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第6話 初めての狩り!そしてライバル登場!?

今日の夜24時も更新あります、よろしければよろしくお願いします。

あの火縄銃を作った日から約一か月が経った。

一か月も立ったんだから魔物の一匹や二匹、いや十匹ぐらい倒した...と思うじゃん!?私も一か月前はそう思ってましたよ!でも一回も狩りに行けてないんです!


そう、私はあれだけやる気があったのに一か月も引き延ばしていた。

でも理由はあるんです!お願い聞いて!

まず作った翌日、実際に火縄銃を試してみたんですよ。試してみたらさ、全然的に当たらないの!初めて撃った時なんて衝撃でずっこけたんだからね!?

そんなこんなで、このままだとまともに使えないことに気づいた私は、訓練に時間を費やすことにしたというわけだ。

スキルによるちょっとした効果のあるポーションを作って飲んだりしたおかげで、私は一か月前からは信じられないほどの成長を遂げた!一か月毎日手にマメ作りながら銃の練習をしたから百発百中...とまではいかなくても十発九中までは精度が向上したし筋力もついてきて銃の反動に困らされることもなくなったのだ!


「特訓の成果も出てきたことだし、そろそろ挑戦しちゃいますか!」


一か月真面目に打ち込んで最高に自信が高まっていた私は早朝一番、魔物が時折現れるという森にやってきた。


「うわー、すっごい森って感じだぁ...前世じゃ自然に全然縁なかったから新鮮だなぁ」


前世に住んでいた町では見れない広大で、その静けさの中に威厳を持つ自然に私は圧倒されていた。前世じゃアウトドア派の言ってる意味が分からなかったけど、こんなにすごいのならそりゃハマるよ。マイナスイオン?だかなんだかがドバドバと出ているの感じるもん。

そんな感じの感想を抱きつつ森の中を進んでいると、突然。ガサッという音が聞こえた。


「っ!?」


あまりの急転直下に気が動転しながらも周りを見渡す。とりあえず、すぐ近くにはいないようなので近くの大きめな木を探した。

私は行く前から何度も想定していた通りに、太めの枝から少しずつ上って安定するところまで登った後、銃を取り出す。火縄銃、使っている間に愛着がわいたので英語のマッチロックからとってマーくんと名前を付けた。

まぁそんなことはどうでもよくて、それよりもおそらく近くにいるであろうモンスターのことだ。

噂ではここに出てくるのはゴブリンらしい。小柄で緑色の人型のモンスター、知性はほぼない代わりに集団でいることがあり、群れの場合は狩る難易度が一段階跳ね上がる。事前に私は群れなら去るまで様子見、一匹なら狩ると決めていたが、どうだ。

木々で隠れているが見つけた!ゴブリン!しかも一匹だ!これなら私でも行ける!


「ハー、スゥー、ふぅ」


深呼吸をして落ち着いて慎重に火縄銃に火薬と弾丸を詰める。

ゆっくりと狙いを定めて、ゴブリンの動きが止まるのを待ち続ける。いくら狙いがよくなったといっても十回に一回は外すのだ。失敗は許されないぞ私。


ゴブリンが立ち止まった、今!

静かな森に似合わない銃声が響く。その声に驚いた鳥が数羽飛び立っていく。撃った時の音に反比例するがごとく静寂が森を支配する。


「当た、った?」


木から降りてゴブリンの方へ向かう、いた。頭を打ちぬかれて死んだ、ゴブリンの死体だ。私が殺した、生き物の死体。

胃の中からなにかこみあげてくる。


「うっ、うぐっ、おえぇぇぇ!!」


覚悟はしていたが駄目だった。いくら緑色の肌で人間とは違うとしても、血が流れて撃たれた部位から脳漿がはみ出ている。生気を失った目が私をにらんで、血は流れ出し、中身がはみ出す...ああ、ダメだ。


「うおぇぇぇえっぇぇ!!うごええぇぇぇっ!!」

「うぐぅ、思ったよりきつい...」

「でも戦争が始まったらこれが人間になるんだから。慣れろ私、覚悟はしてただろ」


推しのためにこれからもっとたくさんの人を殺すんだ、私は。だからこんなところで止まっている場合じゃないだろう。さぁ立て私、そして呼吸を落ち着けさせろ。

ゆっくりと息を吸って吐く、落ち着いてくるとだんだん冷静になって次に何をするのか思い出す。

スキル【開発】は生き物でなければ加工ができる。つまりは死んだ生き物なら加工して素材だけ手に入れることができるのだ。


「スキル発動、開発」


出てきた画面からゴブリンの死体を選択し皮と角のクラフトを選択する。

十分という時間表示が出たので、私は少し近くで休むことにした。思ったよりも初めての影響は大きく精神が削られている。休まないと。


私は一応襲われないよう木の上で休息をとったが、頭の中でずっとゴブリンの死体が反芻されて、ろくに休めなかった。


「あ、そろそろ十分か。確認に行こう」


木から降りてあの場所に戻ってくると、そこには皮と角だけが残されていた。

あれだけあった肉はもう残っていない、おそらく肉からも皮を作ったのだろう。あれだけ存在感を発揮していたものが、まるで元から何もなかったように消え去る。あのゴブリンを知っているのは私だけ...私が殺した...

私は二つの素材をバックパックに詰めて、小さなお墓を作った。

いつかは作りきれないほど殺すんだろうけど、せめてできるうちは墓で弔おう。そう決めた。


「よし、とりあえず帰ろう。今足りていないものもわかったし」


まず対象を確認するためのスコープ的なものがいる。やっぱり物事は経験してみないとわからないな。次に向けて頭の中のメモ帳に大事なことをメモしておく。

次までに用意するものと、殺した時の感覚。どっちも忘れちゃダメなことだから。


私が帰路に就こうと体を翻した途端、声をかけられた。


「あなた!名前は!」


振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。

黄色く長い髪をたなびかせるその姿は不自然なほどこの場所に合っていない。合っていないのに、そのあまりにも強烈な存在感に周りの空間が合わせさせられる。

動けない、私は彼女に見惚れていた。


「黙っていないで、何か話したらどう?」


「えと、えっと、誰、でしょうか」


頭が思考を取り戻すと、大きな問題点を思い出した。まずい、ゴブリンを狩ったところを見られたかもしれない。許可証もないのに狩るのは犯罪だ。しかし私の年齢では足りないのだ。だからこっそり来たのに、この子にみられたかもしれない。どうしたよう...


「ふん!いいわ、教えてあげる!私の名前はソフィーリア!この世界で一番の錬金術師になる女よ!覚えておきなさい!」


私の大事な人、ソフィーリア、私とあなたとの邂逅は、この静かな森に反比例するように、強烈な始まりだったね。

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