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第33話 ドラゴン人間誕生!

 数十分が経過し、儀式が終わる。

 

「終わった......」


 目を開くと異様に開けた視界に脳が混乱する。だが数秒もすると違和感に脳が適応する。

 手をぎゅっと握って開いてを繰り返す。動きに変なところはないようだ。

 ぴょんぴょんと軽く飛んでみたのに前の肉体の倍ぐらいの距離を飛ぶ。


「成功だ......!」


「ソフィー!成功したよー!」


 ソフィーに呼び掛けると奥の方から走ってくる。

 私のところまでやってくると話しかけるより先に体をぺたぺた触ってくる。


「んー、確かに外見には変化ないけど、筋肉からして全然違うわね」


 上から下へしゃぶりつくすように触診される。ソフィーとしては真面目にやってるんだろうけど、ちょっと我慢できなくなりそうになるから勘弁してほしい。

 今ソフィーと私の肉体は全然違うんだから、襲い掛かったらケガさせちゃう。


「あの......ソフィー、ちょっと」


「どうしたの?」


「いやすごく嬉しいんだけどね、ちょっと我慢ができなく......なっちゃうというか」


 ソフィーは一瞬逡巡した後、顔を一気に真っ赤に燃え上がらせる。

 ものすごい勢いで離れて顔を背けている。そんな顔されたらもっと我慢するのが辛くなっちゃう。


「それは、その、うん。そうね、ごめんなさい。逆だったら私も同じこと考えてたわね」


「うん、ごめん......徹夜で作業してたせいでちょっとたまってるものもあったからさ」


 この一か月、ドラゴンに備えるために全然交わることもできなかったし、徹夜テンションなことも相まって本当にだめだ。今我慢が出来ているのも不思議だし、欲に引っ張られて脳内がピンク色に支配されているような気すらしてくる。

 気まずい空気がその場を支配する。


「それより!安全も確認できたしソフィーもやろっか!錬成陣も使いまわせるしすぐできるから!」


「そ、そうね!よろしくお願いするわ!」


 その気まずさを振り切るように頭を振って、当初の目的通りソフィーの方の錬成を始める提案をする。とりあえず流れを断ち切れたけど、錬成が終わってしまったらいよいよ建前も消えてしまう。

 そして数十分が経過しソフィーの分も終了する。


「終わったけど、何か変なところない?ソフィー」


 ソフィーが目を開いてぱちくりと瞬きをする。私の時もそうだったけど脳みそだけはそのままだからドラゴンの身体に適応するまで少し時間がかかる。

 数分経って違和感もマシになったようで、ソフィーが私のところまでやってくる。


「ノルン、これすごいわね。体の感覚が全然違うわ」


「わかる、私もなじむまで時間かかったよ」


 ソフィーはなじむのに少し時間がかかっているせいかフラッと倒れそうになったところを私が抱える。

 前までなら両腕でないと重さに耐えられなかっただろうに片腕で軽く人ひとり分の重さを持ちあげられる。しかもソフィーのソフィーの肉体もドラゴンの肉体になっているから重さもましているのに、だ。


「っと、ありがとうねノルン」


 私の腕の中にソフィーがいる。それはある意味いつも通りなのだけど、なんだか違うように見えて、これは......。


「うん、それでちょっと相談なんだけど、もう我慢できないというか......いい、かな?」


 ソフィーはいったん表情が固まったと思うと再び顔を紅潮させてうつむいて、何も言わずに私の袖を握る。

 これ以上ないぐらい恥ずかしそうな様子なソフィーが一言ぽつりと呟く。

 

「これ以上は、何も言わないから......」


 私はもう我慢ならないと思い切りソフィーを押し倒して、その夜を楽しんだ。

 終わるころには二日経過していて、体力もなにもかもが以前とは段違いだということを思い知らされる。しかもまだまだやろうと思えばできるのだから恐ろしい。

 やり終えた私たちは隣に座って水筒で水分補給をしていた。


「ノルン......」


「なに、ソフィー?」


「毎回するたびにこれじゃあ困るから......頻度は落としましょうね」


「うん、そうだね。できれば月に一回とかにしよっか......」


 ソフィーが顔を真っ赤にしながら提案して、私もそれに同意する。確かに最高だったのは間違いないがこのままだと永遠にこれだけしている生活になってしまう。しかもより最悪なのは、それもまぁいいかもと思えてしまえるほどに魅力的な生活ということだ。

 私たちは人間だ。理性をもって欲望を抑制して生きなければならない。だがこれじゃ獣と一緒だ。ドラゴンの肉体になれたのは思いがけぬ成果だったけど、こんなところで弊害が出るとは思っていなかった。

 もしかしたら欲を抑制する装備が後々必要になるかもしれないとぼんやりする脳みそで考えていたら、隣にいるソフィーが私の腕をそっと取って恥ずかしそうにつぶやく。


「一か月はちょっと、寂しいから、週に一度がいい、と思うのだけど......」


「.......そうだ、ね。うん、確かに.....寂しいかも」


「「...................」」


 二人とも何も発さないが何を思っているのかはこれ以上ないほどにわかる。

 どうやら、この熱はもう少しだけ続くことになりそうだ。

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