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タイムトLOVEル(修正版)  作者: No,318
past
19/37

19

振り返るとそこには、ナミがいた。


「やっほ、アヒルちゃん!」


……どうして?


もしかして!!気がついた!!???


私が私だって事に気がついた!!!???


私が期待の眼差しを送ると、ナミはニコッと微笑んだ。


そして、


「私ね、美術部なんだ〜。今のテーマは『写生』でね、好きな所を描いてるんだけど、私はここで今絵を描いてるの」


全く気づいてなかった…


ですよね……


でもそれを聞いたとき、記憶が鮮明に蘇った。


そうだ。


私、ここで『好きな人』を描いたんだ。


写生は景色や事物のありさまを見たままに写し取ること。


この場所で、この風景の中にいる、あの人の一番輝いてる姿を見たままに感じたままに描いたんだ。


ナミは小屋の真横で絵を描く準備をしていた。


その時、一枚の画用紙に描きかけの絵が見えた。


場所というより、明らかに一人の人物がメインの絵だった。


おい、それ露骨過ぎだろ……


ちょっと照れくさくなってしまった。


その絵をじっと見る私に気がつき、ナミは恥ずかしそうに言った。


「エヘヘ、バレた?私この人が好きなんだ。1年生の時からずっと好きなの。サッカーしてるときがすっごいカッコいいんだよ!」


そこには一人の恋する少女がいた。


自分のこういう顔見るのって、何か変な感じだけど…


いい顔してんぢゃん。


片思いなのにすっごい幸せそう。


こんな感情も忘れちゃってたなー…


でもね、


19歳になったときにそれもすっごーーーく後悔すんのよ。


だからね、


何が何でもね、


絶対今!!


アンタが告白しなきゃ駄目なんだからね!!!!!


いつしか険しい目つきでナミを見ていた。


それに気づいたナミはまたもぎょっとした。


「また見られてる……アヒルちゃん私の事嫌い……???」


ナミは筆を取りながらアヒルの私に語りかけてきた。


「もうすぐ堀内君、中学最後の試合があるんだ。それまでに伝えたい事があるんだけどね……あはは、でも無理かなぁ。話しかけるきっかけなんか全然ないし、いつもこうやって遠くから見てることしか出来ないんだ」


そうだった。


私はとにかくネガティブで、


勇気もなくて、


こんな風に伝わりもしない想いばっかで胸の中膨らませて、


一言!


たった一言ぢゃん!!


この時だって、好きって既に言いたかったんだ!!


それが、自分に勇気がないばかりに言えずに終わるんだ。


でも私の中では終わってなくて…


今の私を苦しめてるのはアンタなんだ!


だから、言いなよ!!


言ってくれなきゃ困るのよ!!!


大迷惑なんだよ!!!!



いつしか私はヒートアップして、声に出して訴えていた。


もちろん、人間の言葉ではなく、アヒルの鳴き声なのだが…

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