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第2話 「謀略」

今から2400年ほど前...舞台はアテネ...

そこでは、ある石工を生業とするアシュラ一族の者が暮らしていた...

紀元前450年...


「いいか、隊列を乱すな。やつらを...オリエントの愚か者どもを我らのこのファランクスで一網打尽にするぞ!」


『おぉぉーッ!!!!!』


時はペルシア戦争末期、古代ギリシアのアテネ、スパルタなどで構成されるポリス連合軍は超大国ペルシアを迎え撃つべく、重装歩兵隊列『ファランクス』を形成していた。

戦争が始まってからおよそ40年。緒戦では連合軍はペルシアの猛攻に歯が立たなかったが、紀元前480年のテルモピュレーの戦い、サラミスの海戦におけるレオニダス、テミストクレスの活躍によって戦況は改善し、479年のプラタイアの戦いにも勝利。478年には、アテネを盟主とするデロス同盟が結成され、各ポリスの団結は決定的なものとなった。


そして...


「来た...!」


一人の兵士のそんな言葉とともに、ペルシアの軍勢がこちらにどんどん近づいてくるのが見え始めた。

連合軍の兵士は息をのむ。

そんな中、ある一人の兵士も気を張っていた。


黒髪に赤目。アシュラ一族だ。

名は、ゲオルギオス・アシュラ。

石工を生業にしている家系の者である。


数分後...


ついに両軍は激突した。

そこら中で金属のぶつかり合う音が聞こえる。


そんな中、人一倍敵兵を蹴散らす兵士が二人。


一人はアテネのゲオルギオス。

もう一人はペルシアのレ二。


ゲオルギオスは盾で敵兵を吹き飛ばし、ひるんだものは槍で次々と刺していった。


レ二は大きな図体を生かし、敵兵に激突。体勢を崩すとそのまま槍で刺していった。


そんな中だった。

ついに2人が対面した。


「貴様がゲオルギオスか。噂には聞いている」


「そっちもな。レ二」


「確かにその腕力、驚嘆に値する。しかし!勝つのは我々ペルシアだ!!」


「言ってろ!!連敗続きが聞いて呆れる!」


一触即発の状況だ。

さあ、どちらから出る...。

お互いじりじりと、相手の動きをうかがう。


と、そのときだった。


「我々の勝利だーッ!!!!」


「「!?」」


2人はその声のするほうへ目を向ける。

その声の主はギリシア人。そして、降伏の意思表示をしているのはペルシア人の将軍らしき者。


『うおおおおおーッ!!!!!!!』


ギリシア人の兵士は地割れが起きんばかりの歓声を上げた。


ゲオルギオスは歓喜の輪の中に入っていく。

レ二はそんな光景を呆然としながら見つめるのだった。





紀元前449年。戦争は終結した。

『カリアスの平和』という講和条約により、ギリシアの勝利が確定し、ペルシアはいくつかの領土を放棄することとなった。

これをきっかけに、ギリシア人はオリエントに対する優越感を抱くようになっていくこととなった。





紀元前447年...


雲がアテネ市内の空を覆っている。今日は曇りのようだ。


「おう!ゲオルギオス!ちょっとこの石をこんな風に加工してくれよ!」


一人のアテネ市民の男が木の板を削って書いた石の完成図をゲオルギオスに提示する。柱だ。


「柱だな。わかった。半日ほどかかるが、いいか?」


「おう!助かるぜ!」


ゲオルギオスは戦後、かつてのように石工としての日常を送っていた。

今日も今日とて、依頼された通り、石を加工し、依頼者に渡す。

彼の工房では今日も金属の器具で石が打ちつけられる音が響く。


そして...


「ほら、できたぜ」


「ありがとうよ~!これで我が家は安泰だぜ~!」


「やはり柱か。1本でよかったのか?」


「おう!家の柱がよ!1本だけやばかったんだ!それ以外の柱は今んとこ大丈夫だぜ!」


「そうか。ならよかった」


「んじゃ、今度もまた頼むぜ!」


「ああ。待ってる」


男は軽々柱を持ち上げるとそのまま帰っていった。

それもそのはず、彼はアテネ市内でも評判の怪力である。

ゲオルギオスとは先のペルシア戦争でも戦場を共にした仲だ。


「さてと...」


仕事を終えたゲオルギオスは、『作業』に取り掛かることにした。

彼の趣味は石像造りである。

彼の工房には肉体美を醸し出す男女の様々な石像がある。

今日は筋骨隆々な男の石像を造ろう。

そう思い、ゲオルギオスは器具をとりに行こうとした。


そのときだった。


いつものように工房の周辺では人々の会話が聞き取れる。が、今聴こえてくる会話はなかなか聞き取れない。

聞き耳を立てないと何を言っているかわからない。それでいて聞き慣れている会話...それは...


「まさか...ペルシア語?一体なぜ...」


そんな独り言を言った後、ゲオルギオスは気を取り直して作業に取り掛かった。




アテネのある目立たぬ場所...

そこではフード付きの黒いローブに身を包んだ者が3人で何かを話していた。


「無事...アテネに侵入できたようだな。だが、本当に我々の『作戦』が成功すると思うか?」


「その通りだぞ...!この作戦は我らが王も知らない...。それはつまり支援も期待できんということだ...!それに、下手すればアテネどころか、故郷からも処罰を受けることになるやもしれんぞ...!すでに講和を結んだというのにこのような行為に及んだと知られれば...!」


「協力者は?」


「50人ほどだ」


「それほどの協力者がいるのだ。それはつまり、『やるべきこと』であるということなのではないか?」


1人の一番背の高い者がそう言うと、2人とも黙ってしまった。

背の高い者はさらにこう続けた。


「では...作戦開始と行こう。我々はこれより...ここ、アテネを滅ぼす...!」


直後、突然稲妻が光った。


そう、たった今、アテネでは、ある『陰謀』が密かに渦巻いているのだった...。

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