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80. うつけは手伝う!

 コン♪コン♪コン♪


「ほいほ~い!!」

「レンくん!おはよ!入っていい??」


 朝になった。昨日は、夜遅くなったこともありマナは、王城に泊まった。身支度を整えたマナが、レンの部屋に来た。


「いいよぉ~~!!」


 レンは、マナの入室を許した。


 マナは、部屋に入ってきてレンの表情を確認する。顔をマジマジと見られたレンは、プイッと目線をずらそうとする。

 それに負けないように、マナは尻尾を振りながらレンの顔を見ようとする。


 その、押し問答を繰り返しているうちにレンは埒が明かないと判断してマナのある意味急所である尻尾を鷲掴みにする。


「んぎゃぁぁぁぁぁ!!」


 パシン♪♪


「いったぁぁぁぁい!!」


 マナは、急に尻尾を触られ可愛い奇声を上げたが、すぐにハリセンを取り出しレンの頭を思いっきり叩いて、今度はレンが、悲鳴のような声を上げた。


「レン様!どうされましたか?……あっ、失礼しましたぁ~~」

「「…………………」」


 部屋から男女の奇声が上がったことを不審に思った、コノハが部屋にレンの安否を確認するために、入ってきたが二人の様子を確認したら空気を読みそっと部屋を後にしていった。

 レンとマナは、二人とも頬を赤らめて思った。


『『やらかした』』











 少しの間、気まずさが残ったが気を取り直してレンはマナに言い伝える。


「マナ、引っ越しの件なんだけどさぁ」

「今日だよね?」

「知ってたんだ??」

「施設長から、聞いてたよ??」


 そう。今日は、マナが王城に引っ越してくる日なのだ。ちなみに部屋は、第一王子権限をフル活用してレンの部屋の隣にした。

 ちなみに、リーナは部屋が近いとうるさそうという理由でレンの部屋から徒歩三分程離れた場所に配置したことは今の所内緒にしているというか、秘書官就任と実家の異動が重なったので、今は殆ど実家に居るので部屋が何処にあるかはまだ、知らないだろう。











 レンとマナは、朝食を摂り終えるとマナの引っ越しの支度を始める。


 マナが過ごす予定の部屋は、コノハ達にお願いして数日前から掃除をして貰っていた。リーヴァンを始めとするハットリ家の人たちは、マナの荷物を王城に運ぶことに従事してもらうことになっていて今現在も作業を進めてくれている。

 流石に、王族や貴族の馬車を使って貧民街から王城への引っ越しをすれば、嫌でも目立ってしまう。


 今回の引っ越しルートはこうだ。まず、孤児院でマナの荷物をハットリ家の人でバケツリレー方式で近くの広場にある一般国民が使う馬車に乗せて一旦王都の外の人目の無い場所にまで運んだ後に、王族や貴族が使う馬車に移し替えて王城に運ぶことになった。


 それほど今回の引っ越しは、外部に漏れたくは無いのだ。


 今直ぐは無理だが、仕事が落ち着いたタイミングで孤児院に顔を出そうと話し合っている。



「レン様!マナ様のお荷物第一陣がもうすぐ到着されます!荷物は、我々メイドと執事が運びますのでレン様とマナ様はお部屋で荷解きをお願いします」


 昨日から進めていた荷物の第一陣が、王城にそろそろ到着するみたいだ。普通なら一回の荷運びで終わるが、今回の事情的に複数回になってしまう。


 レンとマナは、マナの部屋に移動して荷物の到着を待つ。

 














 部屋の扉を開けて、マナの荷物が運び込まれている。女の子の引っ越しというのは荷物が多いらしい。


「やっぱり、女の子の引っ越しは荷物が多いのかな??」

「主に服がね……秘書官になる前は、五組の服をローテションンで着てたけど秘書官になった後はコノハからお古を沢山貰ってそれ着るようになったし……」

「あぁ~~コノハ、マナのこと気に入ってるもんなぁ~~」

「そそ!私や子ども達にお古の服沢山送ってくれたりしてさぁ!女物ばっかりだから男の子達は、少し不満がってたけど!」

「あはは!」


 荷物の第一陣が運び終わり荷解きを始める。


 衣類は、部屋に備え付けのクローゼットにどんどん収納していく。文房具なの備品系は、机にしまっていく。


 レンは、一つの箱を発見し手に取る。荷解きを手伝っているなら躊躇なく開けるがこれは、躊躇してしまう。箱に何を入れてあるかを書いてあるが、そこに下着類と書かれていた。

 

 本当ならマナに渡してレンは別の荷物に移るべきだが十五歳の思春期の男の子なら気になるものだ。


 数分程箱と睨めっこしていると、後ろの方で耳をイカ耳にして尻尾がブワッと太くしているマナという名前の猫耳族の女の子がハリセンを握りしめて振りかぶっている。


 レンは、背後に異様な寒気を感じて、箱から集中を解きマナの機嫌を取ることに移行する。


「あっあの~~マナさ~ん??イカ耳に尻尾がフワーッてなってませんか??」

「その箱に何が、入っているか解っているよね??」

「えっえっとですねぇ~~思春期男子なら当然の反応かと………」

「でもさぁ~~!!女の子の下着が入った箱をどうしようとしていたのかな??」

「どうもこうもしようとしてません!!」

「言い訳ご無用!!」


 パシン♪♪


 今日一番のハリセンが炸裂したのだった。


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