61. うつけの成果!
オレジアナ公国・グリアナ帝国・ラインブルー王国の三国間で,『関税の税率の引き下げに関する三国間条約』が締結されることとなり,それぞれの国の傍仕えに早急に条約に関する書類を作成して貰っている。
その間は,三国の代表による雑談が行われていたが唯一,グリアナ帝国女皇ミナミ=グリアナは緊張感が抜けていない。
「いい条約結べたね~~」
「せやな!王国と公国は,国内から密偵居なくなって,帝国は関税の税率が下がって王国と公国との貿易がしやすくなる!!良い事づくめや!!」
恐る恐るミナミは,質問をする。
「失礼ながら,両国は何百年振りに,関係を修復なされたのですか??」
「いや,未だに『平和条約』は締結されてないよ~~」
「せやで!『平和条約』を結ぼうって話も出てないしな~~」
「今回の『三国間条約』に関して,両国が手を組んでいるように見えるんですが??」
「そう見える??」
「見えますよ!!」
「協力してへんよ~~」
「本当ですか??」
ミナミは,ラインブルー王国とオレジアナ公国の両国が,手を組んで『三国間条約』を結ぶように仕組んだと疑っている。
両国の代表である,レンとスズカは,のらりくらりと回答をはぐらかしている。
「では,今回の条約もわざわざ『三国間』ではなく,『公国と帝国』・『王国と帝国』それぞれで結べは,いいのではないでしょうか??」
「えぇ~~,せっかく『三国の代表』居るんやし『三国間』で条約結んだ方が面白いやんかぁ~~!!」
「それに,今回の『三国間条約』は帝国主導で締結させてという事でいいですよ??」
「何故でしょう??」
「三国間で条約を結ぶことで,帝国・公国・王国は相互監視の基で履行させるという体制を長年対立している帝国・王国の代表に納得させて,この条約を締結させた!」
「おぉ~~そうすれば,周辺国内でグリアナ帝国しかり,ミナミ=グリアナの株が爆上がりですね!!」
「帝国としては,密偵を全撤収させるだけで!!関税の税率が大幅に下がり,周辺国の中での地位も上がる!!良い事尽くめじゃないですか!!この,『三国間条約』の何が,ご不満なのですか??」
「いぇ……不満は,ありません!」
「では,このまま条約の調印といきましょうか!!」
丁度いいタイミングで,それぞれの傍仕えが条約が記された書類を持ってきた。
条約の調印に移る。
各国が,用意した条約締結に関する,書類にそれぞれの国の代表が調印していく。
ラインブルー王国の用意した条約書の場合。レン=ラインブルー ⇒ ミナミ=グリアナ ⇒ スズカ=オレジアナの順で調印していく。
帝国が用意した条約書に関しては,最初にミナミ=グリアナが調印したが,二番目に王国と公国どちらが先に,調印するかの譲り合いがあったが結局ジャンケンで決めたとさ。
条約の調印が完了すると,会談はお開きとなり三国の代表は会場を後にする。
ミナミは,会場から出ると,両国の代表に挨拶をして足早に,自身の部屋に戻って行った。
レンとスズカは,「少し話そうか!」というスズカの提案もあり歩きながら雑談をする。
「あ~あぁ~このまま公国に帰るん嫌やわ~~」
「わかるは!!僕も,このまま王国に帰れば、糾弾されるやろうな~~」
「だって……この条約は,表立っては」
「関税の税率を大幅に,引き下げただけの条約だもんね~~」
「せやせや!国に帰って,この報告すれば父上からめっちゃ怒られる未来が見えるよ~~笑」
「いや,スズカは,父上に怒られて公位継承が厳しくなるかもだけど,僕の場合……もう既に,政界の実質的なトップだからね~~他の大臣連中から糾弾されて,『責任取れ!』だの言われそうや!!」
「あの~~お二方,結構余裕そうな表情ですけど……??」
レンとスズカは,各国に帰国すれば糾弾間違いなしの条約を締結したのだ。今回の『三国間条約』は表立っては,『関税の税率の引き下げに関する三国間条約』とされていて,密偵に関しては,表立って表記されていないのだ。
「はぁはは!!リーヴァンは、相変わらず『情報の分析』は,苦手だよね!!」
「だから,何で余裕そうなんですか??」
「リーヴァンゆうたっけ??簡単やで!『情報の分析』が出来ない人間は,うちらが,ただ国にとってデメリットな条約を結んだと勘違いするんやよ!!」
「ですが……何故??」
「リーヴァン!ここからは,自分で考えな!!でないと,君の父上を超えられないよ??」
レンに,言われたリーヴァンは悔しそうな表情を見せて考え出した。
「レン??男の子は,秘書かいな??」
「いや,僕の執事だよ??」
「執事を会談に同席させてたんかいな!!」
「あいにく,もう一人の秘書は,帝都に遊びに出ていますので~~!!」
「えらい,自由な秘書やな~~」
「それに,リーヴァンはまだ,荒削りですけど,あの一族の次期当主候補筆頭ですよ??」
「まじかいな!!だったら,会談の席に同席させたんも納得やわ」
「それで,公国はすぐ帰国すんの??」
「少し,帝都視察したら帰国するつもりやで??そっちは??」
「帝都に,遊びに行ってる秘書がもう直ぐ,帰ってくるから,そしたら帰国するよ??国内で,やることあるからねぇ~~」
二人は,話しているとそれぞれの部屋への分かれ道に差し掛かったので分かれた。
その日の夕方に,帝都に遊びに行っていたリーナが帰って来た。
「リーナ!しっかり,観察出来た??」
「はい!!でしたら,明日もいって……」
「じゃ,明日に帰国するから今から,早急に帰国の準備してね??」
「嘘ぉ~~~~~」
翌日に,帰国することになったことに,ビックリしたリーナの声が響いたみたいだ。
翌朝の一番で,ラインブルー王国御一行は帰国のために馬車に乗り出し護衛の兵士も準備をして帝国のお見送りの基帰国の途についたのだった。




