第48話 潜入ミッション
前回と同じように跳躍靴で窓の外から侵入しようと起動した瞬間、地面に振動が走る。
「なに!?」
うろたえていると地面から湧き出てくるゴーレム。一、二、三、十匹ぐらいだろうか。簡単には侵入させないだろうと思っていたがやっぱりか。
「無視する、ってわけにはいかなさそうね!」
それでも一度飛べないか試そうとした瞬間、恐ろしい速度でゴーレムが殴りかかってくる。あまり時間はかけたくないが、どうしようか。
「ここは僕に任せてくれ!」
アーサーが謎の防具を展開してゴーレムの前に立ちはだかる。
「どんどん数が増えていってるけど、大丈夫なの!?」
そういっている間にもどんどんゴーレムが湧いて出てきている。だが、そんな心配を吹き飛ばしてみせようといわんばかりにアーサーがゴーレムを一撃で粉砕する。
「もちろん!だから早く行って!」
そういわれるよりも早く跳躍靴で窓へと飛び立つ。部屋の中に入る瞬間、爆発音が聞こえて一瞬振りむきそうになったが、あれだけ言われたのだ。信用して気にしないことにした。
「さて、と。久しぶりに遊べそうな敵が出てきてくれたんだ。めいいっぱい楽しませて貰おっかなぁ!!」
目の前に無数に広がるゴーレムを前に、アーサーは楽しそうに笑っていた。
部屋の中に入るとすでに床が開いていた。
「誘ってるってわけね、いいじゃない。受けて立ってやるわ」
ステラとマーガレットとともに地下へと降り立つと、前回とは全く違う様相をしていた。
以前までは狭い部屋だったのがダンジョンのように広大な空間が広がっている。おそらく罠もたっぷりあるのだろう。上等だ、この程度で私を止められると思っているのかもしれないが、それがどれだけ甘く愚かな考えか教え込んでやる。
私が先行して罠をすべて正面から突破しながら、迷路の道を一つ一つ潰していく。地下攻略が始まって三十分ほど経過したころ、ステラがよほど面倒だったのか、怒っていたのか、物騒なことを言い始めた。
「いっそのことこの地下ごと吹っ飛ばしちゃだめかなぁ。お母さんならその程度でも死なないってステラ思うよ」
地下を爆破して生き埋めになったノルンだけを助けるという方法は私も考えなかったわけじゃないが一つ問題がある。
今のノルンにとってのメイベルは私と同じような存在なのだ。つまり、メイベルが死ぬような展開はノルンが死に戻りを発動させる条件足りうるというわけだ。とはいえ、それを伝えるわけにもいかないのでどう説得しようか。
「ばか、そんなことしたら町への被害が尋常じゃないことになるし、なにより寮長と管理人が起こるわよ」
「そっかぁ、じゃあ真っ向勝負だね!」
マーガレットが説得してくれたので、攻略を再開する。
右へ左へ上へ下へと縦横無尽に駆け回り、罠の種類も全て制覇し、飽きてきたころにようやく、メイベルとノルンのいるところまでやって来た。
メイベルが椅子を回転させて私たちの方を向く。
「ふ、ふふ、と、とうとう来たんですね。ノ、ノルンさんはもう私の物だっていうのに......」
「なぁーにが私の物、よ!薬の力で愛を手に入れたくせに!」
事実を指摘されて明らかにむきになったメイベルがぴーっと笛を鳴らす。
しかし何も起きない!
「あ、あれ?」
何度も何度も笛を鳴らすが何も起こらない。
「な、なんでゴーレムが!」
「メイベルあなたバカねぇ。一度見せたことを、私が対策しないと思ってるわけ?」
そう言い放つマーガレットの手元には地面へと延びる植物の姿があった。
「地面を特別な植物で固めに固めたわ。氷土大陸産のとっても危険な奴をね」
「急速成長のために毒をうまく使ったのは私だよー!」
得意げなステラ。二人とも、いつの間にかずいぶん仲良くなっていた。
「ま、というわけでそっちの秘策は対策されてるから、おとなしく諦めなさい」
「あ、あきらめるなんてい、嫌ですよ!ノルンさん!時間稼ぎをお願いします!」
「了解メイベルちゃん!」
ノルンが何のためらいもなく私たちに襲い掛かる。
「さ、最終決戦よ!ノルン、覚悟なさい!これが終わったらたっぷりとお仕置きなんだから!」




