20
「やだ……アヒルちゃんにまで怒られてるのかな……」
ナミは苦笑を浮かべた。
「駄目だよね…そんなことも言えないなんて。でも私みたいな地味で暗い子に言われて、迷惑なんぢゃないかって思うと、怖くて」
だーーかーーらーーー!!!
その小心が後に私をものすっっっごく苦しめんのよ!!
あのね!!
あんたこのままぢゃ負け犬よ!!
告白ってのはね!
振られるのが負けなんぢゃないの!!
それを恐れて逃げるのが負けなの!!!
だからそれを伝えるために来たのに…
言葉が通じなきゃ意味ないよ〜〜〜。
ギャーギャー喚くアヒルに、何かを感じ取ったかのようにナミは筆を置きハッとした。
そして私と目を合わせた。
「アヒルちゃん…」
え!?
分った!?
まさか通じた!!!??
「もしかして、ご飯足りなかった?パンでも貰ってきてあげようか・・・」
ドーーーーーーーン!!!!
今私の後方で何かが爆発した光景が見えた。
伝わらなかった…
私は真っ白になってしまった。
石化してしばらく固まった。
ホントにこんなので、伝わるんだろうか……
あのジジィ……
本気で願いなんか叶えてくれたんだろうか……
一体私は、
こんな姿にまでなって、
小屋に監禁までされて、
ココに何をしに来たんだろうか……
そうこうしているうちに日は暮れ、文芸部は終わりの時間になった。
「さてっと、今日は終わりだから、私行くね」
その一言で私の石化がとけた。
ちょっとまって!!!
あんたに帰られたら目的果たせないぢゃん!!!!
せめて連れて帰れ!!!
おい!!
こら!!!
そんな私をよそに、後片付けをしているナミ。
「明日私当番だから部活の前に来るね。私の事あんまり嫌わないでね。ぢゃぁまたね!」
いーーーーーーーー
くーーーーーーーー
なーーーーーーーー
あああああああああああ!!!!
しかしその声は最後まで、
ただのアヒルの声にしかならなかった。
「やっぱ私、嫌われてるのかなぁ……」