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第29話 運命の日

 時間がたつのは早く、あの日からすでに一か月が経過していた。


「ソフィー、準備はもう終わったわね」


「うん、終わったよ。先外出てて、すぐ行くから」


 今日はドラゴン襲撃の日、備えは万全。あとは全てを思惑通りに為すだけ。

 なにも恐れる必要はない。

 

「よし、行こう」


 装備の整備も終わって出立の用意も全て完了。

 扉の外で待っていたソフィーとともに森へと向かう。決戦はもうすぐだ。


「この一か月、いろいろあったわね」


「ほんとにね」


 森の外れあたりで岩に腰掛けながらソフィーと思い出話をする。


「ソフィーが一番記憶に残ってるのって、なに?」


「それは、ノルンが訓練のし過ぎで倒れたときよ、焦ったんだからね」


「あはは!あったねそんなの!」


「まったく、他人事みたいに言って......」

 

 風邪をひいて予定がずれたことがあった。

 ソフィーは大丈夫と言ってくれたけど私は気が気じゃなくて、風邪が治った後限界を超えるまで訓練をしていたらふらっと倒れたのだ。

 あの時はソフィーにこっぴどく怒られたので二度としないって反省してたけど、今の返事が出てくるあたりたぶんまたやらかすのだろう。


「まぁソフィーが私の手綱を握ってくれるからいいじゃん」


「あなたねぇ、まぁいいわ。それにノルンのやらかしだったらちょっと前の爆発事故もよ!私の家まだ修理終わってないのよ!?素材足りないわ金欠だわで!」


「あははごめん、ちょっと素材入れすぎちゃったね。でも結果的に想像以上の品質になったじゃん!結果オーライ結果オーライ!」


 いやまぁこのノリで流すのはあれだがちゃんと謝って許してもらえたし賠償もこれが終わったらたっぷりするつもりだ。だからまぁギリギリセーフだよね!


「いやほんといろいろあったなぁ」


「ノルンのやらかしばっかりだと思うのだけど......」


「あははなんのことかなぁ!」


 都合の悪い話が出てきたので聞かなかったことにしよう。掘り返せばミスが何個でも出てくるので切りがないし、これ以上思い出されたら夜私の身体が持たないよ。

 それにそろそろ時間だし、切り上げるとしよう。この続きは勝って夜に。


「ノルン、これが終わったら......」


「なに?」


「戻る前の私の話を聞かせて欲しいの......」


 ソフィーはちょっと恥ずかしそうに、話しかけているのか呟いてるのかぎりぎりわからないような声を出す。


「なにそれ、フラグ?」


「始まる前に縁起のないこと言うんじゃないわよ!ほら!さっさと立って!来たわよ!」


 ソフィーが照れ隠しで私のことを小突く。子気味よいコツンという音がした。


「さ、始めよっか!ソフィー!」


「ええノルン!」


 私たちの目の前に立ちはだかるドラゴン、山を思わせるような大きな体も、その紅く不気味な鈍い光を放つ眼も、これから向けられるであろう敵意、攻撃、その何もかもが怖くない。

 私一人では無理かもしれない。ソフィーだけでも無理かもしれない。だがここに二人、最高の錬金術師がいる。

 さぁ来いドラゴン、お前の首にこのナイフを掻き立ててお前という運命を乗り越えてやる!

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