第8話 一心同体、私とソフィーリア
私が協力を決めたところで、次に何をするのか決めることになった。
「ノイフォン...ちょっと長いわね、ノルンって呼んでもいいかしら」
「ええ、大丈夫です」
「よし、じゃあ次にどうするかなんだけど、あなたが寝ている間に考えておいたわ」
「私が断るとか、考えなかったんです?」
あんまりにも自信満々に言うから、面白くなって、少し笑って聞いた。
「考えなかったわ、だって私が望んだのよ?叶うに決まってるじゃない!」
「と、言いたいところだけど、もちろんそうなることも考えていたわ、でも関係ない。二人でやるのが私一人になるだけ。たかだかそれだけなんだから」
「強いですね、ソフィーは」
「あら、私のこと、そう呼ぶことにしたのね」
ソフィーが私のことをノルンって呼んでくれるなら、私もソフィーリアを短くして呼んでみたいなって、思った。そっちの方がもっと仲良くなれたみたいで素敵だし、そうしたい。
「ダメでしたか?」
「いいわね、気に入ったわ。これからもそう呼びなさい。それで次にすることなのだけど」
「明日もあの森に行って狩りをするわよ、そして素材をできるだけ集めて、次の日に錬金術であなたの装備を私が作るわ。そこからは、どんどん狩っていって、次へ次へと進んでいくのよ」
明日も、今日と同じように狩りをする...
ってことは、また同じように私が、自分の目的のためだけに生き物を、殺...
「っ...」
「ノルン、大丈夫?顔色が悪いけど」
「え、ええ大丈夫です。それで、何時からにします?」
どうやら私の顔色が若干悪くなったことに気づかれたらしい。
ソフィーについていくと決めたんだ。だからこんなところで心配させてはいけないのに。
それでも隠せないほどに、あの時の衝撃は大きくて、今も私の中に残っているみたいだ。
「...それじゃあ...いえ、だめね。ノルン、正直に話しなさい。あなたと私は仲間なんだから、隠し事はなしよ」
「ソフィーに嘘はつけませんね...わかりました。話します」
「怖い、んです。殺すのが」
私はバックパックからゴブリンの素材を取り出す。
「これは、私が昨日銃で撃ち殺したゴブリンの素材です」
「殺したからには素材をとらないといけないじゃないですか。その時、殺したゴブリンの飛び出した中身とか、目を見たら、すごく、怖くて」
あの時の恐怖を思い出して涙が流れる。
そうして下を向いていると、ソフィーが隣に座って話し始める。
「そう、そうだったの」
「そうね、初めて殺したんですもの。そうなっても仕方ないでしょう」
「ソフィーには協力するけど、でも怖い...」
涙があふれそうになるのを必死に抑える。ソフィーにはばれてるかもしれないけど、これは私の意地だから。
「ノルン、これは一度しか言わないからよく聞きなさい」
「はい」
ソフィーが私の手を取って、私がソフィーの方へ向き、二人の眼が合う。
じっと私だけを見つめるソフィーは綺麗で、私の荒れていた心を落ち着けさせる。
「私とあなたは仲間、一心同体とすら思っているの。それはあなたもわかっているでしょう。だからね、ノルン。あなたのその重みも、抱えてる全ても、私に半分預けなさい」
「二人で一緒に、その重みを抱えていくのよ」
「それなら、怖くはないでしょう?だって私がついているんだから」
「ソフィー...」
我慢しようとしていた涙が溢れ出てくる。隠そうと思っていたけど、ソフィーには知られたくなかったけど、良いと思った。だって、この辛さも、ソフィーが一緒に抱えてくれる。
「私、やるよ、魔物狩り、怖いけど、つらいけど、ソフィーが一緒にいてくれるから!」
涙で前はまともに見えないし、声も裏返って変になっちゃってる。
この苦しみは、自分だけで抱えて、いつかなれることだと思っていた。だけど今、私にはソフィーがいてくれる。この短い時間しか会話していないのに、それがはっきりわかる。この太陽みたいに眩く輝いている人が、照らし、導いてくれる。
私は一人じゃない、この異世界で、一人じゃない。
それだけで、救われる。
「...ありがとう。ノルン。嬉しいわ。」
「でもね、心が痛いときは私に甘えること。いい?慰めてあげるくらいはできるんだから」
「約束しましょ、いいわね?」
「はい...よろしく、お願いしますね、ソフィー」
「それで、さっそくなんですけど、お願いしても、いいですか?」
「もちろん、さぁ、来なさい」
「ノルン」
私はソフィーの身体に抱き着き、泣き止むまで慰めてもらった。




