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光 -ひかり-  作者: 美波
第一章 雨空の出会い
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第4話 合コンへ

 週末の金曜日の合コンまで、短い期間だったけど勉強はした。

 ドラマ、バラエティー、クイズ番組。

 普段はテレビより読書をして過ごすことの多いわたしが、

 普段見ないようなテレビ番組をこの数日間仕事から家に帰ってからはずっと観ていた。

 今人気のある若い俳優やお笑い芸人の名前と顔は覚えた。


 雑誌も読んだ。

 昔は愛読していたけどここのところ読んでいなかったファッション誌から、タウン情報誌まで。

 映画はさすがに観には行けなかったけど、観たいなと思う映画はいくつか見つけた。


 昨日も麻衣子から電話がかかってきて少しだけ会話をした。

 別に彼氏を見つけに行こうとしなくていいんだって。

 わたしはまず色んな男性を見て接して、まずはまともな会話が出来るようになりなさい、と言われた。

 ……まるで、わたしがまともな会話ができないような言い方だ。

 ただちょっとだけ、最近の話題に疎いだけだ。



 大橋さんの言う通りこの日の合コンは全員男性陣は三十代だった。

 オシャレな居酒屋の個室は男女が八人座るには少しだけ狭くて居心地は正直よくなかった。


 最初はなかなか盛り上がらなかったけど、次第にお酒が入りだすと周りの場の雰囲気が盛り上がってくる。

 わたしはまったくお酒が飲めなかったため、その盛り上がる雰囲気だけをただいつも眺めているだけだった。

 酔って陽気になった人に絡まれると雰囲気に酔った振りをして一緒になって盛り上がっているけど、

本当はいつも、少しだけ無理をしていた。


 わたしの隣の席に座ったのはたぶん、この中で一番年上で…一番、体格のいい身体の大きな人だった。

 真面目そうで、雰囲気からインテリな感じがして頭の良さそうな人だった。

 彼はビールを飲んでいるようだったけど、あんまり減っていない。

 あまり飲まない人なんだって思ったら少しだけ親近感が沸いた。


 彼はいきなりぶしつけな質問をわたしに投げかけてきた。


「彼氏いないの?」

「はい」

「どれくらい?」

「ずっとですけど」

「ずっとって。三年くらい?」

「ずっとは……ずっとですけど」

「結構な期間、いないってこと?恥ずかしがらなくてもいいのに」


 ずっとって言ったら、生まれてこの方いないってことなんだけど……

 うまく伝わらなかったみたいだ。


 隣に座る彼の強めの視線を感じて目を合わせた。


「でも君、サクラさんに似てる」

「さ、さくらさん!?」

「知らないの?胸どき(星)トライアングルのサクラさん」

「そ、それって」

「今大人気のアニメだよ」


 ア、アニメ!?

 しまった、盲点だった。

 最近のアニメ事情については勉強していない。


 この後のわたしは必死に最近観て覚えたドラマの話で盛り返そうとしたけれど、「ドラマには興味がない」って。

 あの最新映画観てみたいなって言ったら「僕レンタル派」と言われてしまった……。



 アニメについての勉強を怠った自分が悪いのか、

 それともただ単にこの日の運が悪かったのかはわからないけど、今日の合コンは大失敗に終わった。


 唯一の収穫は、胸どき(星)トライアングルというアニメについて、詳しくなれたことくらいかな。



 今日のことを麻衣子に報告したら「他人だったら笑うところだけどわたしは笑えない」と言われた。

 わたしだって笑わすつもりはないし、笑えないよ。


 やっぱりわたしは、結婚どころか恋愛にも、ううん、それ以前の話。


 出会いにも縁がないみたい。


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