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その時…
「先生〜〜〜コイツ腹減ってんだよ」
そう言ったのはなんとあの堀内だった。
そしてその一言が事態を大きく変えるのだった。
「そっかぁ〜〜お前食いもん求めてきたんかぁ〜〜!!ほれ食え〜〜」
私の一番近くにいた男子生徒がパンを一口サイズにちぎって掌に乗せ、口元へと持ってきた。
ノリでパクッと食べた。
美味い!!!!!
パンなのに!!??
普通にパンなのにぃ!!!!
パンだけでこんなに美味い!!!!!!
懐かしいあの頃の味が蘇った。
中学の給食は物凄くおいしかった。
やきそば……
揚げパン……
カレー……
五目御飯……
あの頃はなんて贅沢なお昼を食べていたんだろうか……
今になって蘇る感動だった。
生徒たちにしてみれば、迷い込んだアヒルが差し出したパンを食べたことはより興味を誘ったようで。
あっちからもこっちからも生徒たちが集まり、余っている食器によそってまでよこしてきた。
ひゃっほ〜〜〜い!!
今日はカレーぢゃん!!!!
ああああ、またこんな美味しいものが食べられるなんてぇええぇぇぇ……感動!!!
いっただっきま〜〜〜〜す!!!!!
私は勢いよく給食にガッつい……
「こらこら!こんなものやっちゃ〜駄目だ!」
そう言って食器ごと取り上げたのは、松崎先生…
食器の中のカレー目掛けて勢いよく降り立った私の口ばしは、目的のものがなくなっても止まる事はなく、そのまま床に激突した。
ガン!!!!!!
痛っ!!!!!!!
そして、酷っ!!!!!!
「先生〜〜!!ひどーーい!!!」
そう言ったのは集まって来てた中のノゾミだった。
他の生徒からもブーイングが起こった。
「うかつに動物に食べ物を与えたら駄目なんだぞ。学校に居座っちゃたらどうするんだ?それに人を前にしても動じない。どこかで飼われてるペットかもしれないだろ?」
生徒たちは冷静になった。
「そっかー…そうだよねぇ……ちゃんと飼い主さんのとこ帰らないと駄目だね」
「でも、ペットのタグみたいなのとか付いてないし、手がかりとかわかんないよね?」
「何でココに来たんだろう……迷子??」
生徒たちは何やら心配そうに相談し始めた。
なんだか良く分かんないんだけど……
なんか、皆困ってる??よね???
まさか私が、あんな理由でココにいるなんて……
でも、そうしないと、私は……
私は、ナミを見た。
ナミも私を見ていた。
目が合う。