浸るリアン。

「前にキレた時はこんなのじゃなかったんだがなぁ」

 のんきに分析をするクイーン。

「止めたほうが〜・・・」

「いいんだよ。マスター。あれくらい」

 しれっとガーデンは言うが・・・あれくらい?

 レンとアリス以外の全員が・・・テーブルの後ろなのにですか・・・?ガーデン様。

「よ・・・よくもっ・・・!!」

 それでもめげないレンくんは。

 自棄になって近くにあった果物ナイフを手に取るとアリスに切りかかった。突然のことにアリスはよけきれず、アリスの頬を赤い雫が伝う。

「アリス・・・!!!」

 その血を見てバニーは慌てて飛び出そうとする。他の人間もレンを止めようと立ち上がる。が。

「わ〜〜!!お前らよせ!!血を見たアリスは見境ないんだ!!やめろ!!手を出すな!!」

 と、裕馬が必死の形相でバニーを食い止める。それを聞き、一同。とりあえず様子を見ようかな、なんて。

 バニーを裕馬が必死で止めている間。

 アリスは、自分の頬を伝う温かいものをぬぐう。

 真っ赤な、血。その雫は、絨毯に点々と染みを作った。

「は・・!!ざまぁみやがれ!!」

 レンは乾いたように笑いながらアリスを見やる。

 その。笑いは。

 次の瞬間。

 悲鳴に変わった。

「ぎゃあ!!」

 血を流しながらアリス様。渾身の一撃を顔面めがけて容赦なく。

「・・・俺の顔に・・・何しやがんだ!!お前の顔とは違うんだぞ!!テメーやっぱ死ね!!てか殺す!!」

 何と言うか。

 美人が怒ると般若になるっていうよねって感じ?

 アリスはレンの胸倉を掴み、無理やり立たせる。

 これには。さすがのレンも恐怖を覚えてきたのか・・・。

「ひっ・・・!!」

 顔から余裕は一切消え、恐怖のみがうつる。

「・・・もう、そろそろかな・・・」

 そんなバイオレンスなアリスと時計を交互に眺めながら、裕馬くん。

「覚悟は・・・」

「ひー!!すいません!すいませんでした・・!!もう勘弁してくれ〜・・・!!!」

 ついに泣きの入るレン。

「・・・!え?あ、うん。わかればいいんだけど」

 アリスは、今までの形相はどこへやら。あっさりとレンを離す。

「・・・?どうなっとるんや・・・?」

 あまりの恐怖に今まで黙っていたブラックがぽつりとこぼす。

「あ〜、アリスなんですけど、キレても3〜5分で元に戻るんですよ・・・」

 人騒がせッスよね〜と裕馬。

 その人騒がせなアリスに対し。レンはついに土下座まで始めている。

「わ〜!!顔上げろって・・・!!」

「本当にすいませんでした―――!!」

「・・・きっとレンっちゅー奴は・・・今一生分の謝罪をしとるんやろな・・・」

 ちょっと遠くを見ながらホワイトはつぶやく。

「あ〜、ごめん。俺、キレてた?その顔・・・」

「しかも、本人キレてた間のことをはっきり覚えてないんですよね・・・」

 こちらも遠い目な裕馬くん。・・・そんな友人持ちたくねぇ・・・。

「人騒がせやな・・・」

 本心から、しみじみと。

 そして、こちらではまだレンの謝罪が続いている。

「本当にすいませんでした!!あんなこと言って!!全部嘘です!!」

「・・・いいんだよ。レンさんがそう言ってくれたおかげで、俺も自分の気持ちに気付けたし。・・・俺も、バニーが好きなんだ。ごめんね。バニーは、譲れないや・・・」

 その言葉に、レンは涙をこぼす。

 汚い手を使ったのは、バニーの妻になるため。

 権力が欲しかったのもあるかもしれないが・・・。本当は、レンもバニーのことを好きだったのかもしれない。もしかしたら、婚約者だと認識した、その時から・・・。


 そんなこんなで。レンはトランプ兵に連れられて自分の家に帰っていった。

「や〜、これで嫁騒動も一段落だねぇ」

 どっかりソファに座ってやれやれと言うのはリアン。

 ・・・あんた、言うほど何かしたか・・・?とつっこみたくなる衝動にかられながら。

「アリス、傷は大丈夫?」

 相変わらず、アリスにだけ甘いこの男。

「あ、うん。思ったより深くないみたい。かすり傷だよ」

 キレたところまで見られて何かもう恥さらしまくりのアリスは、うつむきかげんでバニーに答える。そんなアリスの頬に。手当てされた絆創膏の上から軽くキスをする。

「・・・わ!!」

 アリスは突然のバニーの行動に真っ赤になる。

「・・・早くよくなるように。おまじない」

 バニーは可愛らしく答える。

 そんなラブラブな2人を完全無視し。

「そういえば、ソウはどーすんの?」

 にこにこと、その場に残ったソウは。裕馬を見上げ。

「ふふ。ここに残って裕馬さんと暮らします♪」

 ターゲット・ロックオン。

「な!?帰れよ・・・!!お前・・・!!」

 青くなる裕馬に対し。

「わぁ、ご近所さんが増えるんですね〜。嬉しいなぁ」

 能天気なマスター・・・。

「どうぞよろしくお願いします」

 深々と頭を下げるソウに。こちらこそ〜と話し出す正妻たち。

「え!?や・・・ちょっと待・・!!お、俺は・・・!!」

 何やら怪しい雲行きに。

 裕馬は珍しく慌てふためく。

 その裕馬に対し・・・。

 ぽん、と肩を叩いて哀れみの表情を浮かべるクイーンとガーデン・・・。

「・・・!!!」

 


 いやはや。こうして嫁騒動は一段落ついたものの。まだまだ、一波乱も二波乱も起こりそうな余韻を残して。アリスとバニーは、正式に婚約を交わすこととなったのであった。


                                   〜続〜


いかがでしたでしょうか。どうやら仲間が増えましたね。ソウくんと裕馬くん。今私はとっても悩んでいることがあるのですが・・・。ソウと裕馬・・・裕馬×ソウとするか、ソウ×裕馬とするか・・・う〜ん。こっちがいい!というご要望お待ちしております(笑)どっちがいいかなぁ・・・。と、いうことで、アリスな話!はまだまだ続きますので、お付き合いのほど、よろしくお願い致します!

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