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7.うつけは覚悟する・・・!

 今、前日に大広間でマナに斬りかかった兵士と指示をしたオーティズ公爵家の処遇を決めるために、拘置所に来ている。


 拘置所に来た目的は、兵士とオーティズ公爵と面会するためだ。


 処遇を決める前に、二人の言い分を直接聞いて置きたいと思ったからだ。











 面会予定の一人目の兵士が連れてこられた。






「王子…本日はお時間を頂きありがとうございます」


 一人目は、マナに斬りかかった兵士だ。


 自身の進退を覚悟しているのためか、表情は面談室に入って来た時から暗かった。


「兵士と呼ぶのは、あれだから名前を教えてほしい」

「はい、私の名前は、マテオ=マレーロと申します」

「マテオかぁ~君、家族は居るの??」

「はい、妻と娘が一人居ます」

「身分は、平民だよな?」

「はい」


 妻子が居ても、貴族の命には逆られない。とんだ、貴族社会だ。何が、『いかなる理由があろうと身分・種族差別を禁ずる』だよ。

 王国内は、相当腐っているようだ。


「マテオにとって、優先順位は何?家族?仕える貴族?王族?」

「もちろん、王族で」


 レンは、ニッコリと笑いマテオに本音で語らせるように促。


「本当?この場での嘘は許さないよ?……大丈夫!今からの発言は、罪に問わないから本心を話してほしい!」


 マテオは、少し考えた後に、本心を答えてくれる。目に涙が浮かんでいる。


「……家族です」

「家族が大事ならなんで、あの時マナに刃を向けたの?王族が招待した人物を斬り捨てれば家族諸共、死罪になることは考えなかったの??」

「領主様の命令は、絶対で……従わないと、家族の命が危ういんです」


 なるほどね。

 この展開どう転んでも死罪の可能性があった訳かだな。


 レンはマテオに聞いておきたいことがあったので彼の目を見て質問する。


「マテオ、正直に答えてね、今の王国どう思ってる??」

「嫌いです……大嫌いです!!法律では身分・種族差別を禁じているのに、率先して王族・貴族共が差別をしているんですよ!!こんな国を好きになれるわけないです!!むしろ、王族を恨んでいます」


 マテオは、溜め込んでいたのであろう感情をレンにぶつける。レンは、マテオの意見を真摯に聞き取る。


 マテオの思いを聞いたレンは、物凄い危機感を覚えた。


 一般の兵士が、こんなにも王国への憎悪を持っているのなら、一般の国民が持っている憎悪は測りしれない。


 これは、早く手を打たないと『クーデター』がいつ起こってもおかしくないと、即座に分析する。











 兵士であるマテオが、王国に対しての憎悪を持っているなら他の兵士も同じような気持ちを持っている可能性がある。

 いや、確実の持っているだろう。

 

「マテオ、君の他にも同じ思いを持っている者は、沢山いるの??」

「はい、沢山おります」


 ここで、レンは核心を付く質問を投げ掛ける。


「その、兵士の間で、反乱を計画している人は居る??」

「あっその?え~と……」


 マテオは非常に、複雑な表情を見せている。マテオの表情を見るに、居るみたいだ。これは、急ぎ実態を調べないといけない。










 レンは、椅子から立ち上がりマテオに向かい頭を下げる。


 その様子を見たマテオは、驚きの表情を見せた。


 王族が頭を下げた。それほど、王族が頭を下げることが珍しい事が伺える。


「マテオ、まず、謝罪をさせて欲しい」

「えっ?王子?」

「王族を代表して謝罪する……これまで、計り知れない苦行をなんの罪の無い、君に味合わせていたことに対して謝る……申し訳なかった」


 やはり王族が、頭を下げること自体珍しいのだろう。


 ここで、レンはマテオに一つの提案をする。


「マテオ、僕は、この国を変えたいと思っている!!その最中に、軍に反乱を起こされたら正直、困るんだ……もちろん悪いのは、王家を始めとする貴族連中だと重々理解している……頼む!協力してくれ!」

「王子!!」


 マテオは、覚悟を決めたようだ。


「レン第一王子……あなたなら信頼出来そうです!協力させて頂きます!」


 レンは、マテオの協力を得ることに成功した。


「マテオ、少し近づけ!マナにリーナも!」


 四人は、レン側とマテオ側を遮っている仕切り板に集まった。


 レンは、三人に考えていることを話した。そして、このことは当日になるまで決して口外しないことを約束させた。


 国民の笑顔を守れるなら、なんだってする。王族のせいで、同じ国民同士で血が流れるようなことは、決して起こしてはならない。






レンは、覚悟を決めた











 マテオとの面談を終えた。


 次は、オーティズ公爵との面談の予定だが、時間を後ろにずらして貰いレンはマナとリーナに話す。


「マナとリーナ!今の、マテオの話どう思った?」

「国民の王家への不満は、かなり溜まっているように感じた」

「王都は、レンがよく街に出て国民と交流しているので、他の街に比べると比較的マシかと思いますが、他の街となると」

「そうだよな、このままだと、国民同士で血を流し合うことになる可能性が高い」

「陛下へ報告しますか?」

「いや、良い……あの父上にこの混乱を未然に防ぐだけの力は無いよ」

「では、どうしますか?」

「明後日の、二人への裁きを伝える場を利用する!」


 レンは、二人に戦略を伝え指示を出す。


「マナは、リーヴァンに命じて急ぎマテオの言っていた王国に不満を持つ兵士の情報を集めさせて!リーナは、急ぎサヨ副宰相に書簡を送り、デリエスとメイを王都に連れてくるよう命じて!」

「「了解!!」」

「オーティズ公爵との、面談はリーナが帰って来たタイミングで再開とする」


 二人に指示を出し終えた後、レンは二人に注意喚起を入れる。


「二人とも…今回の一件…必ず…血は流れることになる…覚悟はしておいてくれ…」

「「わかった…」」


 マナとリーナは、レンの命じたことを実行に移すため、部屋を出て行った。


 リーナは、サヨ副宰相への書簡を送り終えると、部屋に戻って来たため、拘置所に居る兵士に、オーティズ公爵を呼んでくるように指示をだした。


 いよいよ…貴族家との面会だ…さぁ、どうなるかな??


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