MY FIRST ROUTE TO THRYMRHOLD KINGDOM
Yami ga shizuka ni yurete ita.
Sono naka kara arawareta no wa, dare hitori sonzai o kanjiru koto dekinai—
“Saikyō no Kage.”
Kare no arata na shōtai mo, chikara no genkai mo,
mada dare mo shiranai.
Tada hitotsu wakatte iru noは、
kono yoru, unmei ga ugokidashita koto.
Kage ga tatazuむ tokoro, hikari wa tsunoranai.
Soshite, saikyō no kage ga me o samasu toki,
sekai wa mata chigau katachi o toru。
シンは息を呑み、荒く鼓動する心臓を押さえながら辺りを見回した。
頭上に広がる空は、広大で穏やかすぎて――彼の知っているアパートの天井とはまるで違っていた。
ここは……家じゃない。
いや――もう自分の世界ではない。
突然、幼い頃の記憶がよみがえる。
優しかった母の顔。その声。
> 「魔法っていうのはね、シン。あったかい星に願いをかけたとき、胸の奥に灯るものなんだよ。」
「……ま、魔法……? マジック……そうだよな……」
シンは呟いた。
現実から引きずり出された、あの強烈な感覚――
身体の奥から震えが込み上げてくる。
「お、俺は……転移した……? 別の世界に……?」
そのとき、空気の中と頭の中、両方に響くような澄んだ声が聞こえた。
> 『――魔法が本当に存在する世界へ、ね?』
「なっ……!?」
シンの息が止まる。尻もちをつき、震える指先が草を掴んだ。
すぐに、柔らかく温かい声が脳内へと流れ込んでくる。
> 『ええ、シン。あなたは“わたしの世界”へと転移してきたの。ようこそ』
「だ、誰だ……?」
震える声で問いかける。
> 『わたしはこの世界の創造主――そう、“創造神”よ。あなたのことはすべて知っているわ、シン様』
「創造神……? この世界を……全部、創った……?」
シンの身体が強張る。
> 『ふふ。わかってくれて嬉しいわ。その方が話が早いもの』
シンは自然と片膝をつき、深く頭を下げた。
「創造神様……この世界の魔法……何でもできるんですか……?」
> 『もちろんよ。あなたもいずれ理解するわ。
ただし、その前に――わたしの“願い”を叶えてほしいの。
あなたの母も父も……望むなら戻してあげられるわ』
「……っ! 母さんのことまで……どうして……?」
> 『あなたの心も記憶も、すべて視えるのよ、シン』
シンは息を整え、頭を深く垂れた。
「わかりました。あなたの願い……お受けします。」
声は嬉しそうに弾んだ。
> 『ではお願いね。
スリュムルホルド王国へ向かい、王女の“影守”として志願して』
「影守……? スリュムルホルド……」
知らない名ばかりだが、迷いはなかった。
「……承知しました。」
> 『良い返事だわ、シン様』
金属音が響き、古びた革袋が空中から現れる。
> 『五千ゴールドよ。生活費に使いなさい。
袋の中に、この世界の力の扱い方が書かれた本も入れておいたわ』
「……ありがとうございます、創造神様。」
> 『気をつけて行くのよ。
あなたには“力”がある。それを自分の努力で学びなさい』
声が消える。静寂が戻った。
シンは袋を肩に担ぐと、数歩歩いたところで――
「あっ……聞くの忘れてた……!
スリュムルホルド王国ってどこだよ!!」
頭を抱えたその瞬間。
ドスンッ……ドスンッ……!
後方から馬車の轟音が響いた。
シンは振り向く。
白馬二頭が引く豪華な馬車。
重厚な革鎧の騎士が降り立ち、鋭い目でシンを睨む。
「貴様、何者だ? なぜこんな場所にいる」
「し、シン・ハカシタと申します……母が死んで……道に迷って……」
「迷っただと? ここは“迷い人の街道”だぞ。
普通の者が生きていられる場所ではない。嘘をつくな」
――そのとき。
> 『カエル、そのくらいでいいでしょう』
馬車の中から落ち着いた女性の声がした。
「っ、陛下……!」
騎士カエルはすぐさま跪く。
女王が馬車から姿を見せた瞬間、シンは深く頭を下げた。
「お、お会いできて光栄です、陛下……!」
女王は静かに微笑む。
「スリュムルホルドへ向かうのですか、シン様。
よろしければ――ご一緒にどうぞ。向かう先は同じです」
「よ……宜しくお願いいたします!」
女王は続けて尋ねた。
「シン様。王都に着いたら、何を目指すのですか?」
シンは胸を張った。
「影守になりたいと考えております!」
女王の瞳が一瞬だけ揺れる。
懐かしさ――そしてわずかな寂しさ。
「……久しいわね。そう言ってくれる者は。」
「も、申し訳ありません! もし不快でしたら――」
「いいえ。嬉しかったわ。
私はレイナ・フジワラ。覚えておいてね、シン様。」
「レイナ様……ありがとうございます。」
――その瞬間だった。
ヒュッ!
シンの背筋に鋭い殺気が走る。
振り返ると、赤い瞳を光らせる醜悪な魔物。
――ハーフ・インプ。
「うわっ!?」
火炎が放たれ、シンは後方へ跳ね退く。
だが――
影のような速度で、誰かが彼の前を駆け抜けた。
「下がって、シン様。
ここは私が片付けます。」
少女の声。
その瞬間、シンの視界に半透明のウィンドウが浮かび上がった。
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ステータス:詳細
名前:伊月 ミキオハラ
年齢:18
レベル:89
種族/職業:アサシン・ヒーロー
スキル:
死神の抱擁
影融化
一呼吸・一撃
名消し(ネーム・イレイジャー)
魂断ち(ソウル・セバー)
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「な、なんだこれ……!
これが神様の言ってた“力”か……?
……まるでゲームみたいだ……!」
伊月を見つめ、シンは呟く。
「こんな可愛い子が……アサシン……?」




