83. うつけは率いる!
「リーナ!今、僕たちはアクア国軍基地に向かっているよ!!」
「えっ?!アクア国軍基地に?!」
リーナは、驚いている。つい、二週間ほど前にも訪問していたからである。
「レン??何で、グリアナ帝国に行く前にアクア国軍基地に行くんですか??」
「ハットリ家の人間に、マテオに通達して陸・空軍合計二万の兵力を用意させてるよ??」
「二万??」
アクア国軍基地は、王国内一の軍基地なので兵士の数も王国一だ。二万の兵士を用意させてもまだアクア国軍基地を防衛するだけの戦力はある。
「さぁ~~マテオに久しぶりに会えるぞ!!」
レンが乗った馬車は、アクア国軍基地に入った。
基地内では、マテオを始めとする兵士達が出迎えている。皆、前回より緊張した面持ちだ。レンは、馬車から降りるとマテオと握手を交わす。
「久しぶり?と言っても二週間程度しか空いてないけどね!」
「確かに、久しぶりという挨拶には違和感がありますね!」
「どう?しっかり、運営出来ているかな?」
「はい!クロットがサポートしてくれるお陰で上手く運営出来ています!」
クロットはというと、スバルと話していた。
「二週間といっても積もる話はあるだろうし後で、クロットを褒めてげて!」
「はい!レン様が褒めていたと聞けば飛んで喜びますよ!この二週間の頑張りよう凄かったですから!」
「おぉ~~彼も今後の働きに期待だね!!」
挨拶を済ませるとレンはマテオに案内された部屋に男女で別れて入り『軍服』に着替える。これまでは、一国の代表としての最低限の正装はしていた。
軍服を着るのは、王政に関わりだしてから初めてだ。
王族の軍服は、法律上王族は『陸・海・空の全てのトップ』という位置づけなのでかなり豪華な軍服なのだ。レン自身は、この豪華な軍服が苦手なので採寸の際になるべく大人しめの軍服をお願いしたが、やはりレンは豪華に感じたみたいだ。
ただ、作り直させるのも税金の無駄だなぁと考え、この軍服でいいかと納得させて部屋を出ると、レンはフリーズした。
理由は、簡単。
マナの軍服を見たからだ。
「レンくん……私も軍服用意して貰ったけど、いいのかな??」
「いいよ!!それに……物凄く可愛い!!」
パシン♪
マナのハリセンが、炸裂した。照れ隠しだろうが、照れ隠しでハリセンはいかがなものかと思うが可愛いので良しとしようか。
「マナ!いたぁいよ!」
「あっ!ごめん!急に可愛いなんて言ってくるからビックリして……」
「さっ!行こか!アクア国軍基地の兵士がお待ちだよ!!」
レンとマナは隣同士で、マテオの案内の基で基地の広場に向かい演説台に上り兵士の前に軍服姿を披露する。」
オォーー!!オォーー!!オォーー!!
基地内の兵士が一斉に歓声を上げる。
「うわぁ!凄い歓声!そんなに、この軍服がいいのかな?」
「どうだろう?」
「今は、財政的に厳しいけど余裕が出来たら軍服のデザインも一新する?こんな風なデザインに??」
「この歓声を聞くとデザインを一新したら喜びそうだね!」
レンとマナの二人は、歓声の理由が解らないようだ。
マテオが訂正をいれる。
「違います!デザインでは無いです!レン様!マナ様!」
「「そなの??」」
「相変わらず、息ピッタリですね」
「それで!理由は!!」
レンは、食い気味で理由を尋ねる。
「そりゃ、軍人であるなら仕えている王家の人の軍服を一目でも見たいものです!現陛下は、基地への訪問は一切しない方でしたから……この前、公務用の服装で訪問された際も私たちとして結構嬉しいものだったんですよ!」
「おわっと!クロット!」
理由を答えてくれたのは、クロットだ。
「そんなものかな?これから兵士達と向かう場所考えたら、向かわせる王家が先頭に立たないといけないのは普通でしょ??」
「いぇ、レン様のそのお考え自体私どもでは、士気が上がる程です」
「ニャハハ……本当に申し訳ないねぇ~~」
「レン様!」
マテオに指示されたレンは、マナと共に演説台から兵士たちに手を振り一言を発する。
「今から君たちにとって初めての経験が待っている!こういう事態を招いてしまったのは王族の責任です……まずは、謝罪させて頂きたい」
レンは、頭を下げマナとリーナも頭を下げる。
「今回はそんな王族の尻ぬぐいを手伝ってもらうことになる、本当に申し訳ないと思っている!しかし、今回の一件において君たちの力が本当に必要なんだ!!是非,力を貸して欲しい!頼む!!」
レンは兵士達の方向に、マナはマテオに、リーナはクロットに、頭を下げてお願いをする。
オォーー!!オォーー!!オォーー!!
兵士達からは、歓声が上がりマテオとクロットは覚悟を決めた表情を見せている。
「一緒に、行きます!レン様!」
「私もです!!」
「じゃ!頼むよ!!」
レンは、馬車にマナとリーナと入る。マテオとクロットも入ろうとするがレンは止める。
「ストップ!マテオとクロットの二人ともは連れて行けないよ!どっちかは、ここに残って貰わないと!一気に代表と副代表が基地を離れる訳にはいかないでしょ!!」
二人は、「あっ!」と気づいた。
レンは二人が悩むかと思ったが、クロットがマテオに出陣の座を譲ったのだ。
「マテオ代表!レン様と共に、活躍して来てくださいね!!」
「オウ!!」
馬車には、レン・マナ・リーナ・マテオが乗り込みアクア国軍基地を出発して陸軍・空軍合わせて二万の兵士を率いて向かうは
グリアナ帝国 帝都シノバンだ。
第5章 交わい編へ!!




