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第51話 不穏な来訪

 メイベルの事件から四ヶ月ほど経ったある夏、ちょうど全員が集まって朝ごはんを食べていた時のことだった。

 ピンポンとチャイムが鳴る音がする。

「来客かい?珍しいね」

 アーサーが立ち上がって玄関の方へ向かう。数分後につれてきたのは、私たちがここに来る原因を作ったドルト少佐だった。

「失礼する。錬金寮の全員は揃っているか」

「えっと、はい。揃ってますけど」

「よし、大事な話がある。心して聞いてくれ」

 妙に神妙な、いやこの人はいつもこんな顔をしていたのでいつも通りの表情で淡々と告げる。

「戦争が始まる」

「戦争!?」

 全員が驚いて、いやアーサーとマーガレット、ソフィーのいつも冷静な三人はそれほど驚いてはいなかったか。それでもその三人ですら驚きを隠せずにいる。

「えっ、せ、戦争って、何があったんですか」メイベルが不安そうに尋ねる。

「君たちはルイナ帝国を知っているな」

 もちろん知っている。この世界で最も広大な国であり、ステラを壊した元凶、そしてこの国が戦争に敗北することになる原因。

「それで、それと戦争に何の関係が」

「これだ」

 私の問いが終わる前にドルト少佐が一枚の紙を取り出し私たちに見せる。その内容は、衝撃的なものだった。

「ルイナ帝国民をドルート=セルク二重帝国が拉致、ってなんですかこれ!しかも拉致被害者の中にステラの名前もある!」

 記事の内容はそれ以上でもそれ以下でもなかったが、それだけに誤解の可能性も一切ない。

「上層部の判断で、現在の我が国ならばルイナ帝国にすら打ち勝てるということだ」

 なるほど、私たちが開発したものの成果を見てこれなら勝てるって判断もできたのだろう。それに、敗戦以降の鬱憤も溜まっていたのだから当然か。

「そこで貴様らにも役割が与えられた。順番に発表していく」

「まずはアーサー」

「はい」

「貴様にはオートメイル兵隊を率いる隊長をやってもらう」

「了解です」

「次にメイベルとマーガレット!貴様らは兵站を担ってもらう!」

「仕方ないわね」「は、はい……」

「エルトラン、貴様には衛兵として戦場で活躍してもらうことになった」

「了解でーす、たっくさん癒やしちゃうぞー!」

「残り、ノイフォンミュラー、ソフィーリヤ、ステラの三名は最前線へ向かう兵士達の改造にかかってもらう!」

「はい」「わかったわ」「りょーかーい!」

 全員の役割を振られ、持ち場への地図を渡される。

「それでは、よろしく頼む。我が国の勝利は、貴様らの働きにもかかっているのだからな」

 そう言い残すと、ドルト少佐は去っていった。

 私たちは、とりあえず朝食に戻りながらこの先のことを話し合い始めた。

「みんな、バラバラになるんだね」

 アーサーが口火を切る。

「そうね、戦争は長引くだろうし、きっとしばらくは会えないでしょうね。もしかしたら一生ってことも」

「それは、いやです、ようやく、仲良くなれたのに」

 そう寂しそうに話すメイベルとマーガレット。気持ちはわかる、この前の祭りも、海も、普通の日常も、全てが楽しかった。

「そうマイナスになる必要はないわ、私たちなら絶対に生き残れるわ。力を合わせて、生き残るのよ」

 こんな時でも、ソフィーは力強くてやっぱり頼りになる。

「じゃあみんな、ちょっとやりたいことがあるんだけど、いいかな?」

 私たちだけでも生き残るために、やれることは全てやろう。

 私たちは、戦争に備えて仕込みを始めた。

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