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第32話 解体!ドラゴン!

 朝、ソフィーの声で目が覚める。

 心地よい微睡みから強制的に引きはがされる。眠い、もう少しこのままでいたいな。

 だがソフィーはそれを許してくれない。ガンガンと耳に痛い音が洞穴の中に響き渡せて私を起こそうとしてくる。


「そろそろ起きなさい!」


「んん、わかったよ。もう少ししたら出るから......」


 私がぐずぐずしているとソフィーが無理やり寝袋から私をひっぺり剥す。ドラゴンの肉が腐ったりするのを防ぐため氷を置いたせいでここは夏だというのにずいぶん冷たい。

 できるならずっと寝袋の中にいたかったがもう眼が冴えてしまったし、おとなしくドラゴンの解体の準備をしよう。

 

「ふぁぁ、ソフィー」


「なに?朝ご飯ならもう出来てるわよ」


「ごめんそのことじゃなくて、あでも今日もありがとう。いただきます」


 朝ご飯のトーストを頂く。昨日がっつり食べたせいでそんなにお腹がすいていないから軽いもの。

 

「ドラゴンの素材ってさ。何に使うの?」


「そうねぇ、鱗と皮は防具や武器でしょ?それで眼は双眼鏡の更新に使おうかしら」


「ドラゴンの肉って特に使い道はない感じ?食用以外で」


「そうね、思いつかないかしら」


 私たちは目の前にたたずむ死骸を前に使い道を話し合う。

 何に使っても余りそうなくらいの量だ。いろいろやり方もあるだろうし、試すのが楽しみで仕方ない。


「それならさ、ちょっとドラゴン肉をこっちで使わせてほしいんだよね。思いつくものがあってさ」


「ええいいわよ。ただもう少し食べたいからこれぐらいは残しておいてね」


 そう言うとソフィーはナイフでドラゴンの肉を切り取る。

 重さにして約2キロ、私たち二人だと三日分くらいだろうか。ソフィーの料理に使われるならきっとおいしいだろうし、この量があるんだからもっと取ってもいいのに。

 そう聞いたらソフィーは「さすがに飽きるわよ」って返したので大人しく従うことにした。


 そうして使い道も決まったので、ドラゴンの解体を始める。

 まずはドラゴンの鱗を一つずつ外していく。まず鱗の下側をナイフで浮かせて根本の部分をナイフで切る。これでようやく一枚。これが全身分なのでまぁ二日はかかるだろうか。

 鱗が終わったら次は皮の剥ぎ取りをした。なぜかはわからないがこの世界は皮のなめしをしなくてもそのまま使えるのでこっちは早めに終わった。とはいえ一日以上はかかったが。

 そしてそのほかの素材も含めて一週間ほど経過したころ、私たちはドラゴンの解体を終えた。

 手に入った素材は皮、肉、牙、目や内臓。皮は装備に、牙は武器に、内臓や肉は私の方で使わせてもらう。


「じゃあ私は武器の制作に取り掛かるけど、ノルンの方は一人でできそう?」


「うーんまぁできなくはないけど、あとで来てほしいかも」


 役割決めも終わったところで私たちはそれぞれの作業に取り掛かった。ソフィーは素材の加工のためにいったん道具を取りに家に帰った。


「さて......と、うまくできるといいな」


 私が思いついた肉の使い道、それは私たちの肉体強化だ。

 人間の肉体はドラゴンといった生物に比べて貧弱だ。それはなぜかというと肉体を構成する物質が違うのだ。例えば細胞一つとってもドラゴンは魔法をかけてある。そのおかげでドラゴンは圧倒的な力を手に入れている。


「この肉体を手に入れることができたら......」


 そう、肉体をドラゴンの肉と入れ替えようとするのが私の挑戦だ。

 ドラゴンの肉体を触媒に私の身体を錬成、うまくいけばドラゴンと同じ肉体を人間の姿そのままに手に入れられる、はず。今まで錬金術を学んできたおかげで思いついた方法だ。


「問題は安全性の確保だよね。一応動物実験はした方がいいか」


 というわけで私はそこらへんにいる動物を捕まえてきた。

 ネズミ、ウェアウルフ、ゴブリン、とりあえず三つのサンプルを用意してみる。

 今までの訓練の結果もあってかとらえること自体は簡単だった。成長を感じる。


「まずはネズミでやってみよう」


 スキルを使って加工し作った錬金釜にドラゴンの肉を入れる。

 そしてゆっくりとドラゴンの肉を溶かしてドラゴン汁を作り出す。

 ネズミの檻の中に錬成陣を書く、中心部に二重の円を書きその外側に三つの小さな円、中にはドラゴン、ネズミ、生物のマークを描く。この三つは錬成する時の内容を大まかに記したものだ。ここの内容が違うと全く別の結果を招く羽目になる。

 そうしてできたものの外側に循環を表す外周円を描いたら錬成陣は完成だ。


「よし、あとはここにドラゴン汁をかけるだけ」


 錬成陣はゲームでいうプログラムの部分で、ドラゴンの汁はそれを稼働させるエネルギーのようなものだ。

 そうして実験が始まる。うまくいってるなら少しずつネズミの肉体が変換されて行ってるはずだ。


「おっ、終わったかな」


 錬成陣の輝きが収まり、ネズミも活動を再開する。

 まずは成功したか確認するためネズミを鉄のナイフで切ってみる。

 ナイフが刺さらない!成功だ!

 

「よし!あとはほかの生物でも実験するだけ!」


 次はウェアウルフ、ゴブリン、どんどん試していったが特に失敗はなく成功した。ただドラゴン並みの肉体を持ったせいでウェアウルフもゴブリンも檻を抜け出して討伐するのが少し手間取ったがこれも成功の証だから良しとしよう。


「それで、ノルンはなにをしようとしてたの?」


 帰ってきたソフィーに手伝ってもらって二体とも倒し終わった後、ソフィーに私の計画を話す。最初は懐疑的にしていたものの実際に結果を見せたら目の色が変わった。


「すごいじゃないノルン!さっそくやりましょう!」


 ソフィーはノリノリだったが一応人間で始めてやるのは死んでも取り返しの効く私からすることした。

 人間はほかの生物に比べて複雑な構造をしているため少し大き目の錬成陣を描く。

 やり方はほかの生物と同じだが脳みそはそのままに、内臓は入れ替えることに決めたので三つの小円に二つ追加して五つの小円を描く。あとは脳を除外するという条件と内臓を入れ替えるという項目を追加したら錬成陣は完成!


 ドラゴンの肉、内臓それぞれを溶かして液体にした後それを錬成陣にしみこませる。


「何が起きるかわからないからソフィーは一応離れててね」


「ええ、無事を祈ってるわ」


 ソフィーが離れたのを確認したら最後のピースである私が錬成陣の中央に立つ。

 錬成陣が光り初めて私の肉体がどんどん入れ替わりはじめた。

 

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