41. うつけとマナのギクシャク!
朝が来た。
ここ最近は,マナが起こしに来ていたが(と言っても,起こしに来る前に毎回起きている),今日はメイドのコノハが起こしにきた。
コン♪コン♪コン♪
「レン様…朝で…やっぱり起きていましたか……」
「おはよ~~コノハ!朝早くからありがとね~~!」
コノハは,何かしました?という表情を見せて尋ねてきた。
「レン様……マナ様に,何かしましたか??」
「なんで??」
「休みの日も,毎日王城に来てレン様を起こそうとしていた子が出勤日に来ていません…絶対に,レン様が何かしましたよね??」
「あぁ~,今日は休みにした…大分,疲れ溜まっていたみたいだから,絶対に王城に来ないようにさせた…と思う…」
「そうなんですね……一応ですけど,もし,レン様が何かしていたら問答無用で,しばきますからね??」
「そっそれだけは,やめて??」
僕は,身支度を整えて,自室を出て食堂に向かう。
「レン様おはようございます!!」
「リーヴァン~~おはよ~~!!」
執事のリーヴァンが,朝の挨拶をしてきた。
僕の周りの人間で,同年代の男の子は少ないため,数少ない同性の話し相手である。
「ところで……レン様??」
「……なぁに??」
僕は,少し間を開けて返事をする。恐らく,聞かれることは,コノハと一緒のはずだ……
「いつも,レン様の隣に居る……マナ様は,今日はいらっしていないんですか??」
「今日は,休みにした……」
「えっ?法律会議がある大事な日に??」
そう,今日は法律会議がある。議題は,『ラインブルー王国の教育改革案』だ。昨日,まとめあげた法律提案書を基にして,話し合いが行われる。
通常なら,秘書官一人を傍に慕えて参加する。
今日は,マナはお休み・リーナは実家のごちゃごちゃで,帰省中……
「そう…昨日,物凄い疲れていたみたいだから……休みにした…倒れてほしくないから…」
「そうですか…」
「彼女に,申し訳ないことした…だから,今日だけでも休んでもらおうと思って!!後,仕事量も調整しようかなって……」
「……そうですか,二人のことですから,私はこれ以上口出ししませんが……今日の法律会議は,お一人で??」
「あぁ~~そうか,リーヴァン一緒に出ない??」
「えっ?執事を共にして出るって……」
「大丈夫!!僕は,『うつけ者』だよ??例外的なことしたって,頭の悪い連中は,どうせ「『うつけ者』のしたこと」って考えて終わるでしょう!!」
「じゃ,頭の良い連中は??」
「頭の良い連中は,僕の息の掛かった大臣だと思うよ??サヨとか!!ってまだ,サヨしか居ないんだけどねぇ~~残りは,私利私欲大臣!!」
「凄い…言い様ですね……わかりました!私が,お供として出ましょう!!」
「わぁ~~い!!じゃ,今日だけ!!第一秘書官代理兼執事としよう!!」
「ハットリ家をそのように,使うのは『うつけ者』のレン様だけですね!!」
「あぁー,リーヴァン!僕のこと,『うつけ者』って言った!!大罪だ!罰してやる!!」
「そうすれば,ハットリ家の全勢力を使って,レン様のお命頂戴しますよ??」
「あわわ!!怖い~怖い~」
食堂に入り,朝食を食べる。隣には,リーヴァンを連れている。王城の人は,驚いた表情を見せている。
それも,そうか……マナが,秘書官になってから僕の隣は,ずっとマナだったし…
少し…寂しいな…
「さっ!法律会議に向けて,最後の準備始めますか!!」
食堂を出て,執務室に向かう。
すると,執務室の前には,マナが立っていた。猫耳は,しょんぼり垂れていて尻尾も元気なさげだった。
「レン…様!おはようございます……」
声が,弱々しい……相当,疲れているんだろう……
「マナ…何で,来たの??今日,お休みにしたよね…??帰って,休みなよ!!」
僕は,マナに背を向けて話す。
「だって,今日は,レンくっ…様が一生懸命準備した,『ラインブルー王国の教育改革案』の法律会議の日だよ??第一秘書官として……」
「それなら,大丈夫だよ…リーヴァンを第一秘書官代理として出て貰うから…マナが出る必要ないから家に帰れ!!」
「レン様!!」
リーヴァンに,制止された。
僕は,ハッとしてマナの表情を見ると……
「うぐッ…」
マナは,泣きそうになっていた…必死に堪えているようだ……
「泣く暇が,あったら家帰って休んでよ……」
「ごめんね…うぐッ…うわぁぁん……」
マナは,堪えきれず泣き出しながら,執務室から去って行った。
「レン様……流石に,、やりすぎでは??」
「いい…マナに倒れられるより,マシ……だと思うよ!」
僕は,少し間を置き……
「さぁ!会議に向けて,最後の準備しよ!!」




