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第50話 後日

 夢を見た気がする、私がソフィーと戦って、それで、えっと……あれ?なんだっけ?

「ふぁぁ、なんか身体怠いなぁ.......」

「目覚めたみたいね、よかった」

 私の隣には林檎を剥くマーガレットがいた、ステラは、寝ているようだ。

「ソフィーは?どこ?」

「隣で寝てるわ」

「ありがとう」

 立ち上がろうとするとマーガレットに止められる。なんでとめるんだろう、ソフィーに会いたいのに。

「ただ、その前に何があったのかだけ話したいの。それなりにショックな話だから、覚悟なさい」

「う、うん。わかった、聞くよ」

 マーガレットの勢いに押されそのままベッドに再び座り、話を聞く。

 その内容は、ショックの冠にたがわぬもので、私の顔がどんどん青ざめていく。

 私がメイベルに好きって言ったり、あまつさえソフィーを傷つけたなんて、信じられない。信じられないし信じたくないけど、この身体のけだるさが、少なくとも何かはあったことを私に教える。

 それに、マーガレットはこういうことに嘘をつかない。

「まぁ、そういうわけで、結構大変だったわ」

「私が、ソフィーを、嘘、じゃないんだよね。ああどうしよう!ソフィーは大丈夫だったんだよね!?」

 半狂乱になりつつあった私をいさめるように、冷静な声でマーガレットが返す。

「腹部を貫通する大けがではあったけど、大丈夫よ。ソフィーは生きてる」

「でも腹部貫通って、ダメじゃんそんなの!」

「ええ、だから早く行ってあげなさい。ノルンが見舞いに来るのが一番効くでしょうから」

「うん、ありがとう!」

 扉を開けるのすら面倒で突き破ってソフィーの下へ向かう。マーガレットの呆れる声が聞こえるようだけど、あとで直すって心の中で言い訳をしたからセーフだろう。多分きっと。

「ソフィー!大丈夫!?」

「あ、ノルンじゃない。全然、平気よ。ほらこうやって立ち上がれ......」

 ソフィーが自分の無事を示すために立ち上がろうとしたが途中でふらつき、倒れそうになったのを私が支える。

「全然大丈夫じゃないじゃん!ほらゆっくり寝て!」

「違うのよノルン、私は大丈夫なんだから」

 嫌々というソフィーを無理やり寝かせる。肉体は同じでも弱っているなら私の方がつよい。

「.......ソフィー、ごめん。私が油断してなかったら、ソフィーがこんな目には合わなかったはずなのに」

「いいのよ、ノルンは取り戻せたし、メイベルも反省した。私だって生きてる。ハッピーエンドじゃない」

「でもっ!」

 何か言おうとした私の唇をソフィーがキスで無理やり塞ぐ。

「それ以上はダメ、助けた私のためにもね。それに、こうやってノルンを抱きしめられるなら私は満足なんだから」

「ソフィー......」

 私は元気になったそのあと、ソフィーが治るまでの数週間を看病して過ごした。途中アーサーやエルトラン、マーガレットにステラ、それと元凶のメイベルがやってきたりもしたが、基本はずっと私がいた。

「しかしノルンは強かったわねぇ」

「あはは、ソフィーを守るために頑張ってたから。そう、守るために頑張ってたのに、傷つけ......」

 守るためだったはずが傷つけることになってしまったことを意識してしまってまた気分が底へと落ちていく。

「ちょっと、だから大丈夫って言ったじゃない!それに、私としては楽しかったのよ!?」

「うん、ありがと」

 ホントに私って情けない。もっと、もっと強くならなきゃだ。

「あ、そうそう!ノルンもあの薬を応用する発想に至ってたのね!」

 あの薬とは、ステラの野菜嫌いを何とかするために作り出した薬のことだ。あれは本体をそのままに要素を加えることができる優れものだったので、こっそり研究していた。

「うん、完成したら見せようと思ってたけど、ソフィーもやってたんだね」

「そうだけど、悔しいけど、効果ではノルンが勝ってたわ」

「その代わり身体への不安が高いけどね、そういう意味ではソフィーの作ったものの方がすごいよ」

 なんだかいつもの会話が随分暖かく感じる。そうだ、私はこの生活を守らなきゃいけない。だから、もっと強くなろう。こんなことは、二度とあっちゃダメなんだから。


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