表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/350

98. うつけの目的

「君のことは、評価しているんだよ!!」


 レイノスは、レンのことを評価している旨の話をしてきた。


「それで、君の目的を聞かせて貰えるかな??」


 どうやら、レイノスはレンの目的を聞くまでは、レンを帰すつもりは無いようだ。


「まぁ、そうですねぇ~~ぶっちゃけた話ですね~~もう公国と争う意味ないんじゃないかな~~と思いまして!」

「ふむふむ、その心は?」

「両国で争って、国民は食えますか??食えません!むしろ、飢えます……では、両国で争う事で誰が得します??周辺国じゃないですか!!」

「確かにそうだよな……旧帝国は、王国と公国の貿易品を中抜きして周辺国にバラまいてたみたいだねぇ~~」

「あっ!把握してたんですね!」

「そりゃ、一国のトップなんでね……ちなみに、今回のキッカケになった密偵(スパイ)に関しても把握していた」


 レンは驚いた。


 公国のトップは、しっかりと国内の情勢に関して把握していたのだ。いや。むしろこれが普通なのか。

 いかに、自身の父親の無能ぷりを実感させられていると同時に、王国が滅びないように舵取りしていたエリザに心の中で感謝したレンだった。






「んで、レイノス様はこの事態把握していたのに何故、動かなかったんですか??」

「う~~ん……この一件に関して、公位継承権の一位と二位で大公の座をあからさまに狙っている息子二人のどちらが対処してくれることを願ってたんだけどなぁ~~結果的に、大公の座にあまり、興味を示さないスズカがいち早く気づいて対処するんだから、本当に政治の世界は面白い!」

「そっそうですね!!」


 レンは、恐怖を感じた。


 このレイノス=オレジアナとは仲良くした方がいいと。


 しかし、相手の下手に出ることは絶対に出来ない。


 ここからは、レン=ラインブルーの政治家としての腕の見せ所だ。相手の雰囲気に呑まれてはいけない。旧帝国の女帝のように。

 まぁ、旧帝国の女帝にはスズカと組んで、雰囲気に呑ませて圧倒的にこっち側に有利な条件の条約結ばせたんだけどね……


「それで……こっちは、本音話したのにレン殿は話さないのかな??」


 レイノスは、本音を話すようにレンに求める。


「はぁ~~出来れば、もっと先のほうで交渉したかったんですけどね……致し方ないですかね??」

「何の交渉かな??」

「あれ?スズカから聞いてませんか?」

「さぁ~~何のことやら」


 レンは、スズカに目線を送って確認を取る。


「スズカ、話してないん??」

「いや~~話したよ!!お父様ぁ~~??」

「ハハハ!聞いていたとも!……レン殿は、駆け引きが上手いねぇ~~娘を使われると言い返せないよ」

「もちろん、聞いているよ!ラインブルー王国とオレジアナ公国で、平和条約を締結したいんだよね?」


 レンは、一先ず安心した。


 レイノスの口から最初に『平和条約』という単語を引き出せたことが、交渉の第一歩だ。











「レイノス様……改めて、両国の間で、『平和条約』を締結しませんか??」

「両国にメリットはあるのかな?」

「ぶっちゃけ、公国側のメリットってわからないですねぇ~~王国側のメリットは、これまで公国から輸入していた品物が、これまでより安く、しかも!中抜きされずに王国に入ってくるので王国内で安定供給できます!……恐らくですが、公国側の同じメリットを得られるかと??」

「まぁ、王国と公国では長年形だけ対立して、裏では旧帝国と貿易していたという体で貿易してたからなぁ~~」


 レイノスは、スズカに確認を取った。


「スズカはどう思う??」

「メリットしかありませんよ……王国は、加工品の技術は凄いものです……公国の軍事設備の殆どは、王国からの加工品を使っています」

「そうだよな」

「これまでは、旧帝国が中抜きしてきたりしてくれた影響もあって、安定して公国内に入ってきません」


 ここで、レンは核心を付くことをレイノスとスズカに言う。


「レイノス様!だからこそ『平和条約』を締結するべきだと思います」

「ふむ!何故だね?」


 ある程度は、理解している?というか、もう『平和条約』締結するメリットは理解しているだろう。本当に駆け引きが上手い。トクヤならあっという間に、雰囲気に呑まれていただろな。


「これまで、両国の貿易において中間点に居た旧帝国が滅びたので両国が貿易するには『平和条約』を締結した上で貿易しないとお互いの国の火薬庫が、爆発しかねませんか??」

「ははは、そっちもこっちの事情はある程度把握しているということか」


 レイノスは、少し考えたがあっさりと決断を下した。


「レン殿では、『平和条約』を締結しようか」

「ありがとうございます!」


 レイノスは、スズカの傍仕えのセバスに条約文書の制作を依頼した。レンもリーナに依頼する。


「あれ?マナじゃなくて、リーナなん?」

「うん!まだ、話すことあるしね!だから、マナには残って貰った!」


 レンの一言に、スズカとレイノスは疑問の表情を浮かべた。


 目的は両国の『平和条約』の締結ではないのかと??


「あはは!『平和条約』だけのために、旧帝国を滅亡させませんよ!『平和条約』だけでいいなら、公国と協力せずに王国だけで、旧帝国を滅亡させるなり傀儡政権を樹立させたりしますよ!」


 レンは不敵な笑みを浮かべた。


 ここからは、レンが主導権を握る番だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ