0話 罪と罰
よろしくお願いします。あと初心者なのでここはこうしたらいいよなど感想たくさんいただけたら嬉しいです。
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どうしてこうなってしまったのか、後悔は泉のように後から後から湧いてきて私の頭の中を這い回る。
あの時私が救おうとしたから?それとも、私があの時救わなかったから?
そんなの全然わからないし、わかったとしてももう遅い。後悔の字の如く、後から悔いてももう戻りはしないのだ。
窓から外を眺めると、赤く、どこまでも真っ赤な炎が見える。
人が燃えている。家が燃えている。全てが燃えている。
叫び声が聞こえる。
女性の、子供の、男性の、動物の声だって高らかに鳴り響く、地獄のオーケストラだ。
「ごめんなさい…」
耳を澄ませると私への罵詈雑言が聞こえてくる。
扉の方を上から覗くと何人かの人が押しかけてきている。
あれは私の罪そのものだ。
「お前のせいだ!」
やって来た敵兵に切られて死んだ。
ごめんなさい。
「クソ!出てこい!死ぬ前に俺が殺してやる!」
後ろから撃たれて死んだ。
ごめんなさい。
「あんたさえいなければ!!彼だって!」
近くの建物から炎が燃え移って死んだ。
ごめんなさい。
「息子を返してよぉ!!!」
敵兵におばあさんが刺されて死んだ。
ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。
「このまま焼け死ぬのかな」
窓を閉め、罪悪感から身を隠す。この後に及んで私はまだ真っ直ぐに見つめることができないのだ。
「いや、それはないか」
部屋の外からガタガタと物音が聞こえてくる。
誰だろうか。
敵兵か、市民か、それとも恨みのある知らない誰かか。
もうそろそろ限界らしい。
いろんなことがあった。出会いも、別れも、酸いも甘いも噛み締めた。
「私、生まれてくるんじゃなかった。生きてちゃダメだった」
涙が溢れてくる。
最初は善意だった。これで人が救えるかもしれないって。
でもダメだった。大きな悪意の前では私は一回の塵芥に過ぎなくて、何か大きな流れに飲まれていく存在でしかない。
初めは祈りだった。これは人を救うって。
でもダメだった。私は救世主でもなんでもないただの人間で、神様には程遠い。
私はどうしようもない悪役だった。
思い出の振り返りも終わり、決心もついた。
「楽しかったな」
「死にたくないな」
「でも、死ななきゃダメだよね」
銃を取り出す。
小型の銃。大事な彼からもらったもの、初めて仲間になったあの日からずっと欠かさず抱え続けて、最後まで使うことはなかった。
人を殺す手伝いをしていたくせに、私の手だけは綺麗なままだったのだ。
弾丸を込める。
銃のセーフティーを外す。
「確か、こうすればいいんだったかな」
「あぐっ」
銃を口の中に加える。
「世界のみんな、ごめんなさい」
「地獄に行くから」
私はゆっくりと、その引き金を引いた。