8.うつけの面会②!
「王子…オーティズ公爵をお連れしました」
「ありがと!下がっていいよ…」
兵士は,部屋を後にして,部屋には僕・リーナ・オーティズ公爵の三人になった。
「王子…本日はお時間とって頂きありがとうございます…!本日は,弁明の機会を与えてくれて…」
「弁明…?なに?」
「はい…あの場で平民に,斬りかかるように命じたのは,王族の威信の為なんです…!」
「王族の威信…?」
「はい…!秘書官に平民を任命するのは,お辞めください…!」
「それは,なんで?」
「王家と平民では,人としての格が違います!!」
こいつの言っていることが,解らなかったので,質問を投げかけてみる。
「……何が,違うの?平民だろうが,王族だろうが同じ人だろ?」
「いぇ!王族は,長く王国を民を導いてきました…!ですので,王族が神格化されるのは至極当然なのです!!」
「そして,その王族に仕えてきた貴族家も平民と比べると特別だと?」
「そうです…!王子が,今後この国を治める上で,貴族と平民の差別化をはっきりとしないといけません!」
はぁ~,この人は,わかってないなぁ~何で,今お前のブクブク太ったお腹があるのは,誰のお陰だと思っているんだ…王家が,ここまでこの国を治めれたのは誰のお陰だと思ってるんだ…
「……誰のため?」
「誰とは…」
「貴族と平民の差別化は,誰のためにやるんだ?」
「もちろん…王家のためです!」
「差別化を測ることで双方に,良いことは,あるのか?」
「…………」
「あの~オーティズ公爵…黙ったら解らないんですけど?答えを聞かせて貰えませんか?」
「あの…それは…そうです!民の王家への忠誠心です!」
なんで,こうも言い訳が出てくるのかなぁ~それに,答えは心という曖昧なものだな…
「忠誠心…?何それ?それさぁ~双方じゃなくて…王家にしか良いこと無いよね?質問の意味解ってる??」
「王子…それは…」
「後さぁ~,忠誠心なんて,嘘でもあるって言える物じゃなくて,平民と王家の双方の生活において良い事あるのかって聞いてるの…!オーティズ公爵程の知力がある方なら流石に…わかるよね?」
「………」
オーティズ公爵は,また黙り込んでしまった。
「そうだもんな…貴族と平民の差別化で,一番得するのはお前ら貴族家の連中だもんな…」
「……」
「平民から搾取するだけして,王家からも甘い汁を吸えるだけ吸う…だろ…?」
「………」
どうせ,答えないだろうなぁ~と思ったけど…そりゃ,答えてしまえば自身の命も危うくなるもんね…
まぁ,話を変えようか…
「オーティズ公爵…大広間の時に,言っていた,お前の子どもについてだが…」
「はい…!是非とも…我が子供たちを秘書官に……」
僕がマナとリーナを正式に,秘書官に任命したこと知らないのか…?
「そこに居る,オノフェス男爵家の娘も仮の秘書官でしょう…!薄汚い平民と男爵風情なんて王子に相応しくありません…!」
おっ!言ったな…僕自身の中にある物差しを超える一言を…ここで,キレてもどうせ…ここは,冷静でいよう。
リーナが,僕の肩付近を摘まんできた…僕がキレそうになっているのを感じ取って止めようとしてくれたのだろう!
「ありがとう!リーナ!」
リーナに,お礼を言って,オーティズ公爵にあることを告げる。
「オーティズ公爵…あなたは,父上の前であれだけの愚行を行った…今回の沙汰の一部を伝えます…」
オーティズ公爵は,驚いた顔をしている。
「いや…私は王家のために命じただけで…罰するべきはあの兵士…」
「うるさいなぁ~法は,平民だけじゃなく,貴族及び王家にも適応されるんだよ…?」
「なっ!貴族は,貴族法で…」
「なにそれ?…今まで貴族家で,何の勉強してきたんですか?貴族法は,あくまで,ラインブルー王国法の一条に過ぎないのだよ…?何,ラインブルー王国法と貴族法が別物だと,思ってるの??」
「しかし…貴族は,貴族法で守られているはずだ…!」
「オーティズ公爵…貴族法は,あくまで善良な貴族のための法律であって…悪い貴族のためじゃないよ…?」
「王族が法を曲げるのか…!!」
「曲げてるのは,そっちだろ…法律をよく読めよ…貴族法は『国家運営において必要な人材を貴族として任命し国家に貢献している間は,処罰を免除する』と書かれている…と言いたいんだな??」
「そうだ…!我々,貴族はその法律で守られてるんだ!」
オーティズ公爵の発言に多大な,呆れの気持ちを覚えた……。
「愚かだなぁ…その法律には,続きがあるの知らないの…??」
「続きだと……」
「続きには,『ただし,その権力に溺れ圧政や国家に反する行いをした者は,王国法に則り処罰せよ』とね…!!」
「……」
「また,黙り込みましたね…今回あなたは,この法律に,則り処罰します…」
「どのように…」
「今日伝えるのは,一つです!貴方の息子デリエスと娘メイは,貴方の子どもじゃ,なくします」
「なっなんと…?!」
「そして,二人の身分を奴隷に落とし王都の孤児院で働かす…わかったな!」
「王子…!それは,あんまりです!これでは,当家は断絶していまいます…私は妻に先立たれ…」
「…じゃ,その大事な子ども…特に,メイに僕の夜の世話をさせようとするなよ…そんな毒親の基に二人を置いておけるわけないだろう?二人は,まだ十二歳と十歳だろうが!!親なら,子どもへの愛情を見せろよ!」
オーティズ公爵は,黙り込んで話さなくなった。兵士に命じ,オーティズ公爵を,連れて行かせた。
「王子…もしかして,デリエスとメイを明日呼んだのは,このため?」
「そうだよ!明日,僕の口から伝える」
「ちなみに,オーティズ公爵家自体は,どうするの?」
「ん~内緒!」
明日は,オーティズ公爵の子どもと,王城で話すことになっている。
僕とリーナは,拘置所を後にして王城に戻り,マナの帰りを待つとするか!!