70. うつけは対話する!
マテオ一家に,新たに誕生する命の名付け親を承諾したレン。
ワイバーンのエサの発注業務に向かっていた,リーナとクロット伯爵・スバル男爵が部屋に帰って来た後に十五分程度の休息を取った。
休息後は,クロット伯爵とスバル男爵に案内してもらい基地に居るに居る兵士との面会の場所に,向かっている。
「二人とも,短い時間でよく準備できたね!意外な所で,良い人材に出会えて嬉しいよ!!」
「有難きお言葉!感謝します!」
「二人に,聞きたいんだけどいい?」
「「はい!何なりと!」」
「二人って,結婚してる??もしくは,結婚の予定はある??」
レンは,クロット伯爵とスバル男爵の二人に結婚の有無を確認した。二人とも二十代後半なので,結婚していてもおかしくない年齢だ。
最初に答えたのは,クロット伯爵だ。
「私は,結婚しています!」
「子どもは??」
「今,二歳です!!」
「おぉ~~!妻子共に大事にしなよ~~!!」
「はい!!」
妻子が居るのかぁ~~。じゃ,アクアの街から離れる訳にはいかないかな??
続いて,スバル男爵が答える。
「私は、未婚ですが婚約者が居ます!」
「ふむふむ!婚約者ありと……」
まぁ,こう言った情報は,ハットリ家の皆さんの事前調査で解っていたことだが,体裁を整える必要性がある。
だって,自分より立場が上の人が自分自身の結婚の有無や予定を把握していると解れば,ドン引きだろうから,あえて二人に,質問して体裁を整えた。
本題に移る。
「二人とも,出世に興味ある??」
「「えっ,出世ですか??」」
クロット伯爵とスバル男爵の二人の声が,絶妙にハモった。
「うん!最初はさ!二人には,今まで通りここの運営に携わってもらおうと思っていたけど,少し事情が変わってねぇ~~」
「何か,緊急事態でしょうか??」
マテオが,緊急事態を想定したのだろう。すぐさま対応しようとした。
「大丈夫!ヤバい事態じゃないから安心して!ただ単に,想定していた人事異動の構想を練り直さないかないなぁ~~って思っただけ!!」
「あぁ~なんだ,そっちでしたか……」
「ははッ!マテオ,張り切り過ぎ!新しい子どもが,産まれるからかな??安心しな!マテオにとってもいい話を出来ればと思うから!!」
今は,移動中だが,今回新たに,考えている人事異動の構想を話す。
「今回の人事異動なんだけど,マテオを僕専属の兵士から,ここの代表に就任して貰おうと思ってる!」
「私ですか?!私は,レン様のお傍で働きたいと思います……」
「最後まで聞いてぇ~~」
「すっすみません……」
「それで,空席になった僕専属の兵士に,スバル男爵!ここの副代表としてマテオのサポートの任務をクロット伯爵に任せたいと思っているんだけどどう??僕的には,三人にとって悪い話では無いと思うけど??」
三人に,人事異動の構想を話した。クロット伯爵とスバル男爵には,ワイバーンのエサの発注を任せると言った直後なだけに,申し訳なさがある。
「レン様……先程も言いましたが,私はレン様のお隣で働きたいのですが……」
「マテオ!君の忠誠心は,本当に嬉しい!でもね,マテオ!今の君は一旦僕の隣から離れた方がいいよ??」
「ですが!!」
「今の君は,自身の家族より僕を優先し過ぎている!ベルさん,妊娠しているんだよね?今は,安定期に入ったかもしれないけど,本格的に出産の準備に入る時に,リンちゃんの面倒は誰が見るんだ!!出産は,女の子にとって命がけなんだぞ!!そんな時に,『レン様!レン様!』と尻尾振ってる場合か!!お前が,僕への恩返しに固執するのは勝手だが……命がけで新たな命を産もうとしているベルさんや娘の気持ちを少しは考えろ!!近くに居て欲しいはずだ!!」
「…………」
「僕言ったよね??王族の命より,自分の家族の命を優先しろって!!今のマテオにそれが,出来ていると家族の前で言える??」
「言えないです……」
「うん!だから,ここの代表に就任して欲しい!それに,信頼しているマテオにここの代表になってくれれば,最大の恩返しだよ!!」
「そうなんですか??」
「そうだよぉ~~!ただ,傍で仕事することだけが,恩返しじゃないよ!!ここの代表ならベルさんに,何かあった時に,直ぐに駆けつけることが出来るでしょ??それに,国内一の規模を誇る基地の代表となれば,お給与も合法的に上げられる!!」
「!!」
おぉ!マテオ,解りやすく嬉しそうな表情になったな!
「レン様,もしかして僕の副代表も??」
「そう言う事!!副代表になれば,お給与上がるし,子どもに何かあったら直ぐに駆けつけられるでしょ??」
「!!」
「では,僕は??」
「スバルくんは,結婚する予定なんでしょ?だったら,王族専属の兵士になれば大出世じゃんか!!婚約者も喜ぶんじゃない??」
「!!」
三人共,良い表情になったな!!
「三人共!この人事異動に不満が無ければ,このまま話を進めるけど,いいね??」
「「「はい!!!」」」
三人が,声を揃えて返事をする。
すると……
パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪パチ♪
いつの間にか,周りには基地所属の兵士たちが,ここに集結していたみたいで,拍手を送ってきている。
「あらら……凄い所で,話してたな!!あはは!」
「レンくん!笑いごとじゃないよ??人前じゃなかったら,ハリセンの刑だよ!!」
「あわわ!怖い!怖い!」




