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76. うつけは母に相談する!

 レンとエリザのお話は、まるで一国の政治家同士が対談している雰囲気の時もあれば、やはり二人は親子だと実感させられるような、会話をしている。




 レンは、父親であるトクヤの事で、かなり悩んでいる様子でエリザに相談する。


「母上、僕が政界から追放しといて都合の良い質問だとは、思いますがいいですか??」

「ん??いいよ??」


 どう伝えるか、レンは悩んだ。一応は、母上の想い人なので言葉を濁して伝えるべきだと思っているからだ。


「えっとですね……父上がですね、あの~~その~~いたぁぁい!!」


 言葉に、詰まっているとマナが脇腹を抓ってきた。レンは、『何するんだ!』っと抗議の目線を送るという普段とは、逆の構図の現象が起こった。

 本当に、マナはあの一件以来、遠慮が無くなったな!その方が、隣に居て楽しいからどんどん、推奨するのだけど。


「レンくん!噛み過ぎ!お母様が、困惑しています!」

「あぁ!母上、すみません……いい言葉が思い浮かばなくて」


 エリザは、レンの心情を汲み取り答える。


「レン!あの間抜けな父親のことだろ?言葉濁さなくてもいいよ!多分、私と同じことで悩んでいるでしょ?」


 エリザから遠慮は、要らないと言われたので、レンも言葉を濁さずトクヤに対して思っていることを言うことにした。


「父上ったら、何回も注意しても書類にしっかり目を通さずにサインするんです!何回、注意しても!!」

「あぁ~やっぱり、それ治ってなかったか」

「僕が王都に居る間は、目を光らせているので問題は無い方ですが、この前二週間程の外遊に出た帰ってきたら……また、ろくに読まずにサインしていたみたいで!!」

「本当に、あの人は……私が、政治に関わっていた頃も適当にサインするから書類の確認は殆ど私の仕事になっていたからね」


 レンが抱えていたトクヤへの不満をエリザへぶちまける。『首相 兼 教育相』として凛々しい姿でいる彼からは想像が出来ない様子だ。

 やはり、レンもまだ十五歳の少年といったとこだ。











「所で、レン?隣に居る猫耳族の可愛い女の子は??」


 エリザの興味は、マナに移ったようだ。二人が、顔を合わせるのはこれが初めてだ。


「僕の第一秘書官のマナ=リグレットだよ?」

「エリザさん!お初にお目にかかります、レン第一王子の第一秘書官を務めています、マナ=リグレットと申します」


 マナが、自己紹介をする。


「秘書官任命式で、顔は見ただろ??解りやすく言うと、僕が貴族と兵士にキレる原因となった人物??」

「ちょっと!レンくん??その言い方だと、私が仕組んだみたいになっていない??」

「えっ??そう??」

「そうだよ!!」



 レンとマナは、エリザが居るのを忘れて、イチャつき始める。二人からしたら、これがイチャイチャではないと言うのだから、周りは驚愕するのだ。



「レン!!私が居るのを忘れて、イチャつかないの!!」

「イチャついてない!」

「いや、十分イチャついてるよ!!」

「「うぐっ!!」」


 エリザからの指摘に、レンとマナの二人はダメージを受けた。


「それにしても、マナちゃん??」

「はっはい!!」

「レンのことを……レンくんってぇ~~~~~」


 エリザは、マナをイジる気満々だ。


「あっ、いやぁ、そのぉ」


 マナが、こんなにも動揺しているのは初めて見る。母上ことエリザの小悪魔ぶりは、ある種の恐怖を感じるものだ。

 さすが、数ヶ月前まで、真面目に仕事をしない父上の尻を叩き、王国が破綻しないように舵取りしていた人物だ。この人は、ここをこう突っ込めばいいと言うのを、瞬時に見極めて攻めてきた。


「母上、マナをイジめないでください!最近、他の貴族をイジめられないからってマナをイジめないでください!!」

「あは?バレた??」

「バレバレです!」

「貴族を説教っしていただけだよ?」

「うむ!そういうことにしておきましょう!!」

「王子のいうままに!」

「「あははははは!!」」


 レンとエリザの笑い声が、部屋中にこだます。レン自身、エリザとこんなに他愛も無く話したのは数年単位で、無かったので、非常に楽しい時間を過ごしている。


「それで、秘書官としての働きはどうなの??情報は、色々入ってきて有能だとは聞いてるけど??」

「有能を通り越して、居て貰わないと困る!一言でいうと、僕のストッパー兼癒しって言った所だね!!」

「あぁ~~この前の法律会議は、マナちゃん抜きで参加して、キレ散らかしたんだって??チビった大臣も居たとか居なかったとか??」

「あはははは!お恥ずかしいお話です!何か、僕の雰囲気が怖いみたいで、怯んじゃうらしいんですよね」

「らしいね!でも、直さなくてもいいと思うよ??その雰囲気は、カリスマ性だと思うから!!その、カリスマ性に付いて来てるマナちゃんは、常に隣に居てもらいな!」

「そのつもりだけど……??」

「カリスマ性とは一種の爆弾だからね!持っている本人では制御出来ないんだよ!だから、制御してくれる人が必要!制御できる人が居ない、爆弾は、制御不能と判断されて処分されるだけだから!マナちゃんは、話したらダメだよ??」

「もちろん!!」




 再び、政治の話に戻る。




 切り出したのは、エリザだった。


「レン、『三国間条約』の本当の狙いは……??」

「あっ!母上は、気が付きましたか??」

「気が付くとも!何年、君の母親していると思っているの??本当の狙いは??」

「んん~~?『ネズミ』の排除だけど??」


 エリザは、レンの両手を掴みお願いをしてくる。


 真剣な眼差しで。


「頼むから、また、お話に来てくれよ??」

「もちろん!」


 レンは、エリゼからの願いに笑顔で「もちろん!」と答えた。


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