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5.うつけの門出!

 大広間にて,ひと騒ぎがあった後,秘書官の任命に戻る。


 しかし,父上と母上は,レンが連れてきた二人が気になるようで,説明を求められる。


「レン…お前が連れてきた二人のこと説明してくれ…?」


 レンは,説明を始める。


「母上に問います,王族が任命する秘書官に法律上の条件がありますか?」

「法律には,侯爵家以上の貴族の者が良いと記載されているけど?」

「本当ですか?本当にそう書かれているんですか?」

「なっ!この国の伝統ですよ??間違える訳がないじゃないですか!!」

「コノハ,父上と母上に,『ラインブルー王国法律書』を渡して!!父上は,受け取ったら秘書官任命に関する箇所を開いてください」


 コノハは,父上に『ラインブルー王国法律書』を渡した。


「陛下・王妃どうぞ!」

「「ありがとう」」


 父上と母上は,レンがお願いした場所を開いた後,レンの顔を見る。


「父上,該当する箇所をお読み頂けますか?」

「わかった……『王族が任命する秘書官には侯爵家以上を推奨する』と書かれているぞ?」

「父上,先ほど母上が,申し上げた内容との()()()があるのに,気が付きませんか?」

「法律書には,『推奨する』と書かれてあって,エリザの言葉には無かった」

「そうです!父上!侯爵家以上を推奨しているだけであって,絶対では無いのです!」

「……何をいいたいのだ?」

「王家が,法律を間違えた認識をしていたということです……これまで,父上と母上は侯爵家以上の秘書官任命は,認めないという法律の誤った認識を公の場で,述べていたということです!!国のトップが,法を曲げていたという事実です……これは由々しき事態かと思います」

「そっ,それは……」

「そして,王国の法律書の条文に『いかなる理由があろうと身分・種族差別を禁ずる』と記されています……つまり,『王族が任命する秘書官には侯爵家以上を推奨する』という文は,この条文に抵触する恐れのあるんですよ!!『推奨する』という文言で濁してはいますが……これは条文にある『身分差別を禁ずる』に抵触する恐れがあります」











 レンは,父上に核心を付く一言を掛ける。











「さらに,父上に母上は.王族である僕の秘書官を任命する場に侯爵家以上しか呼んでいないという行為自体『いかなる理由があろうと身分種族差別を禁ずる』という条文に違反しているのではないでしょうか?そして,そういった事を指摘もせずに,のうのうと,王族に近づこうとする侯爵以上の貴族連中……僕が言いたい事わかりますよね??」


 父上と母上は,少しの間黙り込んで父上が答える。


「つまり,王家自ら違反行為をしているこの場で秘書官を任命しても意味が無い,無効ということか」

「そう言うことです」

「では,この二人がここに居る意味はなんですか??」

「この二人は,僕自身がそれぞれの所に,赴き秘書官就任を打診し承諾して貰った二人です!」

「この二人が,レンの秘書官?でも,この場での任命は意味が無いと今,レン自身が言ったでしょ!」

「そうです!!王家自らが法を犯したこの場では無効です……しかし,この二人はこの日以前に,僕が直々に秘書官就任を打診し承諾して貰ったので有効です!!」

「なるほど,しかし,国家運営に携われる程の能力はあるのか?」

「無いと,声かけませんよ!」


 レンは,一旦この場をお開きにすることを宰相のヒノカに提案した。


「ヒノカ宰相!こうなってしまった以上この場はお開きにして応接間にてお話ししましょう」

「……そうですね」


 お開きになった。この場に来た,侯爵家はハービット侯爵家の息子,サヨ以外は王城を後にするよう命じた。











 応接間に入ったメンバーは,レン・父上・母上・宰相・マナ・リーナ・コノハだけだ。


「レン,改めて,二人について,説明して欲しい」


 父上からの要望に,レンは答える。


「まず,リーナ=オノフェスです!彼女はご承知の通り,マックス男爵の三女でリーナの秘書官就任は、既に了承を得ています」

「リーナ,本当のことか?」

「はい!」

「続いて,マナ=リグレットです!彼女に出会ったのは,僕が初めて街に出た時です!貧民街に行った時に,不良たちから子ども達を守っていた所を目撃したことが初めての出会いでした!!」

「一応聞くが,マナの身分は平民か?」

「平民ですよ……僕が街に遊びに出た際に一緒に話すことが多く王都の街にも精通しております」

「うむ…それが,どのように役に立つと?」

「僕が,王家の教育係から受けていた教育と実際の王都の街の実情には,大きな違いがありました……つまり,王家が受けている街や民衆に関する教育が,何処かの貴族家の手によって,王族にとって都合の良いように改変されていたということです」

「なんと……!」

「なので,マナに第一秘書官に,就任して頂き僕のサポートをして頂きたいと考えています!!」

「リーナは,どのように活かすのだ??」

「オノフェス男爵家の街に訪問した際に,彼が治めるリーゼンという街を見てきました!!街の人々は,王都の人々より活き活きとした表情をしておりました!リーゼンの街の人口が増えている理由も王都の人口が減少している理由も解りました」

「つまり,国内の改革において,リーナの力が必要ということですか?」

「そうです,母上!第一秘書官にマナ・第二秘書官リーナでいこうと思います!」

「この順番に意味は?」

「う~ん,僕国王になった際には,身分の違いに囚われず能力があれば使うという意思表示ですかね?」

「能力があれば??」

「はい!!国家を運営する上で,『信頼しても信用するな!』が一番大事なんですよ!王城で受ける座学だけだなく,実際に現地に赴いて実情を見ないといけない」

「けど,国王という役職は,何度も現地に行ける程,時間は取れない」

「そうなのです!なので,側近には『信頼出来るかつ主に意見の言える者』を側近に置きたいと思います!」

「なるほど,それで出張お願いするなら街に遊びに出ることがお好きなリーナを動かしやすい第二秘書官ですか王子?」

「流石,ヒノカ宰相!!」

「ところで,陛下?ハービット侯爵のサヨを残した理由は,何でしょうか?」


 どうやら,ヒノカ宰相もレンに,聞きたい事があったようで,丁度いいタイミングで話に入って来た。


「サヨを,副宰相として学ばせたいなぁ~と思って!!」

「レン,それは,なぜ?」

「明日から,僕は次期国王として父上の基で働きます,そこから僕が王位継ぐであろうタイミングでヒノカ宰相は恐らく五十を超えますよね?国王が変わるタイミングで,宰相も変われば,僕が国王になって最初に訪れる問題は,王国のナンバー一とナンバー二の同時交代というややこしいことが起こります!ですので,今から種を撒いておけば僕の国王就任後,スムーズにナンバー一・二の交代が出来ると思います!」

「レン,そこまで見越していたのか??」

「二人の秘書官就任認めてくれますね??」

「わかった,認めよう」

「それと,サヨの副宰相就任も!」

「わかった,それも認めよう」


 マナとリーナの秘書官就任とサヨの副宰相が決定した。さぁ~ここから,レンの国家再建がスタートする…


 まずは,あの場で愚業を行った二人の沙汰をしないと行けない…


 さぁ,頑張るか!


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読んでの感想なんですが、主人公が意外と知的なのか、親にやりたいことをはっきりと伝えて、親を上手く説得させている所がすごく良かったです。  読者としても、論破している主人公が、見てて…
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