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そのとき。
「待って!!」
声が出た!
堀内が振り返る。
私を見る。
私はビックリした。
私が声を掛けれた?
違う。
声を掛けたのは、
私を抱きしめるナミだ。
堀内は足を止め正面を向いた。
「ん?」
堀内が笑顔で答える。
二人と一匹の間に沈黙が走った。
「あの…」
また自信無さそうにうつむく。
大丈夫!!!
振られたってアンタは大丈夫!!!
逃げちゃ駄目!!!!
そう思ったとき、ナミは大きく息を吸って口を開いた。
「し、試合……頑張ってね!!」
私は……
固まった。
堀内は笑顔を見せ、「おう!サンキュ!」と言い去っていった。
ちょ……
ちょっと!!!!
違うぢゃない!!!!!
何やってんのよ!!!!
早く言いなおしなさいよ!!!!
「好き」だって言いたかったんでしょ!!!???
アンタどこまでヘタレなのよ!!!!
いい加減にしてよ!!!!
怒りとショックで一杯の私。
ナミはへたり込んだ。
私をぎゅっと抱きしめる。
後悔してるの?
当然だよね。
アンタホントに馬鹿だよ。
ガッカリする私とは裏腹に、ナミからは思ってもいない言葉を聞いた。
「言えた…」
え……?
「言えたの!!アヒルちゃん!!!私言えたよ!!!!」
嬉し涙を流しながら私を抱きしめるナミ。
何言ってんの?
アンタ、何言ってんの……??